「これは個人の尊厳、人間の尊厳を求める闘いだ!」
上智大学教授である中野晃一氏が、壇上から参加者に向かって訴えかけると、会場は破れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
未明まで吹き荒れていた強風はピタリと止み、心地よい秋晴れの空が広がった2015年10月2日、集会「安倍政権 NO! ☆ 1002大行進 民主主義を取り戻せ!戦争させるな!」が日比谷野外大音楽堂で開催された。
安保法制の強行採決にとどまらず、川内原発1号機の再稼働、沖縄米軍基地、秘密保護法、TPP、消費税増税、社会保障、雇用・労働法制、農業・農協改革、ヘイトスピーチ、教育など、安倍政権が打ち出す政策のすべては国民世論に逆行しており、独裁的で、民主主義を愚弄しているばかりか、憲法も無視している、「戦後最悪の政権」だとして、集会にあつまった参加者は「安倍政権NO!」の声を上げた。
以下、中野氏のスピーチ全文と動画を掲載する。
国会議員は代理人にすぎない! 我々の存在こそが「民主主義」そのものなのだ!
「みなさん、こんばんは。
あまちゃんが終わったときに『あまロス』という言葉が流行りましたが、皆さんの中には『デモロス』になっている方いらっしゃいませんか? 毎週、毎週、木曜日、金曜日と来ていたころは、もううんざりだな、と思っていたかもしれませんが、なくなってくると寂しいと言いますか、物足りないと言うか、そんな思いあったんじゃないでしょうか。
私は先日妻からSEALDsのかっこいいTシャツをもらいまして。そんなにしょんぼりしているように見えたのかなと思ったんですけども。そしたら、本当は本人がかっこいいTシャツを欲しいと思ったら、XLしかサイズが残っていなかったので、くれたようなんですけども。さすがに大学に着ていくのは恥ずかしいので、自宅や近所の酒屋に行くときに着ていますけども、見かけたらそっとしておいて下さい。
なんでここのところ、デモに行って、それが皆怒って来ているんだけど、ある種の喜びというか、嬉しさがあったのか、そのことについてちょっと考えてみたいんです。それは、やはり私達一人ひとり個人として、声を上げる場を、SEALDsや総掛かりが、そして今日のようにいろんな運動体から支えてくれた人たちが作ってくれた。それに対する感謝の思い、嬉しさというのがあったんだと思います。そのこと自体が、『デモなんかやっても無駄だ』という冷笑するような人たちに対しての答えになっているんだと思うんですね。
私たちは一人ひとり自分で考えて、自分で動いて、そして、国会前やいろんな場所で会って、もっと強くなった。それだけで、凄いことだと思います。
ただ、これだけではありません。
国会の議事堂の中というのは、英語で言うと、”REPRESENTATION”と言いますが、『議会制民主主義』、あるいは『代表選任主義』ということになっています。ところが、この”REPRESENT”という言葉は、英語で”RE”という言葉、『再び』という意味の言葉と、”PRESENT”、これは『目の前にある』という意味なんですね。“PRESENT”というのは『目の前に存在する』ということなんです。
ですから、”REPRESENTATION”といったら、これは『再現する』の意味でありまして。言ってみれば、代表選任主義というのは、民主主義を再現しようとしているものに本当はすぎないわけです。
ところが、我々の代表、言ってしまえば代理人に過ぎない人たちが、暴走して勝手なことをした。その時、主権者である私たちが立ち上がって、民主主義そのものになる。まさに『民主主義って何だ?』『これだ!』そのことなんです。
今日ここにあるのが民主主義であって、国会の中で行われるのは、再現しているものに過ぎない。その再現に失敗した連中は追い出すしかない」
オキュパイ運動の「その後」を見よ! バーニー・サンダース候補の押し上げに結実しているではないか!
