「東電の体質は2年前から変わっていない。技術や人が足りないのなら、ちゃんとSOSを出して! 」ーー。
1998年から東電の隠蔽体質を鋭く指摘し続けてきた「東京電力と共に脱原発をめざす会」(共の会)が8月27日、東京電力本店と汚染水問題を中心に交渉を行った。議題にのぼったのは現在問題となっている福島第一原子力発電所の汚染水流出や、流出防止のために建設している遮水壁の問題、2013年11月から予定している4号機プール内の使用済み燃料取り出し作業、3号機から出ている「蒸気」についてなど、主に4点。共の会は、東電側の説明の矛盾点を指摘し、体質改善を迫った。
汚染水流出問題、変わらぬ隠蔽体質
東電は、汚染水流出を規制庁には7月18日に報告したにも関わらず、公式発表を22日に遅らした理由について、「土曜日、日曜日に評価がまとまったから」と回答。「情報公開・共有に積極的な姿勢がなかった」と謝罪した。これに対し共の会からは「参議院選挙の投票日は21日でしたよね、選挙が絡んでたんでしょう?」と自民党への配慮を疑う声や、「夜中でも、報告しなきゃいけないことでしょう! 」など、東電の情報公開の姿勢を問う声が相次いだ。
また東電が現在、汚染水の海洋流出を防ぐために建設している海側の遮水壁については、「護岸が崩れるという懸念があるのではないのか」との指摘があがった。共の会は「護岸は地震で非常に弱くなっており、古いから劣化もしてると思う。東電も護岸が崩れる心配をしているのではないか。早急に海面下の状況を調べて欲しい」と、東電側に調査を要望した。
放射性物質拡散リスクがつきまとう、核燃料の取り出し作業
さらに、東電が2013年11月から予定している4号機の使用済み核燃料プールから燃料の取り出しについて、共の会からは「燃料を取り出す時に、落下する可能性はないか」との質問があがった。これに対し東電は「しっかりとしたワイヤーを使用しているから、落下はしない」と断言。共の会は「『絶対』は無いのだから、シビアアクシデント対策をしっかり取ってほしい」と、万が一を考えたさらなる安全対策を求めた。この燃料取り出し作業は、万が一燃料が落下した場合、大量の放射性物質が放出される危険性が指摘されている。
福島第一原発は「地盤の悪いところに建てられた」?
福島県から静岡市に避難している女性は、「東電は『福島第一原発は設置許可が通ったから建てた』と言うが、建設当時、地元の人は『なぜあんな地盤の悪いところに建てるのか』と話していた」と、地盤の脆弱性を指摘。曖昧な回答を繰り返す東電に対し、共の会は「設置許可が通れば良いと言うが、地盤のことをちゃんと知っていますか?」と、強く問う場面もあった。
この日の交渉予定時間は3時間30分であったが、大幅に延長し、6時間30分の長丁場となった。交渉終了後、IWJのインタビューに応えた共の会メンバーの東井玲氏は、「東電がはっきりとした答えを言わずに、はぐらかして、交渉時間が長くなるのは毎度のこと」と語った。