今まで東電社員2名が2、3時間で約930基のタンクをパトロールしていた ~第4回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ 2013.8.27

記事公開日:2013.8.27取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「汚染水漏えいは環境に影響するので、時間との闘い。がんばります、というレベルの話ではない」と、更田豊志委員は語った──。

 2013年8月27日(火)18時より、東京都港区にある原子力規制委員会にて、第4回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループの会合が開かれた。福島第一原発のH4タンクエリアにおける汚染水の漏えいを中心に、報告と議論がなされた。漏えいがタンクのフランジ部分からなのか、亀裂によるものなのか、原因の解明には至らなかった。

■全編動画

■議題

  1. 汚染⽔貯留タンクからの漏えいについて
  2. 護岸付近の地下⽔からの告⽰濃度限度を超える放射性物質の検出等に関する対応について
  3. その他
  • 日時 2013年8月27日(火)18:00~
  • 場所 原子力規制委員会(東京都港区)

 はじめに、原子力規制庁の東京電力福島第一原子力発電所事故対策室、金城慎司室長より、8月23日に実施した特定原子力施設の現地調査についての報告があった。金城室長は「今回、漏えいがあったH1、H4タンクエリア、4メートル盤移送設備周辺などを調査した結果、それらで異常を把握できる記録はとっていなかった。推定300立方メートルの漏えい量ということで、長期にわたっているのではないか。薬剤注入による地盤改良の効果は確認できなかった」などと述べた。

 東電の担当者より、H4タンクエリアにおける汚染水の漏えいについて、「原因究明、直接対応」に関する説明があった。内容は、調査方法、タンク構造およびフランジ設計詳細、検査項目、作業員被曝線量、漏えい区域の放射線量、今後の調査方法と工程、などである。

 東電からは「亀裂からの漏えいか、フランジからの漏えいかは不明」との見解が示された。出席者が「1000トン荷重になるタンクに、20センチのコンクリート基礎では不十分だ。曲げ荷重には耐えられないのではないか」と指摘すると、東電は「すべてのタンクエリアは、地盤改良を行なっている」と安全性を主張。また、「現在、ボーリングによる地盤調査で、基礎工事の健全性をチェックしている」と答えた。更田委員から「基礎の強度データはあるか」と問われると、東電は「確認する」とし、関連して「水張り後の不等沈下はなかった」などと述べた。

 原子力規制庁の安井正也緊急事態対策監は、フランジ部分の保守点検について、「6時間で5トンの水位低下があったが、汚染水の移設の影響がはっきりしないのなら、他のタンクでも同様の事故が起こる可能性がある」と懸念を表明。タンク接合部のシーリング材の性能の検討、バブリング試験(空気を注入して欠損部を調べる)の検査の工夫、漏えいの原因と地下水位の究明などを、迅速に行なうように要望した。

 続けて東電より、「同型タンクにおける漏えい拡大防止・影響緩和」について、対応策の説明があった。「現在、1~4号機の汚染水を、約930基のタンクに貯蔵している。今回、漏えいしたフランジ型タンクは約300基ある。今までは、全体を1日2回、2名で分担してパトロールしていた。それを約60名体制にし、視認チェック、放射線測定、サーモグラフィによる漏水検査を行うように改善する」。 

 その後、タンクから漏えいした高線量汚染水が混じった雨水が、外部へ流れ出てしまうことへのリスク管理に関して、堰の開閉の是非に議論が集中した。結果、規制委員会は「漏えいリスクを考察した場合、堰の閉用運用がふさわしい」との見解に至った。

 また、福島担当の地域原子力規制統括管理官、小坂淳彦氏は「漏えいの点検については、以前より再三、指導していたにもかかわらず、対応してもらえず、こういう結果になったことは非常に残念だ。現実的な、効果のある点検体制を構築してもらいたい」と語った。

 最後に、東電から「中期的な対応」についての説明があった。内容は、汚染水の流出経路・範囲の調査計画概要、調査項目、2ヵ所追加した環境モニタリング地点と頻度(排水・海水)、現在のモニタリング状況、多核種除去設備(ALPS)の稼働計画と工程などで、その中の排水・海水に関して、東電は「それほどの放射能汚染は、まだ見られない」と述べた。

 質疑応答に移り、まず、規制委員会は、多核種除去設備(ALPS)の早期稼働を求めた。さらに、「汚染水タンクエリアの土壌性質からみた不等沈下などの懸念や、地下水バイパスの汚染評価を急ぐべき」と指摘した。

 安井緊急事態対策監が、規制委員会が作成した資料2について説明した。内容は、第4回会合の前にまとめたものに、この日の議論による変更点も含めた総括的なもので、最後に「今回は、急に起こったタンク漏えいの対策であったが、本来の、タービン建屋やトレンチの汚染水への対策も早急であることを忘れてはならない」と結んだ。

 更田委員が「これは環境に影響するので、時間との闘いだが、欠けがあってはならない。がんばります、というレベルの話ではない」と述べ、具体的な実施計画について、資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室の新川達也室長に説明を求めた。

 新川室長は「昨日、茂木経済産業大臣と現地を訪れ、5つの指示を出した。1. 管理体制の強化。2. パトロールの強化。3. 安全なタンクへの移設の迅速化。4. 高濃度汚染水の処理の加速化と汚染土壌の除染。5. 高濃度汚染水の貯蔵のリスクの洗い出しと対応の実施。時間の問題はあるが、東電と協議をしながら、計画をすみやかに進めていきたい」などと答えた。

 最後に更田委員は、護岸エリアの止水対策の効果を質問した。それに対し、東電は「薬液注入による地盤改良の効果は出ている。地下水位は、ウェルポイントで排水を行なっているため、地盤改良の天端(てんば=堤防などの最頂部)レベルを下回っている。ある程度、地下水は遮断できている」と、データを基に述べた。しかし、更田委員は「今の時点で効果があったとは、まだ言えない」と厳しい見方を示した。 

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です