2019年1月28日から始まった第198回通常国会が、厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題で大きく揺れている。安倍晋三総理は初日の施政方針演説で、「5年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われた」などとアベノミクスの成果を強調したが、その判断の根拠となる数字は不正に算出されたものだった。
「昨年の夏、『賃金は21年5ヵ月ぶりの大きな伸び率に』と報道されたが、あれは確信犯的な嘘だった。実質賃金が全然伸びないことが、アベノミクスの泣きどころなのだ」
2019年1月29日、東京都千代田区の衆議院本館で開かれた統計不正・賃金偽装 真相究明 野党合同院内集会に出席した明石順平弁護士は、こう断じた。
厚労省による毎月勤労統計調査は、賃金、労働時間、雇用の変動を明らかにする目的で実施されている。調査結果は景気判断や各種政策決定の指針とされるほか、雇用保険や労災保険の給付額、民間企業の給与算定などの資料にもなり、国民の暮らしに大きく関わってくるものだ。
- 毎月勤労統計調査って何?(厚生労働省)
仮に調査対象の企業が虚偽報告をした場合、統計法により50万円以下の罰金まで課せられる厳格なものだが、今回、調査する側の厚労省が算出方法を変えて「虚偽の数字」を発表していたのである。
明石氏は、「算出方法を変更する時には、過去に遡って変えるものだが、それをしていない。2018年と2017年とで算出方法が違うのに、そのまま比較して『伸びた!』と言っているのだ。そして、実質賃金の伸び率は公表しない。その嘘が今も続いている」と語気を強めた。
野党5党・1会派の国対委員長らは順にマイクを握り、この統計不正・賃金偽装問題を、野党が一体となって国会で追及していく決意を表明した。国民民主党の国会対策委員長、原口一博衆議院議員は、「最初、実質賃金は3.6%伸びたと言っていた。それが今は1.4%に。実質賃金はマイナスだったじゃないですか。アベノミクス自体が偽装。もう、やめさせよう。安倍内閣最後の予算委員会にしましょう!」と檄を飛ばした。
- 「アベノミクスの成果」に隠された驚くべき「かさ上げ」トリックを暴く! このままいくと日本経済は破綻!?~岩上安身によるインタビュー 第824回 ゲスト 弁護士『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏 2017.12.14
- 参考値の実質賃金の伸び率はマイナス0.5%!? 『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏が正しい算出方法を提示 ~1.30勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリング 2019.1.30
- 共通事業所の実質賃金伸び率を頑なに出さない厚労省!長妻昭議員「アベノミクスの肝の肝の数字。これを出していただかないと、私たちは不信感を持ちますよ!」〜1.29勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリング全文テキスト! 2019.1.29
なお、IWJ代表・岩上安身は、2月19日に明石氏にインタビューを行い、統計不正問題について詳しくうかがう予定である。ぜひご覧いただきたい。
日吉議員「安倍政権は森友問題で国有地を格安で払い下げた。沖縄では辺野古の海に土砂を投入して、できもしない基地建設を推し進めている。昨年の臨時国会では、入管法改正、裁量労働制の審議でのデータ捏造。安倍政権のデタラメが次から次へと露呈している」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/440818 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1092417170640822272