「もうひとつ、こうやってみんなで集まることに意味があります。よく言われた事なんですけれども、4年前ですか。原発事故があって、その後から日本でも脱原発の運動が始まっていって、今、ここまでの大きな流れになってきているわけですが。アメリカでも4年前の秋にオキュパイ運動というのがありました。皆さん、ご記憶だと思います。
あれは、その後どうなったんだ。あんなに集まったのに、意味が無かったんじゃないかと冷笑する人もいます。もっと勉強しろと言ってやってください。
なぜか。
今、ヒラリー・クリントンに差をつけるほどのリードを取る勢いで、民主党の候補として、大統領選で頑張っているバーニー・サンダースというアメリカでは極めて珍しい、社会主義者を自称する候補者がいます。その人を支えているのはまさにオキュパイ運動で集まった人たちだったんです。
何かというと、私たちがこうやって集まって、国会前で最後の方になって、『賛成議員を落選させよう』、そして野党を応援していった。そこに共産党の志位委員長が早速応えた。そして、今ようやく議論が始まっている。
道のりは遠いかもしれないけれども、私たちの代理人の尻を叩くことによって、我々の言うことを聞く、そういう代理人を国会議員に送り出すことができる。アメリカで今起きているということは、そういう可能性をうかがわせるものです。
仮にサンダースが勝たなくったって、ワシントンで行われる議論が大きく変わっていく。そうやって、我々は主権者である限り、私たちの民主主義を守り、育んでいくのではないでしょうか。
安倍政権にいちいち反対しているのではない。どんなイシューにも共通する国家の暴走にNO! と言っているのだ
「私たちは、じゃあなんで安倍政権にNOと言っているのか。これは安倍政権がやることにいちいち反対したくて反対しているわけではありません。
なぜか。
それは、安倍政権がやっていることにひとつの共通点が、どんなイシューを見てもあるからです。今日のこの運動を支えているグループの様々な活動。それぞれは一つ一つのイシューかもしれない。
しかし、脱原発、安保法制への反対、憲法を守る運動、特定秘密保護法に反対する、TPPに反対する、消費税増税、あるいは社会保障、そして、雇用労働法制、沖縄米軍基地、農業・農協改革、ヘイトスピーチ、教育問題。さまざまですが、共通しているのは、安倍政権が国家の暴走によって、我々を踏みにじり、我々を屈服させようとしていることに対して、私たちは非暴力で不服従の運動に立ち上がっているということです」
個々人の命と尊厳を守るための闘いだ! 野党にも踏み絵を踏ませよう! どっちにつくんだ!?
「それでは、私たちの旗頭はなにか。
私は、これは個人の尊厳、人間の尊厳を求める闘いだと思います。
辺野古で海上保安庁が人々をけ散らかすとき、あるいは国会前で警察が過剰規制をするとき、そういうときに私たちは国家権力の暴走を目の当たりにするわけですが。それにとどまらず、教育問題にしても、TPPにしても。
いったいどこを見て政治をしているんだ。
私たちの生活、私たちのちっぽけかもしれない、しかし尊い命。その尊厳を守るための闘いだ、というふうに私は考えています。野党の共闘にも、ぜひその踏み絵を踏ませようじゃありませんか。
どっち側に着くんだ?
国家権力の暴走に組みするのか?
それとも個人の尊厳を守る私たち個々人の連帯の側に来るのか?
