東京電力福島第一発電所の汚染水流出問題で、東電は現在、八方塞がりと言わざるを得ない状況で対処作業に取り組んでいる。さらに、新たに12日に行われた「第2回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ」で、現在把握している流出箇所とは別に、他の場所からも流出している疑いがあると原子力規制委員会は指摘。東電に調査をするように求めた。
8月10日に1号機前から採取した汚染水の放射線値が、ベータ線を放つ放射性物質が1リットルあたり290ベクレル、トリチウムが1リットルあたり3万4,000ベクレルと高い値で検出された。これは、これまで汚染水が流れる方向として、地下水の流れに沿って山側から海側へ流れる東西方向と考えられていたが、敷地内を南北に伸びるトレンチなどを通り、汚染水が南北方向に拡散している可能性を意味する。
原子力規制委員会の更田豊志委員は東電に対し「何故1号機前から出たのか。新たに漏洩ポイントがあるのか。そちらの対策の方が急ぎになる」と、早急に他の漏えい箇所を特定するように求めた。
また、現在東電が行っている汚染水汲み上げの効果について更田委員は「35センチ水位が下がっているのは天候の影響。実際には、現時点での効果は出ていない」と指摘した。
さらに、東電はタービン建屋と海水配管トレンチを分離するために、液体窒素や液化炭酸ガスを使って、汚染水を凍結させて配管内に氷柱を生成し、汚染水を止水する「凍結止水」という方法の採用を試みている。しかし、規制委員会はこの方法に対して「1.5メートルの氷で耐えられるのか相当疑わしい」と指摘し、コンクリートなどで固めるなどの他の方法を勧めた。東電はこれ対し、考慮しておくと返答。この返答を受け、規制委員会は、東電にタービン建屋とトレンチの図面と寸法の詳細を提出するように求めた。
今後の予定として、次回会議は8月21日水曜日に行われ、また23日金曜日には更田委員を交え、現地調査に入ると報告した。