「沖縄だけでは止められない、力を貸して欲しい」――『海猿』の暴力が続く辺野古海上からの報告〜新基地建設に反対する海上行動のリーダー、仲宗根和成さん(35)に聞く(ぎぎまき記者) 2015.1.21

記事公開日:2015.1.22取材地: テキスト独自
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(IWJ・ぎぎまき)

 「沖縄差別」が止まらない。

 今月15日から激しさを増している、沖縄・辺野古での市民と県警との衝突。キャンプ・シュワブのゲート前では、21日、 新基地建設に反対する市民と県警機動隊のもみ合いで、女性2人が後頭部を打撲。前日にも85歳の女性が、強制排除の際に転倒し、意識を失った後に病院に搬送されている。

 一方、海上でも、怪我人が絶えない。沖縄防衛局の工事を阻止するため、カヌー隊が連日奮闘しているが、海上保安庁とのにらみ合いで、16日、カヌーメンバーの一人が肋骨を骨折。全治3週間の怪我を負った。また、19日には、抗議船の女性船長が、海保職員によってライフジャケットを引きちぎられ、右手首を打撲。翌日の20日には、女性カメラマンに海保が馬乗りになるなど、後を絶たない海保の過剰警備に、市民の間では反発の声が上がっている。

 その上、抗議虚しく、海上工事は着々と進み、フロートやオイルフェンスが設置された。25日には、仮設の桟橋の設置作業が始まるとも言われ、海上は「これまでにない」局面を迎えている。

 海保は警備の様子が広く拡散されることを警戒し、市民のカメラ撮影を妨害するという。海上では、何が行なわれているのか。IWJは21日、新基地建設に反対する、海上行動のリーダー、仲宗根和成さんに連絡を取り、電話インタビューを行った。

 沖縄県出身である仲宗根さんの口からは、海保に対する意外な想いがこぼれた。また、選挙で示した沖縄の民意を無視しての強行工事については、「沖縄差別」だと憤りを隠さない。身体を張って抗議する他に方法がないと語る仲宗根さんは、インタビューを通じて、工事を一日でも遅らせるために「力を貸して欲しい」と、県外や海外からの支援を呼びかけた。

▲「勝丸」の船長、仲宗根さんは普段、大浦湾でエコツアーガイドとして働いている

船長はカヌー隊を守るのが仕事

――海上行動にはいつから参加しているのか

仲宗根和成さん(以下、仲宗根・敬称略)「去年(2014年)7月中頃です。5年前から大浦湾をベースにエコツアーガイドをやっていて、目の前の海が埋め立てられるのが嫌だった。僕は、そこがきっかけですね。

 ツアーガイドの仕事に就くまでは、基地問題については詳しくありませんでした。カヌーを漕いでお客さんを案内するうちに、基地のことを知り、少しずつ人に聞いたり、自分で調べるようになりました。それで、船舶の免許を持っているし、自分でも何かできないかと、ヘリ基地反対協議会の安次富浩さんに相談したら、『じゃぁ船長でがんばってくれないか』ということで、海に出ています」

――1日に何時間くらい、海で抗議活動を

仲宗根「朝8時に出て、夕方4時までいるので、ほぼ一日ですね。今月(1月)15日から特に厳しい状況で、(沖縄防衛局の)作業員が朝8時30分から夕方5時まで作業するので、その間はずっと海保とにらみ合いです」

――仲宗根さんの船長としての役割は

仲宗根「ハンドマイクを持った人を船に乗せ、海保の職員と作業員に対して、『基地を作るな』『海を壊すな』と抗議しています。カヌー隊や僕らは、工事を止めて欲しいから作業現場を目指して近づきますが、作業の邪魔をさせたくない海保のゴムボートがこちらに近づいてくる。『危険な行為』ということで、カヌー隊を確保、拘束するわけです。僕らは手を出すわけではなく、『それが仕事なら、優しくやってくれ』と呼びかけます。

 ただ、こちらの想いも強いので、どうしても海保も暴力で抑え込もうとする。だから、肋骨を折る人も出てくる。海保はこちらの船にも乗り込んで、カメラを取り上げ、押し合いへし合いになる」