はっきりさせようじゃありませんか。
それまで、私たちはどんなに踏みにじられても、必ず立ち上がる。人間の尊厳を守る闘いに負けるわけにはいかないからです。
若い人たちが立ち上がって、私たちに勇気をくれた。高齢者の方たちも、頑張って来てくださっている。そして、ここには来れないけれども、本当は来たくてしょうがない人たちが、たくさん、たくさん、私たちの背後にはいる。
一緒に安倍政権を叩き出し、そして、個人の尊厳を守り育んでいく政治のために、頑張ろうじゃありませんか。ありがとうございました」
素晴らしい勇気付けらる名演説です。
ところで、誤字では・・・イシューのところ 社会保証→社会保障
ご指摘ありがとうございます。急ぎ修正致しました。(IWJ編集部)
海外の新聞にはnew “war” lawや”laws of war” と普通に書いてあるので、自民党が作ったと主張する法律は世界中で戦争法であると認識されていることは疑いの余地が無い。これを“レッテル貼り”のみで実態が無いと安倍晋三が主張するのは、チーム世耕が組織したと言われている“ネット世論担当”の連中に善意の第三者すなわち赤の他人を装わせて世論を偽装する為だと考えられる。
こういう場合には、安倍晋三がそのこと自体を理解していない場合も実は多いだろう。安倍晋三が世論を偽装している連中を自民党の世耕が組織したとは知らせないのが一番効果的だからだ。安倍晋三が何の疑いも無く世論が味方していると云う“信仰”に基づいて行動するのが一番重要なのだ。そして、米国は世界各国の傀儡政権を操作してきたときにはいつもその手を使っていたはずである。米国が操作してきた世界各国の傀儡政権が独裁政権であったのも、安倍内閣と共通している点である。
例え安倍が自分が操作されていることを気付かなかったとしても、その責任を逃れることはできない。それは国の行政の最高権力者であるからだ。民衆が蜂起したときにはたいていは処刑、すなわち死刑にされる。安倍がいくら馬鹿でもそれくらい責任は思いのである。
中野氏が述べられたように国会が民意を反映したものになっていないと思います.神道政治連盟のHPには国民主権を謳っている憲法前文が「恥ずかしい」と書かれています.国会議員717名のうちの303名もが神道政治連盟のメンバーであるという状況は民主主義の危機です.最高裁は2009年以降連続4回の国政選挙を「違憲状態」であったとする判決を出しています.国会が「違憲状態」にあり、民意をrepresentしていないということです.「正当に選挙された国会」ではない.国民主権に「反する一切の憲法、法令及び詔勅」は排除しなくてはなりません.
昨日の日比谷野音での集会とそのあとの銀座へのデモに参加しました.今日の朝日、毎日そして東京新聞までもが参加者を3000人超としか書いていません.私が野音についた18:30頃は既に野音は満員で中に入れず、周囲にも大勢の人がいました.野音の座席数約3000として中にいるのは4000人程度だろう、外にはその2倍程度、内外で計約12000人かとそのときに見積もりました.デモが出発した19:15にはさらに人が増えていました.昨日のNEWS23は主催者発表で2万人と報じていました.これは正しいと思います.
来年の参院選に向けてこれからが重要ですが、今朝の新聞をみて不安になりました.NHK・朝日新聞はともかく毎日、東京新聞までが人間の数ではなく座席しか報道しないとはどういうことでしょうか.忖度か圧力か.圧力でないことを祈りますが、たとえ圧力があっても状況を正しく伝える何らかのメディアの確保が重要だと思います.
世の中一朝一夕では変わらない。
社会党を潰され、民主党が罠に陥り小沢氏を放り出させた奴らにひと泡吹かせるには長い年月が掛かるだろう。
何故なら奴らも約70年掛けてここまで来させたのだ。
青山茂晴氏がアメリカで健保草案を書いた人にインタビューした時、彼は「自分達が帰った後5年もすれば、憲法は書きかえられる、と思っていた」と云ったそうだ。
しかしそれから70年近く、その憲法はこの国で守られてきた。それこそが国民の不断の努力だったのだろう。この長い間の大部分の政権を担っていた、昔の自民党政治家もこの憲法に触る事は出来なかった。そしてそれを壊す事に成功しようとするのにも、10年近いという結構長い時間を要しているのだ。
それならこれからその破壊を修復するのにも結構長い時間が掛かるのではないか?その間改悪改憲だけは阻止しなければいけない。それには来年の参議院が本当に重要になる!三分の二を取らせる事だけ阻止すること!それには民主・維新を何とかして説得しなければならない。これに失敗すると彼らは中野教授が指摘するように、あちら側の住人として生きていけるようになってしまう。まぁ、元々そういう人間なのかも知れないが、それを改心させるのも一般国民の不断の努力に掛かっているのではないか?