【東京都知事選】宇都宮氏が高円寺で演説 「ブラック企業規制条例」「過労死防止条例」「平和都市会議の開催」 具体的な政策を訴え 2014.2.5

記事公開日:2014.2.5取材地: 動画
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(IWJ・原佑介)

 福祉、雇用、防災、原発、教育、憲法、オリンピック――。多くの政策を掲げる宇都宮健児・東京都知事候補が2月5日、高円寺駅前の街頭で演説した。

「ブラック企業規制条例」「過労死防止条例」で雇用の環境整備へ


 宇都宮氏は、「東京都の雇用問題は深刻で、若い人が将来に希望を持てなくなっている」と、若者の雇用問題について言及。

 「仕事がなく、あっても収入が少ない。それでは家庭も持てず、子育てもできない。正社員になっても、長時間労働を強いられ、過労死、過労自殺が多発している。『勝ち組』と呼ばれる若者が1~2年で使い捨てにされてしまう。希望を持てない社会は、持続可能な社会とは言えない」

 こうした社会を変えるため、宇都宮氏は都知事として、「ブラック企業規制条例」、「過労死防止条例」を作り、雇用環境の整備に取り組むという。

 「東京都は平成26年度、13兆円の予算を組んでいる。その中で、公共事業を大量に発注してきた。私が知事になれば、公契約条例(国や地方自治体の事業を受託した業者が雇用する労働者に対し、指定した賃金の支払いを確保させる規定)を作り、最低賃金を上げ、男女差別のない雇用環境を作る。労働環境を東京から変えていけば、全国的な底上げにつながる」

オリンピックと嵐とAKB48のためだけの競技場はいらない

 宇都宮氏は、「シンプルで環境に配慮した東京オリンピック」を掲げている。「東京都は、8万人が入る巨大な競技場を建設しようとしている。今、8万人の席を埋められるのは、『嵐』と『AKB48』しかいないらしい。16日間のために作られる巨大なメインスタジアムの維持には、年間40億円も必要」とし、「今の競技場を補強すれば十分なスタジアムになるのでは」との持論を展開した。

 「現在、原発事故による避難者の数が一番多いのは東京都です」。こう話す宇都宮氏は、「被災者の生活再建を進め、被災者が歓迎できるオリンピックにしたい」と訴え、パラリンピック開催に向けて、障害者が住みやすい、バリアフリーの街づくりをすすめる構想も語った。さらに宇都宮氏は、安倍政権下で韓国や中国と関係が悪化していることに触れ、「オリンピックは平和と友好の祭典だ。北京とソウルの市長に呼びかけ、平和都市会議を開催する。自治体外交を進め、2020年のオリンピックを成功させたい」と訴えた。

「あの時、なぜ大人は止めなかったのか」と言われないために

 応援演説に駆けつけたドイツ文学者の小澤俊夫氏は、安倍政権の軍国主義路線が未来に与える影響を懸念する。

 「どうしても宇都宮さんに都知事になってもらいたくてここに来た。安倍内閣はいい気になって、軍国主義を取り返すとしている。その末に、日本はどうなるか。子ども、孫たちが兵隊になるということだ。どうぞ、それを考えてほしい。『あの時、なぜ大人は止めなかったのか』と責められないように、しっかりしよう」

護憲の姿勢、弱者重視の視点を評価する聴衆

 聴衆の数は約40人。ベンチに座り、真剣な眼差しで演説を聞いていた、小さな赤ちゃんを抱えた若い母親は、IWJのインタビューで、「一番は憲法のこと。9条を守っていくということが気になった」と、護憲を掲げる宇都宮氏の政策を支持すると口にした。続けて、「どう考えても一番真っ当なことを言っている候補者ではないか。人間の良心でものごとを考えている」と語った。

 演説を終えた宇都宮氏に駆け寄り、手紙を手渡していた女性がいた。話を聞くと、息子の代理で来たという。

 「娘の連れ合いが、先週、宇都宮さんの話を聞いて、すっかりファンになって応援の『短歌』を作った。お疲れだろうと、短歌を読んで笑い飛ばしてほしいと。喜んで受け取ってくれました」。

 また、宇都宮氏のどういった政策を評価しているのかという質問には、「弱者重視の視点。貧しい庶民の心を知って、立候補している人。今まで、弱者に寄り添った仕事をしてきた。その実績をかっている。ぜひ都知事になって欲しい」と答えた。

■全編動画

  • 応援 小澤俊夫氏(小澤昔ばなし研究所主宰・ドイツ文学者)、稲葉剛氏(NPOもやい理事長)、永田浩三氏(元NHKプロデューサー)
  • 日時 2014年2月5日(水) 12:00~
  • 場所 JR高円寺駅北口(東京都杉並区)

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