――カヌーを転覆させ、カヌー隊の顔を水につけ、弱まったところで確保するという暴力が行なわれていると聞きますが

仲宗根「今年(2015年)に入ってからは、それはないですね。昨年の夏場はありました。夏は温かいし、カヌー隊も元気で、フロートに乗り込もうとするので、そういう場面もありましたね。

 今も、カヌー隊が海に落ちる場面はもちろんありますが、海保も海に降りて、カヌーメンバーをボートに引き上げる。激しいのは引き上げてからです。カヌー隊が抵抗すれば、3人の職員に羽交い締めにされ、強制的に座らせられます。海保も力が入るから、肋骨を折ったりする」

「敵は日米両政府」—ヤマトの人間が信用できないから、若い世代は選挙に行かない

――仲宗根さんご自身は、何に対して闘っているのか

仲宗根「僕は、日米両政府が敵です。海上保安庁ではありません。ただ、目の前のことを無視することはできないですから。現実問題、目の前のことを一日一日積み重ねて『お前らがやっていることはおかしいんだよ』っていうことを教えながら、最終的には、相手は日米両政府ですね。基地建設を止めてくれというのが一番の目標です。

 今は建設工事を一日でも遅らせること。少しでも遅らせることができれば、いろいろ起きてきます。去年(2014年)11月の衆院選の前には、フロートを設置して、いよいよ明日からという直前に、フロートが突然撤去されたことがありました。聞く所によると、政治家の一声だったと。選挙前には、防衛局も海保も動かして工事を進めていましたが、選挙直前になって、一日で撤去した。工事を進めてしまうと、沖縄の自民党から分が悪いと反感があったのでしょう」

――逆に、今は選挙で民意を示しても、政府からの一声で工事が進んでいると

仲宗根「僕はそうとしか思えないから、だから、やっぱり敵は日米両政府なんです。本当は、日本が悪いんでしょうけど。国際社会でいったらこれは『差別』だと思うんですけど、なんでこういうやり方がまかり通るのか、不思議でたまりません。

 投票に行っても変わらないんだったら、選挙やらなければいいと。僕は後輩も一杯いますけど、選挙に行きたがらないですよ。それはそうですよね。選挙で勝っても、結局やる。だからヤマトの人は沖縄の人に信用されないんですよ」

――選挙で勝っても建設工事が進められるから、身体を張るしかないと

仲宗根「そうです。選挙やってこっちが勝っても、押し進めるわけだから」

――県外から応援に駆け付けてくれていることは、どう思うか

仲宗根「もう、ぜひ、力を貸していただきたいですよ。じゃないと止められない。日本だけじゃなくて、世界からも来て欲しい。この光景をみて欲しい」

▲抗議する市民を監視、拘束する海上保安庁のゴムボートは、海上に20隻以上出るという

海保の暴力と、報道では見えてこない現場での気遣い

――連日の暴力行為について、どう感じているのか

仲宗根「ゴムボートを統括しているリーダーとは、毎朝、会って話をするんです。お互い、怪我はさせたくないんで。僕が『今日はどういう作業をするのか』と聞くと、作業内容を教えてくれますよ。こっちも『じゃあ、分かりました』と。でも、もし現場が騒然とすることがあれば、『そん時はそん時だね』と。こっちは抗議しに来ているんで。

 去年の夏は、8月後半から1ヶ月、お互い喧嘩腰でしたけどね。でも、毎日、顔を合わすようになると、向こうも歩みよってくる。現場の人間は、お互いを理解している。現場の人間しか、これは分からない。海保のトップも、安倍政権も官僚も何も分からないと思いますよ。

 僕らは、彼らの肩をまだ持ってますからね。海保は、『確保』と指示が出れば、こっちを押さえ込む。そういう訓練を受けていますから。

 だから、僕は『そういうことをするな、怪我をさせるな、落ち着け』って叫ぶわけです。そうすると、相手も落ち着きますよ。『申し訳ありませんでした』と謝りますよ。やっぱりそうですよね。あっちも人間だから。怪我させたくないし、逮捕もしたくない。気持ちを問いただすように話していくと、向こうもね、下むいたりして、やっぱり嫌なんですよ。

県外から来た職員がリーダーシップを取っている

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