国と国の取り決めの名目に隠された、経済への奴隷化がTPPの目的だ ~TPPってなんだ?! 山本太郎がTPPについて熱く語る! 2013.8.23

記事公開日:2013.8.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

特集 TPP問題

 「TPPは、第3の壊国。多国籍企業から利益を上げる人たちのみに、恩恵がある」と山本太郎議員は語った──。

 2013年8月23日(金)19時より、岡山県の高梁市総合文化会館にて、7月の参院選東京選挙区で当選した山本太郎議員を迎え、「TPPってなんだ?! 山本太郎がTPPについて熱く語る!」が行われた。山本議員は、TPP参加によって、日本国民が受けるデメリットを語った。そして、農業、労働環境、医療、知的財産権、原発などへの影響に言及し、「TPPが国益に利することはない。多国籍企業の経済の奴隷になる条約だ」と警鐘を鳴らした。

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  • 日時 2013年8月23日(金)19:00~
  • 場所 高梁市総合文化会館(岡山県高梁市)

 冒頭、山本議員は「福島の原発事故で目が覚め、今まで世の中に無関心だった自分に無性に腹が立った。マスメディアの報道は一方的。原発にしろ、TPPにしろ、国とマスメディアの利害は、お金で一致している」と述べ、スポンサーとマスコミの強固な関係について、芸能界にいた自分の経験に照らして実態を語った。

 山本議員は、原発とマスコミ、大企業の癒着の構図を示した上で、「TPPも同じ構図だ。国と国の取り決めの名目の下に隠された、経済への奴隷化。それがTPPの目的だ」と話し、次のように断じた。「TPPは、第3の壊国だ。労働者からの搾取で、金銭バランスをとるしかない。不透明で不条理。TPP交渉関係者には、4年間の守秘義務もある。多国籍企業から利益を上げる人たちのみに恩恵があるのが、TPPだ」。

 具体的には、「農業分野では、遺伝子組み換え作物が大量に輸入されてくる」とし、遺伝子組み換え作物を与えたラットの生存率低下などの実験例を挙げて、危険性を指摘した。また、「TPP参加で国内の個人農家は廃業し、大企業がそれらの田畑を買い取り、遺伝子組み換え作物をどんどん生産するようになるだろう」と懸念を表明した。

 医療問題では、「TPPに入ると、医療保険もアメリカのようになる」として、国民皆保険制度の崩壊について話をした。薬の特許延長によるジェネリック薬品の消滅や、病院の営利企業化を挙げ、「アメリカの医療破産者は年間90万人いる。そのうち75%の人が医療保険加入者だ」と述べた。

 「TPPは、企業の営利活動を最大限にする地盤作り。企業に有利なISD条項があり、脱原発も難しくなる。ドイツは原発廃炉宣言によって、スウェーデンの電力会社バッテンフォールからISD条項で訴えられた。調停裁判は、世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターで行なわれるが、運営はアメリカ人が中心だ。中立性が保たれるわけがない」と、不条理さを説明した。

 山本議員は「日本のTPP関連の報道は、国内向け。日本がTPP交渉に参加しても、条項は一文も変えられないし、つけ加えることもできない。TPPのマレーシア会合に初めて日本が参加した時は、『なぜ、今から加入するのか』と、他国から皮肉られている」と、日本はきわめて不利な状況にあることを話した。

 知的財産権については、「TPPで、著作権の保護期間を作者の死後70年間に延長しようとしている(日本では50年間)。また、著作権侵害を、作者本人でなくても告発できるようにして、罰則規定もある。結果として、新しいコンテンツが生まれにくい環境になってしまう」と危惧した。

 さらに、「TPP交渉の内容は、利害関係者(ステークホルダー)しか知ることができない。つまり、600あまりの関係企業は情報にアクセスできる。国と国の協定ではなく、多国籍企業のための取り決めだ」とし、「では、どうすれば、TPPから撤退できるのか。100万人規模の反対デモで意思表示をするか、または、多国籍企業の奴隷になるか。今、そういう瀬戸際にいる」と訴えた。「今のままでは、原発も、TPPも、被曝も、政治が変えることはできない。国会議員として、政府に質問主意書を提出したが、TPPについては『答えられない』と一蹴された」と明かした。

 また、麻生太郎副総理が、水の民営化発言をしたことに関連して、「現在、外国人が日本の土地を買い取ることができる。日本の水源も、水施設も外国企業に買われていく」と憂慮し、一例として、ボリビアのコチャバンバで起こった水紛争の悲劇(民営化による水道料金の高騰に反対する市民デモが武力制圧され、死者や負傷者を出した)を紹介した。

 質疑応答で、「なぜ、TPPが悪いとわかっていながら、国会議員も阻止できないのか。また、山本氏はどういう社会にしたいのか」と聞かれると、「国会議員も、結局、自分の選挙結果を気にして、保身に走ってしまう人がほとんどだと思う」とし、目指す社会のあり方については、「多様性が認められる社会にしたい。人と違う意見も、気がねなく言える社会にしたい」と回答し、講演を終えた。

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