「サンフランシスコ講和条約以降の日米関係は、単に日本がアメリカに従属したというだけの関係ではありません。これは、日本側が国家の意思として明確に打ち出した、『自由意志による従属』なのです」。
著書『吉田茂とサンフランシスコ講和』(大月書店1996年刊)で、膨大な一次文献の検証を通して、いわゆる「吉田茂神話」を解体してみせた、中部大学教授の三浦陽一氏は、2013年4月23日(火)15時より、愛知県春日井市の中部大学の研究室で、岩上安身のインタビューに答え、戦後の日米関係をこのように表現した。
沖縄県民から強い反発が出ている、4月28日の「主権回復の日 記念式典」については、三浦氏は「あえてやってみせたらいい」とし、「沖縄の人たちも呼んで式典を開き、実は、主権回復は不完全であることを、示してみせればよいのではないか」と語った。 話題は他にも、ミサイル発射が取り沙汰される北朝鮮情勢から、海幹校が策定したとされる「統合エアシーバトル構想」、日米合同軍事シミュレーション「ヤマサクラ演習」まで、多岐に及んだ。
※インタビュー中、山田洋次監督が故人であるかのような表現がありましたが、誤解によるものです。訂正してお詫びいたします。動画、及び文字起こしの文章から削除いたしました。ご指摘をお寄せいただいた皆さま、ありがとうございました。(2014年2月19日)
はじめに、岩上は「米韓ともに、北朝鮮に対して、先制攻撃をすると宣言し、米韓合同軍事演習が行われている事実がある。国内ではTPP、改憲問題、秘密保全法が同時並行的に進行している。この現状を考える時、原点に立ち返る必要がある」とした上で、「敗戦後、日本がどのような道を辿ったのか。4月28日の主権回復の日は、米国の属国であるということを隠すための式典なのではないか」と質問した。三浦氏は、1952年4月28日に、平和条約と日米安保条約が同時に発効されたにも関わらず、賠償問題、領土問題が曖昧なままで、主権回復が不完全なものであった点を指摘した。領土問題については、「戦後の日本を、どこの国に帰属させるかを曖昧な状態にしておき、東アジア諸国を分裂させる方がメリットがある、とした米国の思惑があった」と説明した。
続いて、「第2次世界大戦、朝鮮戦争を経て、サンフランシスコ講話条約を結んだ日本の外務省主流派と天皇が、日本の内乱、東アジアでの戦争を想定して、日本を米軍基地として差し出し、米軍に留まってほしいという意図があった」とし、日米関係が単なる従属構造でなく、戦後早い段階から、自由意志による従属体制が形成された点について解説した。その上で、「日本は、米国に従属することにメリットを感じていた。自由意志による従属は、国家意志として明確に存在し、中間管理職的ポジションを保持しながら、支配する側に立とうとする意志があった。その代表的人物として、率先して沖縄を米軍に使ってもらおうというメッセージを発した、昭和天皇が挙げられると思う」と指摘した。
三浦先生はJohn W. Dowerの『敗北を抱きしめて 』の翻訳された方なんですね。
私はまだ読んでないですが『敗北を抱きしめて 』って名著だってどこかで聞いた様な気がする・・・
何で言わないのかな?謙虚なお方なのかしら?
皆さん 三浦先生のブログ「ごきげんようチャンネル」も読み応えありますよ~