「イスラム国」行きを志願した北大生の素顔に迫る――「研究者として渡ってほしかった」岩上安身によるイスラム法学者・中田考氏緊急インタビュー(実況ツイートまとめ) 2014.10.9

記事公開日:2014.10.9取材地: テキスト
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 岩上安身によるイスラム法学者・中田考氏緊急インタビューの実況tweetをまとめました。イスラム国(IS)に志願しようとした北海道大学の日本人学生が警察に身柄拘束されたことに関し、中田氏も参考人として10月7日、家宅捜索を受けた。

岩上「真夜中に押しかけてすみません。ここは中田さんの仮住まいの首都圏某所です。中田さんは、モニバで僕がコメントしている裏で家宅捜索を受けていました。正直、中田さん、何かやらかしたのかと思いました(笑)」

▲岩上安身によるインタビューに答えるイスラム法学者・中田考氏

岩上「まず、現在逃亡中の身なのですか?」

中田氏「警察からは逃げていません。事情聴取も受けて調書にサインもしました。マスコミからは逃亡しています(笑)」

岩上「朝何時くらいに家宅捜索を?」

中田氏「9時半くらい。都内の家に家宅捜索が入りました。7人くらい来ました。部屋と郵便受けを探して、被疑者捜査に必要なものとしてPCなどを持って行かれ、一切の所有していた通信機を使ってはいけない、と。仕方ないからその後、スマホを買いました。さらに免許証、銀行カードも1枚取られました」

岩上「実際に、令状は何の名目だったのか。被疑者ではないはずです」

中田氏「私戦予備の関係で、例の北大生から連絡があったのは事実なので、まぁ仕方ないんですが、早くPCなどを返してほしいものです。相談には乗りました。応援していますし。イランに行く人間も応援しています。

 やりたいことをやる人間のことは応援します。イスラム的に。必ずしもイスラム教徒だけでなく、教育者だったので、若い人は応援します。イスラム法は自然法なので、それに反しなければ応援する、という話です」

岩上「シーア派が少数派で、スンニ派が多数派で…」

中田氏「スンニ派とシーア派を和解させることが私の目的なのです。そういう意味ではイランだって行く人は勧めます」

岩上「ISとはなんぞや、という話です。あっという間に現れ、席巻し、世界から睨まれた。あっという間に米国は空爆開始。世界対ISの中、ISに行く若者が世界からあとを絶たない。北大生との接触はどういう御縁で?」

中田氏「twitterで5年前くらい前の始めたての頃、知り合いから紹介された『悪質クラスタ』という変な集団がいた。『ダイシキョウ』と、『ホワセプ』というハンドルネームの数学者らが『悪質クラスタ』の中核でした。『大司教』は30歳くらい。

 古書店も『悪質クラスタ』のアジトの一つ。『ホワセプ』くんが例の捕まった北大生です。彼はもうイスラム教徒に入信しています。ISに入るためにはイスラム教徒であることは自己申告制で、特に洗礼なども必要ありません。国境検問所でも、パスポートも見ない。本来イスラムに国境もありません」

岩上「撹乱分子に神経を尖らすのでは?」

中田氏「諦めています。イスラム教徒と名乗った者は断れませんし。イスラム世界ができたらイスラム教徒はそこへ移住するのがコーランで義務なんです」

岩上「世界中から集まっている、というが、ここへやってくるのは伝統に則っているということですか」

中田氏「そうです。それでも行かない人もいますが。西洋ではイスラムフォビア(嫌悪)が高まっているので、シリアのほうが住みやすいこともあります」

岩上「ISには人を殺したくていきたい人ばかり、というのは嘘ですか」

中田氏「もちろん中にはそういう人もいるかもしれませんが、多くは普通の人です」

岩上「話を戻しましょう」

中田氏「twitterで『悪質クラスタ』を紹介されて、彼らをフォローし始めました。そこにホワセプ君がいて。ダイシキョウさんたちとはtwitterの仲で、初めて会ったのは2~3年前でした。

 ホワセプくんは一時、twitterから消えましたが最近復活して、就活に失敗したと聞いた。そこで、古本屋にシリアの募集があって…職の募集の紙です。ようするに、こういう仕事がありますよ、ということにホワセプくんが応募したようです」

岩上「最初から関与していたわけではないと?」

中田氏「はい。そうやってシリアに入るかの相談などには乗りましたが。ISはリクルートしていません」

岩上「なぜ悪質クラスタはISへの応募をうながすんです?」

中田氏「ISになったのは最近ですが、前から実態はあった。金のために行く、と言われています。シリア側は月給30ドルでした。戦士たちで、です。これは低い方です。住むところはあてがわれます。

 夫婦だと倍の60ドルになります。戦利品として奪った空きアパートを与えています。パンなどの食べ物の支給もあって、生活はできるんです。イスラム教徒であって、現地にいけば仕事がある、ということを悪質クラスタは知っていた。

 そして悪質クラスタは、私(中田氏)に相談すれば手引きしてくれるだろう、と考えて、勝手に募集の貼り紙を貼ったんです。貼りだされたのもtwitterで知りました。その本屋には最近初めて一度行きました。

 ホワセプくんとは、彼がISに行きたい、と言い出してから初めて会いました。戦闘員になりたい、と。もともとホワセプくんは死にたい、と言っていました。彼らは高機能広汎性発達障害というコミュニケーション障害の人たちなんです。

