「美味しんぼ」を読んだ福島のお母さん達の声 「行政は市民の声を拾ってほしい」~ふくしま集団疎開裁判 緊急記者会見 2014.5.21

記事公開日:2014.5.24取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

特集 3.11|特集 百人百話

 週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味しんぼ」で、主人公が福島第一原発を訪れた直後に鼻血を出す描写が論議を呼んでいるなか、「福島集団疎開裁判の会」「会津放射能情報センター」「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト・郡山」の4団体は、5月15日に佐藤雄平福島県知事に対して抗議文を提出した。佐藤知事は「美味しんぼ」について「極めて遺憾」と述べ、福島県として発行元の小学館に対し抗議していた。

 佐藤知事に抗議文を提出した4団体は、5月21日(水)、参議院議員会館で記者会見を行った。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2014年5月21日(水)
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

将来に対する不安も現実に起こった出来事すら口にできない

 「美味しんぼ」の描写に対して福島県双葉町、福島県、そして大阪府知事と市長が小学館に対して抗議文を提出し、環境省は批判的な見解を公表している。石原環境大臣は「何を意図しているのか理解できない」と発言し、安倍総理も「根拠のない風評」と述べている。

 これに対して弁護士である井戸謙一氏は、公権力が今回のように表現内容について科学的知見の現状を無視、黙殺して公然と批判することは、作者の雁屋哲氏の表現の自由、小学館の出版の自由に対する侵害であると主張した。そして、「美味しんぼ」に対する攻撃が、放射能に不安を感じながら福島県やその周辺で生活している人たちを、今まで以上に抑圧する結果を招くことになると危惧を表明した。

 井戸氏は続けて「鼻血の話はデマではありません」と述べ、井戸川克隆前双葉町長が鼻血を出していることは真実であり、福島第一原発事故後、福島のお母さん達の間では、「今までのタラタラと出る鼻血とは違ってドバッと大量に出た」「いったん出たらなかなか止まらない」など多数の例をあげた。

 「鼻血の原因が被曝であることはありえない」という行政の論調に対して。現状は医学的に議論が分かれており、「放射能による健康被害についてはいまだにわかっていないことが多い」と述べた。そして、原発事故によって放出された放射能では健康被害は生じないという宣伝が、行政の手によって、地域や学校で徹底的になされていることから、放射能に対する不安を訴える子どもが教師に叱られるような状況が生まれているという。健康不安を抱えている福島の人々が、将来に対する不安も現実に起こった出来事すら口にできない現状に、断固抗議すると語った。

保養から帰ってすぐ10人中4人が鼻血

(…会員ページにつづく)

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