TPPでどう変わる?!私たちの暮らし ~これから想定されること。私たちのできること~ 2013.5.22

記事公開日:2013.5.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・佐々/澤邉)

 2013年5月22日(水)15時半から、山口県熊毛郡平生町のこびとのおうちえんで「TPPでどう変わる?!私たちの暮らし ~これから想定されること。私たちのできること~」が、進行・冨田貴志氏、講演・安部芳裕氏(プロジェクト99%代表)で行われた。安部氏は、TPPの内容を具体的な資料を挙げながら解説し、7月の参議院選挙で自民党を落とすことが、原発とTPPを止める鍵だと強調した。

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  • ゲスト 安部芳裕氏
  • 進行 冨田貴史氏
  • 日時 2013年5月22日(水)15:30~
  • 場所 こびとのおうちえん(山口県熊毛郡)
  • 詳細

 安部氏は、菅直人元首相の「平成の開国」「第三の開国」という言葉を、「明治維新で、大砲で脅しながら不平等条約を締結させ、敗戦後、占領したアメリカ側から発せられた言葉だ」と看破した。「その文脈でいえば、1989年の日米貿易摩擦解消のための『日米構造会議』以来、『年次改革要望書』を実現する形で、アメリカが日本の市場に参入しやすくする一連の法改正があったが、TPPはその延長線上にあるものだ」と説明した。

 また「前原元外相は『1.5%の農業のために残りの98.5%の産業が犠牲になるのか』といって、実際には暮らしの全般にかかわるTPPが、農業のみの問題であるかのような誤解を広めたが、TPPで農業が壊滅したら食糧自給が不能になり、ますます外国のいうなりの外交を強いられるのは目に見えているため、国全体の問題なのだ」と説明し、また、前原氏が「犠牲になる」という産業は、日本の主な輸出品、自動車、家電製品などの耐久消費財を指すが、その輸出額は全体のGDP比1.6%にすぎず、割合としては農業と変わらないことを指摘した。

 日本の輸出業は、TPPで恩恵をこうむるとされるが、日本の輸出依存度は11.5%(2009年)にすぎず、世界170国中164番目でとても低いことを安部氏は指摘し、「TPPへの参加を要求しているのは、少数の輸出が頼りの大企業であり、輸出企業の利益は、内部留保や株主配当、海外投資に向けられ、国内の雇用や給与に反映されていないことに注意するべきだ」と警告した。

 「TPPは秘密協定であり、暮らしの全般を根底から変える問題を含んでいるが、もっとも大きな問題は、非関税障壁の撤廃をうたっていることだ。これは、国が国民を守ろうとしても守れなくなるということだ」と安部氏はいう。例えば輸入牛肉の月齢制限や、郵政民営化、自動車の安全基準の問題など、いずれも国民の健康や福祉を優先させるよりも、アメリカ企業に有利な方向へ進められているという。

 非関税障壁の問題の中でも、安部氏は、遺伝子組み換え食品の問題を重く考えているといい、詳しく説明をした。「その理由は、日本の遺伝子組み換え食品の表示義務が、非関税障壁だといわれているからだ。表示義務がなくなれば、遺伝子組み換え食品は簡単に市場に広まってしまう。しかし遺伝子組み換え技術は未完の技術で、細部まで制御できないため、すでに遺伝子組み換え技術を使ったサプリメントを摂取することで、死亡を含む健康被害が出ている。また、殺虫性有毒成分は、人間の体内から排出されるといわれていたが、実際は血液に残留していることがわかった。遺伝子組み換え飼料を2年間ラットに与え続けた実験では、早死にや腫瘍が多数出たという報告もある。遺伝子組み換え作物とセットで売られる除草剤による、土壌と地下水、人体への汚染も深刻だ。しかし、アメリカは遺伝子組み換え鮭の養殖を許可してしまい、また3月27日に通称モンサント保護法という法律も通してしまった」。

 今の日本政府の立場については、「参加を表明しても、参加国と認められる7月下旬まで、今までの交渉の経緯や1000ページにわたる合意文書を閲覧することが禁止される。参加する前に合意されたことは、それが何かもわからないのに受け入れざるを得ず、その再交渉は要求できない。交渉を打ち切る権利は先行国のみに与えられる。今後の交渉の予定は残すところ7月、9月のみ、7月は長くても3日のみしか参加できない」という現状が報告された。

 後半のトークの中では、「政府がいう『農の集約化』とは、関税撤廃によって農業を続けられなくなった農家から、農地を企業が買い取り、そこにTPPで労働力を輸出したいというベトナムから、低賃金の労働者を入れて、農業の企業経営をするということだ」という説明もあり、TPP後の世界のイメージがかなり具体的に共有された。

 冨田氏と安部氏は、「7月の参議院選挙では、TPP推進の党を落とすことが大切。関心のある人から、輪を広げていこう」と参加者に呼びかけた。

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