「一両日中に緊急提言を取りまとめ発表しないと意味がない」 ~第3回 原子力市民委員会 2013.6.17

記事公開日:2013.6.17 テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013年6月17日(月)15時から、東京都千代田区の主婦会館プラザエフで「第3回 原子力市民委員会」が行われた。委員会がとりまとめ中の、原発の新規制基準を巡る「緊急提言」の発表が、事態の急迫を受けて大幅に前倒しされることに決定。集まった委員らは詰めの作業を急ぐこととなった。

■ハイライト

  • 主催) 原子力市民委員会(告知

 原子力市民委員では、原子力規制委員会が7月上旬の策定に向け進めている、原子力発電所の新規制基準を巡って、「原発再稼働を3年間凍結し、原子力政策を根本的に見直すべきである」との緊急提言を、国に対し提出する準備が進められていた。

 しかし、この日、一部の新聞で「各電気事業者が、原子力発電所の再稼働申請を7月上旬に提出する予定」との報道がなされたのを受け、座長の舩橋晴敏氏(法政大学社会学部教授)が「われわれとしては、この6月いっぱいは関係諸団体ともじっくり議論をしていく予定だったが、もはや余裕はなくなった。本日中に内容をまとめ、一両日中までに緊急提言を発表しないと、社会的な発表のタイミングを失ってしまう。後追いで意見を言っても、意味が薄れてしまう」と発言。委員会として提言発表の時期を早めることに、出席者からは異論は出なかった。

 舩橋氏は「今日の会合で、確定版をまとめる努力をしたい」と宣言。この日、すでに出席者の手元に渡っている提言の草案について、作成作業で中心的役割を果たした委員らが説明をした。

 吉岡斉氏(九州大学副学長)は「最初の3ページには相当こだわった。安倍政権による原発再稼動に向けての拙速な動きに対し、国民の多くは不信感を抱いていると思う。一方で、原子力規制委員会が、新規制の全体的な体系を示さないまま、個別具体的なことを五月雨式で進めており、原子力防災がきちんと機能するかという点でも、国民には不信感があるだろう」とし、「提言書の宛名は、内閣総理大臣と規制委員長の2人にした」と述べた。

 井野博満氏(東京大学名誉教授)は、総理大臣と委員長を宛名にすることへの賛成を表明した上で、「とはいえ、規制庁や規制委員会の職員が読んで、もっともだと思わせる提言を行うために、6ページ以降に詳細なものを付けた」と話し、当該する部分を具体的に解説していった。そして、原発事故を表現する言葉として、「重大事故」「過酷事故」「シビアアクシデント」のうち、どれがふさわしいかで思案中の旨も伝えられた。

 その後、出席した委員らが草案に対する所見を述べる時間が設けられた。海渡雄一氏(弁護士)は、草案の一部に原子力規制委員会の活動の積極性を評価する記述があることについて、「全体が、新規制基準は出来が良くないというトーンで貫かれている中で、どうしても違和感がある」と指摘し、理論展開の再構築で説得力を高めることを提案した。ほかにも、各人から忌憚のない意見を出されたが、大幅な修正を要求する声は聞かれなかった。

 終盤で、タイトルの再考や宛名の絞込みを求める発言がなされると、舩橋氏は「タイトル・宛名をどうするかは、非常に重要なので、この全体委員会で結論を得たい。それ以外の細かな検討課題については、ワーキングチームを作り、そこに一任したい」とし、出席者の了承を得た。

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