県の取り組みが安倍政権によって追い風に―ライフイノベーション国際戦略総合特区 ~黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見 2013.5.2

記事公開日:2013.5.2取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・中川/澤邉 )

 2013年5月2日(木)14時、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。黒岩知事は、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区をPRするために、5日から11日まで訪米することを明かし、「アメリカと非常に太いパイプをつくって交流していきたい、コラボしていきたいとアピールしたい」との意気込みを語った。 

■全編動画

  • 日時 2013年5月2日(木)14:00~
  • 場所 神奈川県庁(神奈川県横浜市)

 最初に、黒岩知事は県内の風しん罹患の状況について、患者数の累積報告数が740件と増加傾向にあることを公表した。また、5月1日現在で、29市町村がワクチン接種に対する助成を行うと発表したことも報告。さらに、県内の新たな動きとして、医療機関が会社に出向き、希望する従業員に対して会社内でワクチン接種を行う取り組みが始まっていることも明かし、「現場の素晴らしい取り組みである」と評した。

 次に、特区制度を活用して、神奈川県から日本を変えていく取り組みをアピールするため、ライフサイエンス産業の先進国であるアメリカへ訪問することを発表。「現地企業に対するトップセールスや、今後の施策展開の協力依頼など、多くの成果が出せるよう、精力的に取り組んでいく」と話した。なお、9日には、日本維新の会・共同代表の石原慎太郎氏が東京都知事時代に尖閣諸島購入計画を表明した、ヘリテージ財団での講演も行う。

 そして、太陽光発電の設置負担を軽減する「かながわソーラーバンクシステム」を見直して、制度を簡素化することを告げた。昨年度は太陽光パネルメーカーや販売店などの事業体から提案された設置プランを、県が評価して選考していたが、一定の要件を満たす設置プランを、随時登録する制度に改める。また、「かながわソーラーセンター」で受け付けていた設置プランの見積もり申し込みを、代表事業者が直接受け付けることに変更し、手続きの迅速化が図られることになる。

 質疑応答に入り、アメリカ出張でアピールする具体的な内容を尋ねられると「大きなビジョンを話そうと思っている。人口ピラミッドが逆ピラミッドになっていき、今までのシステムではもたないという社会の中で、何が必要か。我々が取り組んでいる方法は『健康寿命日本一』を目指すこと、つまり、病気にならない、介護が必要ではない人たちをどんどん増やしていきたいということである。そのために、我々は『いのちプロジェクト』を進行させていると訴える。その中で、『未病』という概念を提示したい」と答えた。

 さらに、「薬に頼るのではなくて、医食農同源という東洋医学的な発想を最先端の西洋医学と融合させることで、未病を治して健康な高齢者を増やしていく。これができれば、これからの日本のモデルになるし、高齢化が進む先進国のモデルになる。それを我々は実践していくのだと話そうと思っている」と説明した。そして、「国際的に通用する医療人材もライフイノベーション国際戦略総合特区で育てたいと思っているし、大学、医療機関、教育機関もどんどん来てほしい。『会社もどんどん触れ合ってほしい』、『ここから革新的な医薬品が世界に向けて出ていく』とアピールしたい」と言葉を重ねた。

 「メリーランド州ボルチモアで予定されている企業誘致セミナーで、特区に誘致するという具体的な話に発展する可能性はあるのか」という質問が出た。黒岩知事は「商談会ではない」と否定しながらも、「今回、GCCに参加している企業から同行する者もいる。具体的な話が企業レベルで行われることはあると思う」と会社間で交渉がある可能性を示唆した。

 「ロボット産業特区をめぐる国との協議を、どのように受け止めているか」と見解を求められると、「なぜ特区が必要なのかをアピールした時に、我々は大胆な規制緩和を求めていた。規制緩和については大胆に踏み込んでもらうことを当然、期待している。ところが、具体的な折衝に入ると、従来型の霞が関の論理が出てきた。例えば電波法や薬事法の規制緩和を求めると、担当部局に話がいって、『この規制はだめ』といわれる。経済のエンジンを回さなければいけないという時に、『名ばかり特区』で、従来型の霞が関の論理で押し切られて何もできなかったならば、本当に大変なことになる。国に対して厳しく当たっていきたい」とコメントした。

 一方で、「ライフイノベーション国際戦略総合特区で、私自身が内閣の健康・医療戦略室の参与になっている。その場で直接、官房長官らに訴える場が用意されていることは、私にとってありがたいこと」と述べた。さらに、「二つの特区は基本的には違うが、特区連携を行おうとしている。『名ばかり特区ではだめ』と、この間の参与会議でも私は大きな声で訴えた」と付け加えた。

 「注目を集めるアベノミクスは、ライフイノベーション国際戦略総合特区の取り組みに影響はあるか」との問いかけには、「安倍総理の成長戦略は、我々にとっては追い風になった」と返答。そこで、記者が「仕事がしやすくなっているということか」と聞くと、「ものすごく、やりやすくなっている。今回のアメリカ訪問でも、安倍総理と私の関係の近さをアピールしてこようと思っている」と明かした。その上で、「政権の目指す大きな方向性を実現する現場を預かっているのは我々だということ。地方から日本が変わっていくといった姿勢をアピールしていきたい」との意欲を示した。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です