 ただし、『大司教』とかが典型ですが、ものすごく頭がいい。しかし社会では適応できない。そういう人たちがアジトのひとつで共同生活をしています。ダイシキョウはもともと宗教家。私よりずっと頭がいい人達です」

岩上「彼らはひきこもりのような生活をしながらも、情報処理したりする能力は高い。実際にイスラム世界へ行ったこともないが、バーチャル世界では情報を仕入れていて、いざ現実で行くときに橋渡しを中田さんにお願いした、と。断れたのでは?」

中田氏「私はイスラム教徒なので、イスラムは正しいと思っている。基本的に、宗教は危険で、イスラムは人を殺してはいけないと書いてあるが、人を殺した場合などでも許される、というのが教え。入信することが一番いいことなので。悪質クラスタは、物理学者中心なのですが、ミリオタもいます。ホワセプは違いますが」

岩上「若者を行かせるのは命の危険も高いのでは?」

中田氏「どうでしょう。友人は一人亡くなりましたが、他はみんな生きています。なかなか死にません」

岩上「他人の相談にのってイスラム国行きを手配したのは今回が初めて?」

中田氏「そうです。私に会ってからホワセプくんはイスラム教徒になりました。ホワセプくんは誰もが認めるクズでした。しかしイスラム教徒になったことで断食などして成長します。

 ISは、学者や研究者を求めています。本人たちは大まじめに国を作っていますから。アラブではコミュニケーションが楽です。気を使わないので。彼でも楽に生きられる。そういう環境で研究者として渡ってほしかった。

 日本は国際的にみて、イスラムと会話のできるポジションにあるわけです。日本とISの架け橋になる人間になってほしかった。それはISの側にも伝えました。数学者だと言ったら喜んでいました。歓迎すると言ったから送ったわけです」

岩上「誰に橋渡しを?」

中田氏「オマル司令官、という人です。宗教指導者でもあります。もともとは常岡浩介さんが彼と知り合いになって、彼が私のことを話して、電話でオマルさんと話しました」

岩上「橋渡しできる人は日本にそう多くないと思いますが、このインタビューのあとに『僕もいきたい』という人がいたら?」

中田氏「物理的にいけなくなりました。2日前にトルコ軍が国境に張り付いたので、もう抜けられません。頼まれても断らざるをえない。

 米国が空爆するということがアサド側に流れて、ISの幹部が姿を隠した。人質の湯川さんも隠されました。ISによる湯川さんの裁判の通訳がほしい、とISに言われたので、常岡さんを勧めました。そこで北大生を一緒に連れて行ってもらうように頼んだ。

 常岡さんは北大生を連れていくことに乗り気ではありませんでした。私が無理やり頼み込んだので、断れなかったんです。そういう意味では考えて世話をしたわけです」

岩上「それがどこでどうなったのか、警察がストップをかけました。なぜでしょう?」

中田氏「もともとtwitterで公開で話していましたから、わかるひとにはわかります。さらに、本当は8月11日に行くはずだったホワセプくんの送別会を前日にしたんです。その時にホワセプくんはすでにパスポートを盗まれていたんです。

 ネット上でホワセプくんの悪口を言いまくっている人たちがいました。日常的に公開の場で話していたので。その悪口言っていた人間がホワセプくんの親にチクって、パスポートを善意で取り上げた。それでホワセプくんは被害届を出しに警察に行ったんです」

岩上氏「なるほど。そして警察は捜査を始めたが両者の言い分を聞いてみたら彼がISに入る、ということになり、食い止めるためには私戦予備しかないな、ということになったのだろうと」

中田氏「そこでついでに目障りな私も、ということになったんだと思う。先に米国と英国がイラクを攻撃したのでISは首切りしたんです」

岩上「しかし首切りを公開したことで西側の世論を激昂させ、米国のネオコンの思う壺なことをしたわけですが」

中田氏「謀略ではありません。ただお互い利用しているところはあります。安倍政権はどうしようもないが、安倍政権を支えている自由と民主主義は否定しない。かなりファシスト的になってきましたが、合法性は認める。しかし政策には反対する。それと同じで、私はISはイスラム法には適合しているが、そのやり方には反対です」

岩上「これからもまだ警察の調べはありますか?」

中田氏「あるでしょう。この前も任意同行を断って。私は足が悪いので。家に来るぶんにはいくらでも話します。私は嘘はつきませんから。自由と民主主義を重んじる人たちはこの成り行きを見守ってください」

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  1. 中田さん、あなたはじゅうじゅう覚悟してのことと思う。それでもあなたが渡航し支援し、他のものを仲介する国は、平和を愛すし、戦争をこのまぬ私たちとは考えを異にしている。これまでもそのような日本人は、いたし、そこには純粋ですらある動機があるのであろう。あなたはきっと優しい人なのであろう、善意あふれるひとなのであろう。信仰の厚さは身を以て現している。
    それでも、あなたが支持し、渡航する国が戦う相手には、戦う国には、平和を愛する人たちも少なからずいるというのもまた現実である。それゆえ、あなたの考え方を理解することはあるにしても、あなたの行動には賛成することはできない。このことはとても悔しく、残念なことである。

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