米国南西部のニューメキシコ州、アリソゾナ州、 コロラド州、ユタ州が交差する「フォー・ コーナーズ」周辺には、ナバホ、ホピ、アコマ、 ラクグーナなど多くの先住民が住む。そこにある聖なる山、テイラー山近くでは、住友商事が参画したウラン採掘計画「ロカ・ホンダ、ウラン鉱床開発」が進められている。
周辺では1940年代から、核兵器や原発の燃料としてウラン採掘が盛んで、環境汚染や健康被害も起こっている。今回、ナバホ・ネイション(アメリカ先住民居留地)出身で、ウラン採掘反対運動を続けるレオナ・モルガン氏が来日し、その真相を語った。
2013年8月3日、大阪市東淀川区の市民交流センターひがしよどがわで、ナバホ(ディネ)族活動家、レオナ・モルガン氏の講演会「米先住民と連帯し日本企業による先住民の聖地テイラー山でのウラン採掘計画にストップを!!」が行われた。レオナ氏は、ナバホ族(ディネ)の歴史、信仰、文化、ウラン採掘の実態や経緯などを語り、それに対する反対運動や、それに伴うさまざまな苦労を明かした。
- 講演 レオナ・モルガン (Leona Morgan) 氏
「ナバホ族」とはアメリカ政府が勝手に押し付けた呼び名
冒頭、ヒバク反対キャンペーン振津かつみ氏より、開催趣旨とレオナ・モルガン氏のプロフィールを紹介した。その後、マイクを引き継いだレオナ氏は「自分たちのことを、ネイティブアメリカンやナバホとは言わずに、ディネ(人々の意味)と呼ぶ」と話し、1890年頃のスライドを見せながら、アメリカ白人の先住民同化政策について説明した。
「先住民の部族は、アメリカ政府公認だけでも565部族を数える。ナバホは、アメリカ政府が押し付けた行政用語だ。先住民の領土を侵略していくとき、土地と密接に結びいたディネの精神文化を断ち切る政策を押し進めた。しかし、最近になって、先住民の文化を取り戻す運動が広がってきている」と民族の歴史を語った。
聖なる山々とウラン鉱脈
次にレオナ氏は、居留地のあるフォーコーナーズには4つの聖なる山があり、それらにウラン鉱脈が重なっていることを説明。「1940年代から1960年代の終わりまで、核兵器のためにウランが採掘され、1970年代からは、原発の燃料として採掘が続いている。ディネたちは、古いウラン廃坑での健康被害も多く、それを負の遺産と呼んでいる」。
「数々の環境破壊ののち、1969年、アメリカ連邦政府は環境保護法を作った。昔は、小さな会社が数年間ウランを採掘し、放射性廃棄物をそのままにして立ち去ってしまったため、除染は連邦政府が行なってきた。ナバホ行政地区には、520ヶ所に2000あまりのウラン廃坑が残っている」と話した。
地下水脈を汚染するインシチュリーチング鉱法
続けてレオナ氏は、ウラン採掘方法について説明した。「ウラン鉱石は、2000分の1しか含有されていない。従来は露天堀で、それを製錬所に運び、大量の水と化学薬品を使い抽出する。もうひとつのインシチュリーチング法(I.S.L.)は、地中深くにあるウラン鉱脈に化学薬品が混在した水を注入し、ウランだけを流し出す。採掘会社は、安全な工法と主張するが、地下水を汚染する。また、一度動かしたら水を循環させ続けないと、汚染物が地下水脈に流れ出てしまう」と、その危険性を指摘した。
レオナ氏は「南にある、聖なる山のひとつ、テイラー山(ツォディット)には、『聖人が住み、守らなければいけない』と言い伝えが残っている。ディネの地図では太陽の昇る東を真上にし、東は白、南は青、西は黄色、北は黒にたとえて、それぞれ、輪廻、循環など自然の流れを表す。そして、その方角にある聖なる山々を崇拝する」とディネの文化と信仰の強さを語り、環境汚染による伝統文化の破壊を懸念し、反対運動の重要さを訴えた。
反対運動の方向とリテラシーの育成
アメリカ先住民の文化を破壊するウラン採掘に日本企業も参加している 〜「聖地テイラー山でのウラン採掘計画にストップを!!」レオナ・モルガン氏講演 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/95887 … @iwakamiyasumi
これは「環境人種差別」だ。日本は名誉白人のつもりか。
https://twitter.com/55kurosuke/status/608958175648178176