『アベノミクスによろしく』明石順平氏「別人の身長を比較して、身長が伸びたと言っているようなもの」~1.22賃金偽装問題・野党合同ヒアリング「毎月勤労統計」の調査が不適切だった問題について 2019.1.22

記事公開日:2019.1.23取材地: テキスト動画
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(取材:八重樫拓也 文:花山格章)

 厚生労働省が毎月勤労統計調査の算出方法を変更したことにより、賃金の伸び率が急速に上がった件について、いち早く疑問を呈し、問題提起をしてきた『アベノミクスによろしく』の著者である弁護士の明石順平氏は、「今まで、賃金算出方法の改定時にはデータに段差ができるので、さかのぼって改定していたのに、それをやめている。従前の低く出る値と、更新後の高く出る値をそのまま比較したので、伸び率が大きくなった。別人の身長を比較して、身長が伸びたと言っているようなもの」と喝破した。

 2019年1月22日、東京都千代田区の衆議院本館にて、賃金偽装問題 野党合同ヒアリングが開かれ、厚労省の毎月勤労統計調査が不適切だった問題ついて、厚労省、総務省、財務省、内閣府よりヒアリングを行った。

 立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也衆議院議員は、「遡及改定をしなかったのは、今回が初めてか」とたずね、初めてならば、その理由を聞かせてほしいと迫った。厚労省の担当者は、「今回が初めて遡及改定をしない形での抽出および集計だった」と認めた上で、「経済財政諮問会議や統計委員会での議論を経て、遡及改定しないという結論に至った」と回答した。

 国民民主党の山井和則衆議院議員は、「2015年10月18日、麻生財務大臣が配布した資料に『遡及改定により、すでに発表された数値から下方修正されている』とある。つまり、遡及改定で賃金が下がるのはよくないね、と。今回の件は、この麻生大臣の発言から始まっている。それを受けた検討会の結果、遡及改定しないとなり、実行されたのが2018年の1月という事実関係だ」と指摘し、このように続けた。

 「明石先生は『この伸び率3.3%は、違う人間の身長を較べているから嘘で、本当は1.3%ではないか』と本質的なことを言っている。そうであれば、賃金偽装のみならず、アベノミクス偽装になる。問題が発覚した現時点でも、政府発表の去年6月の前年比伸び率は3.3%のままで変わっていない。1.3%に書き換えないとダメではないか」

 これに対して厚労省側は、「今は再集計値の公表に向けて準備をしている。再集計値の結果次第だ」と述べるにとどまった。

 山井議員は、「賃金は21年ぶりの伸び率だというが、実は調査方法を変え、去年とは比較している事業所が違い、かつ、遡及改定をしなかったことが原因だ。これを麻生財務大臣や安倍総理が知らずに喜んでいたのなら、そんな話はありえない。閉会中審査での根本厚労大臣の『伸び率がプラスかマイナスか、わかりません』という答弁は許されない」と批判した。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2019年1月22日(火)12:00~
  • 場所 衆議院本館(東京都千代田区)

「21年ぶりの伸び率!」は別人の身長を比較して「身長が伸びた!」と言っているようなもの! と明石順平弁護士が喝破!

 明石氏は、「2018年1月から、毎月勤労統計調査の賃金算出方法が変わった。算出方法変更後の方が高く出るようになっている。その要因は、サンプルの入れ替えと労働者数推計のベンチマークの更新。この2つで賃金が大きく上がった。付け加えて言うと、今回、サンプルの3倍補正も明らかになったので、3つ目の要素があったということになる」と語る。

 その上で重要な点として、「今まではサンプル変更やベンチマーク更新時には、データに段差ができるので、さかのぼって改定していた。しかし、それをやめた。その結果、従前の低く出る値と、更新後の高く出る値をそのまま比較しているので、ベンチマーク更新前後で伸び率に大きな差が出ている。私の感覚から言うと、別人の身長を比較して、身長が伸びたと言っているようなもの」と指摘した。

 「今までの賃金推移をみると、名目賃金は少ししか上がっていない。私はこの推移を知っているので、『いきなり3.3%も上がるわけがない』と思った。物価は、消費税の増税に円安をかぶせたので急に上がり、実質賃金は落ちている。これが消費の低迷を招いている。そのため、実質GDPが全然伸びない状況が続いている。これがアベノミクスの泣き所で、(安倍総理が)もっとも突かれたくないところ」

 明石氏は、厚労省が遡及改定をしておらず、別のデータを比べていることが疑問だと言い、「それで伸び率を示されても、嘘になってしまう。だから、2018年の1年間については、共通する事業所同士を比較した参考値の伸び率(1.3%)を正式な値と宣言し、違うものを比較した公用値の伸び率は、なくていいのではないか」と語った。

 以下に野党ヒアリングの全文文字起こしを掲載する。

「安倍政権は本当に邪悪だと思っています」

山井和則議員「ご苦労様です。何よりも役所の方々には連日、大変、ただでさえお忙しい中、ご出席いただきまして、本当にありがとうございます。毎回くどいように言っておりますけれど、私たちは、できれば政務三役の方にお越しをいただいて、議論をしたいと思っておりますけれど、『役人の方しか来られない』ということで、やむを得ずこういう場で、役人の方々と議論させていただいております。

 今回の不正の問題、深刻な問題だと思っておりますけれど、役人の方々、お一人お一人を、私たちは追及する気は全くありませんので、今日も1時間程度議論させていただきますけれど、議員の方々におかれましても、私自身も気を付けますけれど、役人の方々を突いてくるというような、かたちにならないように気を付けたいと思っております。それではまず、長妻代表代行からお願いいたします」

長妻昭議員「どうも本日もありがとうございます。賃金偽装問題野党合同ヒアリングということで、今日もご足労いただきましてありがとうございます。今日は明石順平先生も来ていただくということでございます。

 挨拶の中で一点だけ指摘をいたしますと、我々与野党問わず速やかに実態解明したいと、こういう思いでこの場にのぞんでいると同時に、昨日ちょっと驚きましたのは、この現金給与総額の伸び率について、この参考値というのがですね、これもさらに私も聞きましたら、びっくりしましたのは2016、2017、2018の参考値は3年とも500人以上の事業所は、復元済みのものを使って公表してると。

 ところが、公表データ基準値だけは2018年だけを復元して、2017年以前は復元してないかたちで、前年度同期比較をしているということも分かりまして、前回の、昨日の野党ヒアリングでは2017、18、2年連続で参考値については、500人以上補正したということだけが判明しましたが、2016年も、参考値は500人以上補正済みということであったわけでございまして、非常に不可解な、全容を知っていないと、こういうこともできないんじゃないかな、とも思わなくもないんでございます。

 ここら辺についてもぜひ、解明をしていきたというふうに思います。明後日ですかね、閉会中審査もあると思いますし、今日は観察結果も午後ですか、出るやに聞いておりますし、今週の金曜日には、50以上ある基幹統計すべてについてのチェックの結果も出るというふうに聞いておりますので、日本の心臓であるこの統計データでありますので、ぜひ真相究明にご協力いただきたいと思います。以上です」

(…会員ページにつづく)

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