2018年1月30日(火)16時、2017年衆院選の無効を訴え、全国14の高裁支部に提訴された「一人一票裁判」の3件目の判決が、東京高裁で言い渡された。東京高裁は、2倍近くの票の格差が存在することを事実として認めておきながら、平成32年以降は人口比を反映しやすいアダムス方式による公正な選挙が「見込まれる」として、原告の請求を棄却した。
判決後、訴えをおこした升永英俊弁護士、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士らが、記者会見を行った。これまで積み上げられてきた違憲判決が、3年後の「見通し」や「努力目標」を根拠に覆されたことについて、伊藤弁護士は「行政部門にあまりにも忖度している」「司法の存在意義がまったく示されていない」と断じた。また久保利弁護士は、「『3年後には真人間になる』と言っている覚せい剤常習犯に無罪判決を出すようなもの」であり「非常に失礼な、国民全体を馬鹿にした判決だ」と批判した。
升永弁護士は、天動説が支配していた中世ヨーロッパにおいて地動説を唱えたために罪に問われたイタリアの物理学者、ガリレオ・ガリレイの悲運に例え、「少数決」で選ばれた議員が改憲発議まで行うかもしれない、という不条理を認めた今回の判決を「ガリレオ判決」と批判。その上で升永弁護士は、 不条理を強いられる「ガリレオ」とは「私たち代理弁護人だけでなく、報道しているあなた方であり、1億2000万の国民」であるとして、この判決が全ての国民にとって無関係でないことを強調した。