「デタラメな解釈で集団的自衛権を容認する国務大臣、国会議員は、憲法擁護・尊重義務に明らかに違反する」 〜長谷部恭男氏、日弁連院内学習会で政府の姿勢を痛烈批判 2015.7.9

記事公開日:2015.7.11取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

 「安保関連法案は、審議が進めば進むほど、その問題点があぶり出され、国民の不信感が増大する。にもかかわらず、単に審議時間が積み増していることをもって『機が熟している』と、採決に及ぶことは許せない」──。

 2015年6月4日の衆議院憲法審査会で、集団的自衛権の行使容認などを含む安保関連法案を「違憲」と断じた憲法学者の長谷部恭男氏は、政府・与党が同法案の強行採決に踏み切る姿勢を見せていることを厳しく批判した。

 7月9日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、「日弁連院内学習会『安全保障法制』を問う part2」が開催された。日弁連は、国会で審議中の安保法案の違憲性を強く訴える「安全保障法制改定法案に反対する会長声明」を5月14日に発表、それに伴う院内学習会を6月10日に開催している。この日の学習会は第2弾で、早稲田大学大学院法務研究科教授の長谷部恭男氏、元最高裁判所判事で弁護士の那須弘平氏が講演を行った。また、共産党、民主党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたち、維新の党から、30名以上の国会議員が出席し、各党の代表者が同法案の廃案に向けて力強く共闘を訴えた。

 長谷部氏は、自民党が集団的自衛権行使の根拠としている砂川事件最高裁判決の解釈は、「まったくのデタラメ」と断言。「最高裁判決の先例としての価値とは、その判決がいかなる争点に対して出されたかに則して決まるもの。砂川事件の最高裁判決は、集団的自衛権行使の容認を許容する意図はあり得ず、(それを引き合いに出すことは)まったくの暴論だ」と断じた。

 元最高裁判事の那須氏は、「これまで日本は常にギリギリの選択の中、政府と内閣法制局の憲法解釈のせめぎ合いで、ここまで来た。しかし、過去の憲法解釈の変更がうまくいったから、今回も許されるというのは論理の飛躍だ。変更が許されるのは、緊急かつ深刻な国益の危機が迫った時だ。少なくとも今は、そういうことは起きていない」と力を込めた。

■ハイライト

  • 報告 長谷部恭男氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)、那須弘平氏(弁護士、元最高裁判所判事)

「集団的自衛権行使は、明白に憲法違反。自衛隊の後方支援も、武力行使の可能性がきわめて高い」

 日本弁護士連合会会長の村越進氏が登壇、「安保法案審議の緊迫度が増し、来週にも採決が予定されている。しかし、憲法学者や元内閣法制局長官の、違憲の判断は周知の通り。また、世論でも『議論不足』との声や反対意見が多数を占める。こういう国民の声を無視し、国会の数の論理で法案を押し通そうとしている。それぞれの立場、考えはあると思うが、今は立憲主義を守るため、反対の立場で一致し、廃案に向けて最大限の努力をしていきたい」とあいさつした。

 続いて、長谷部恭男氏がマイクを握り、開口一番、「安保関連法案の集団的自衛権行使は、明白に憲法違反。自衛隊の後方支援も、武力行使の可能性がきわめて高い」と明言。さらに、「砂川事件最高裁判決が、集団的自衛権行使容認の根拠となるという言説は、まったくのデタラメだ」と切り捨て、以下のように説明した。

 「砂川事件の最高裁判決の論旨は、日米安全保障条約に基づき、日本の個別的自衛権と、アメリカの集団的自衛権の組み合わせで、日本を防衛するための米軍駐留の合憲性にある。日本の集団的自衛権の合憲性を問うものではない。

 (自民党が言う合憲の)根拠は、判決文の『憲法9条は我が国が、その平和と安全を維持するために、他国(アメリカ)に安全保障を求めることを何ら禁ずるものではない』の部分だが、それは『憲法9条第2項で戦力の保持を認めていないために、日本は防衛力が不足するので、それを補うため、他国(アメリカ)に必要な措置を求めることはできる』ということであって、決して集団的自衛権が争点ではない」

「審議が進めば進むほど、国民の不信感は増大する」

 その上で長谷部氏は、「最高裁判決の先例としての価値とは、その判決がいかなる争点に対して出されたかに則して決まるもの。砂川事件の最高裁判決は、集団的自衛権行使の容認を許容する意図はあり得ず、(それを引き合いに出すことは)まったくの暴論だ」とたたみかけた。

 また、「(自民党は)故田中耕太郎最高裁長官の補足意見、『他衛は自衛。自衛はすなわち他衛』も根拠に挙げているが、これも日米安全保障条約の合憲性を念頭に置いた上での指摘で、まったく当てはまらない」と続け、「こういうデタラメな解釈で、集団的自衛権を容認する国務大臣、国会議員は、(憲法第99条の)憲法擁護・尊重義務に明らかに違反する」と断じた。

 最後に長谷部氏は、「安保関連法案は、審議が進めば進むほど、その問題点があぶり出され、国民の不信感が増大する。にもかかわらず、単に審議時間が積み増していることをもって『機が熟している』と採決に及ぶことは許せない」と力強く締めくくった。

「政府は憲法解釈の説明はできておらず、解釈の変更は不可能」

(…会員ページにつづく)

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「デタラメな解釈で集団的自衛権を容認する国務大臣、国会議員は、憲法擁護・尊重義務に明らかに違反する」 〜長谷部恭男氏、日弁連院内学習会で政府の姿勢を痛烈批判 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/252186 … @iwakamiyasumi
    得票率17%の自民党が進める法を無視した暴挙。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/619786779118338048

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