「特定秘密保護法、そして市民を狙い撃ちにする共謀罪」 〜 講師 梓澤和幸弁護士 深井剛志弁護士 2014.3.27

記事公開日:2014.3.27取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

特集 秘密保護法|特集 共謀罪|特集 憲法改正

 「NSA(アメリカ国家安全保障局)は1日に17億件を盗聴する。『テロを防止するためだ、安心できないからだ』という。誰が? 甘い汁を吸っている人たちだ」──。

 2014年3月27日、東京都国分寺市にある国分寺労政会館で、講師に梓澤和幸弁護士を迎え、「戦争への道を許すな!『外に軍隊を派遣、内に自由を圧殺 秘密保護法と共謀罪』」が開催された。梓澤和幸弁護士が、特定秘密保護法案と共謀罪について講演した。「政府が秘密保護法で隠したいのは、原発の嘘と戦争の嘘。そして、共謀罪で市民への監視を強化しようとしている」と警鐘を鳴らした。

 また、明日の自由を守る若手弁護士の会の深井剛志弁護士が、自民党憲法改正草案の危険性について語った。今の日本の現状について、「戦前の世界恐慌で疲弊し、活路を求めて、満州事変、日中戦争へと拡大していった時代に似ている。今も格差が進んでおり、軍事国家になることで、不満な気持ちから脱出しようとしているのではないか」と懸念を表した。

■Ustream録画
・1/2(18:27~ 42分間)

・2/2(19:11~ 1時間23分)

  • 講師 梓澤和幸弁護士
  • 日時 2014年3月27日(木) 18:30~
  • 場所 国分寺労政会館(東京都国分寺市)

耳触りがいい表現が並ぶ、自民党憲法改正草案

 主催者のスピーチののち、まず、深井剛志氏がマイクを握った。「明日の自由を守る若手弁護士の会は、自民党の憲法改正草案を阻止するために立ち上げた」と話し、集団的自衛権行使のための憲法9条の解釈改憲に懸念を示し、自民党改憲草案の解説に進んだ。

 「草案は、まず前文で、国民より国を上位にしている。その上で『国民は国と郷土を守る義務がある』としている。『和を尊び、互いに助け合う』など、耳触りがいい表現が並んでいるが、国民に国を守る義務を強要しているのだ。憲法を守ることは、国家に対する命令(現行99条)であるはずが、国民が憲法を守る義務がある(改正草案102条)ことにすり替えている」などと指摘した。

 人権規定に関して、「草案では、第12条で『自由及び権利を得るためには、責任及び義務を伴う』となっている。また、第21条で、表現の自由は認めているが、『公益及び公の秩序を害しない範囲』に限っている」と、問題となるポイントを挙げた。

「反知性主義」が蔓延する日本

 憲法9条については、「条文(9条の2)が追加された。自衛権を明文化し、『国防軍を保持』としている。軍があると、軍事機密ができる。機密に関わる犯罪を裁くために、国防軍の審判所を設置するという」と、軍事裁判や軍法会議を認めていることを指摘した。「また、憲法改定の要件を定めた第96条(現行)では、総議員の3分の2の賛成が必要だが、草案は『過半数』に改訂している」。

 深井氏は「これらを許してしまう国民の現状は、どうなのか」と問いかけ、次のように述べた。「一見すると、正当な論調に聞こえてしまうが、TBSの金平茂紀氏は、このようなムードだけで妄信する世相を『反知性主義』とした」。

原発の嘘、戦争の嘘

 次に登場した梓澤和幸氏の題目は、「ふるさとと子どもたちのために。秘密保護法と共謀罪」。冒頭、石川啄木の歌を紹介し、「なぜ、秘密保護法や共謀罪を止めたいのか。子どもたちのためだ」と話し、自分の同窓会で聞いた、恩師の人情味あふれるエピソードを紹介した。その上で、「人と人のつながりが、今、壊されかけている」とした梓澤氏は、「そういう状況に乗っかったのが、自民党改憲草案であり、秘密保護法や共謀罪ではないか」と述べた。

 「では、秘密保護法は、何を隠したいのか」と本題に入り、「ひとつは、原発の嘘。もうひとつは、戦争の嘘だ」と指摘。立ち入り禁止の福島第一原発20キロ圏内に入り、警察に追い回されながら撮影を敢行した、写真家の谷内俊文氏や尾崎孝史氏を例に挙げ、「現段階では、災害対策基本法違反で罰金10万円だが、特定秘密保護法が施行されたら、彼らは懲役10年になる」と警告した。

 続いて、戦争の嘘については、ベトナム戦争に関する極秘報告書が漏洩した、ペンタゴン・ペーパーズ事件を挙げた。事件を起こしたダニエル・エルズバーグ氏は、ベトナム戦争の隠ぺいされた真実をニューヨーク・タイムズ紙に暴露、連載させた。これは、ベトナムからの撤退の流れを作った、と言われる。

 また、イラク戦争で米軍情報分析官のブラッドリー・マニング氏が、軍の機密情報をウィキリークスに暴露したことも挙げ、「米軍による攻撃でイラクの民間人6万人が死んだこと。誤爆で死亡、と公式発表されたアルジャジーラの記者は、実は狙い殺されたという事実。イラク人捕虜への拷問の実態などを明かして、マニング氏はスパイ防止法で懲役35年を受けた」と述べた。

 梓澤氏は「エルズバーグ氏は官僚、マニング氏は軍人だった。特定秘密保護法とは、そういう人々の、良心を抑圧するために作ったと思う。戦争の裏表を補強する法律だ」と語った。

市民を狙い撃ちにする共謀罪

 続けて、安倍政権が検討している共謀罪を説明した。梓澤氏は「悪いことをやった奴は処罰される。あらかじめ、何が処罰されるか、法律にちゃんと書いてあるからで、これを罪刑法定主義と言う」と前置きし、「刑法では600種類の犯罪がある。だが、共謀罪は、犯罪行為を実際に行なっていなくても、相談しただけで罰せられる罪だ」と、その異例さを指摘した。

 「先般、大阪の大生連(全大阪生活と健康を守る会連合会)など、生活保護の共同申請などを支援する団体が、詐欺の疑いで家宅捜査を受けた。共謀罪ができると、こういった支援団体などを共謀罪で逮捕できてしまう」と言い、特定秘密保護法よりも、もっと市民が狙い撃ちにされることに警鐘を鳴らした。

警察による職質や盗聴の範囲が広がる

 「共謀罪で警察の権限が拡大し、市民生活に好き勝手に入ってくる。警職法による職務質問の範囲が一気に広がる。共謀の証明ができない、という理由で、盗聴範囲の拡大を模索。すでに、法制審議会の分科会に、通信傍受法の拡大審議が持ち込まれている」。

 梓澤氏は、戦時中、脱走兵の家族全員が縊死させられ、「不忠の家」として戸籍すべてが消されたという、ある寒村で起きた痛ましい事件を紹介し、「今、それは現実味を帯びて迫ってくる」と危惧した。

 最後に、梓澤氏は「東日本大震災の語り部になった女子高生は、『同情をほしいとは思わない。共感がほしい』と言った。共感とは、福島や沖縄の現実を、私たちが自分のこととして思い、つながっていくことではないか」と述べ、「私には夢がある」というフレーズが有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を読み上げた。

 質疑応答の中で、梓澤氏は「今、国会内で、安倍内閣は『安倍支持内閣』、つまり、支持率で保っている政権と言われ始めている」とし、「また、盛んなデモや母親たちのアピールは期待できる」と希望も見せた。

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