「リメンバー・パール・ハーバー」から「アメリカ・ファースト」へ――「戦後秩序」に挑戦するトランプ大統領と安倍総理〜岩上安身による神子島健氏(成城大学ほか非常勤講師)インタビュー 2017.2.1

記事公開日:2017.2.2取材地: テキスト動画独自
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(取材:岩上安身、文:平山茂樹)

※2月13日、テキストを追加しました。

 1月21日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏。TPPからの離脱表明を皮切りに、メキシコ国境での壁建設、中東からの難民受け入れ停止など、就任早々から「保護主義」的な政策を次々と打ち出した。

 こうした政策に共通するのが、トランプ大統領が選挙期間中からキャッチフレーズとしても掲げた「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」の姿勢だ。従来の米国による自由貿易と他国への干渉が、米国内の雇用、特に白人男性の雇用を奪ったとして、経済的な「孤立主義」への回帰を志向するというのがその内容である。

▲「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と記された帽子をかぶり演説するトランプ氏(出典・Wikimedia Commons)

▲「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と記された帽子をかぶり演説するトランプ氏(出典・Wikimedia Commons)

 こうしたトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の姿勢は、一見すると、TPPを主導し、シリアやイエメンのような中東各国に軍事介入を行ったオバマ政権とは180度異なっているように見える。

 しかし、戦後日本社会の戦争認識などを研究する神子島健(かごしま たけし)氏によると、トランプ大統領のこうした「アメリカ・ファースト」は、安倍総理が持論とする「戦後レジームからの脱却」と共犯関係を結ぶことにより、日米の「軍事的一体化」をより深化させ、「人権」と「民主主義」を基調とする戦後の国際秩序を破壊する可能性があるという。

 少なくとも“タテマエ”としては「人権」と「民主主義」を掲げてきた戦後の国際秩序は、トランプ大統領と安倍総理との結託のもとでどのように変容するのか。岩上安身が神子島氏に話を聞いた。

■イントロ

  • 日時 2017年2月1日(水) 14:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

「リメンバー・パール・ハーバー」を「和解の象徴」へとひっくり返した安倍総理の真珠湾訪問

 2016年12月27日、安倍総理はオバマ大統領とともに米ハワイの真珠湾を訪問。慰霊後に行われた演説で、「世界中の人々が、パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれること(リメンバー・パール・ハーバー)を私は願います」と述べた。

▲首相官邸ホームページより

▲首相官邸ホームページより

私たち日本人の子供たち、そしてオバマ大統領、皆さんアメリカ人の子供たちが、またその子供たち、孫たちが、そして世界中の人々が、パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。そのための努力を、私たちはこれからも、惜しみなく続けていく。オバマ大統領とともに、ここに、固く、誓います。

米国訪問 日米両首脳によるステートメント(首相官邸ホームページ、2016年12月27日)

 日本軍からの攻撃を受けた米側ではなく、安倍総理が述べた「リメンバー・パール・ハーバー」。「和解の象徴」として日米間で「合意」されたと思われるこのフレーズについて、神子島氏は次のように分析する。

 「『リメンバー・パール・ハーバー』という言葉は元々、卑怯な日本人が『サプライズ・アタック』をして米軍の人間を殺したという、『怒り』を表した言葉でした。しかしここ(安倍総理による演説)では、そうした『怒り』の内実に触れず、『和解の象徴』として(意味を)コロッと変えようとしているのではないでしょうか」

▲岩上安身のインタビューに応じる神子島健氏——2月1日、IWJ事務所

 悲惨な「戦争の記憶」が脱色され、「和解の象徴」として機能することになった「リメンバー・パール・ハーバー」というフレーズ。こうした枠組みのもとで、「人権」をかなぐり捨ててまで「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領に対し安倍総理が追従すると、どうなるか。神子島氏は次のように述べ、危機感をあらわにした。

 「これまでは『戦争の記憶』が、戦争での残虐行為を厳しく批判するための基盤となっていました。しかし、アメリカまでもが『パールハーバー』を『同盟』のシンボルに用いる方向に進むならば、そうした歯止めや基盤はいっそう弱体化する可能性が高いのではないでしょうか」

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