2013年2月10日(日)13時半より、福島県二本松市の安達文化ホールにおいて、福島県と福島県立医科大学による「県民健康管理調査『甲状腺検査』説明会」が行われた。福島県立医科大学教授の鈴木眞一氏による甲状腺検査の趣旨説明などと共に、質疑応答が行われた。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年2月10日(日)13時半より、福島県二本松市の安達文化ホールにおいて、福島県と福島県立医科大学による「県民健康管理調査『甲状腺検査』説明会」が行われた。福島県立医科大学教授の鈴木眞一氏による甲状腺検査の趣旨説明などと共に、質疑応答が行われた。
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福島県立医大の放射線医学県民健康管理センター甲状腺検査部門長を務める鈴木氏は、甲状腺検査の必要性を、基本調査の結果と併せて説明をした。鈴木氏は、甲状腺検査の趣旨について、「子どもの甲状腺のしこりの有無を超音波によって検査することで、保護者の不安解消と共に、現時点での子どもの甲状腺の状態を把握し、長期に渡る変化を見守っていくことが目的である」とした。その上で、甲状腺検査の流れを説明し、一次検査では、判定委員会を設け、「複数の専門医による合議によって判定を実施することで、正確さを保つ」と説明した。
続いて、甲状腺検査の実施状況について、「進行は若い人ほど遅く、放射線被ばくで甲状腺がんになるリスクは、年齢と線量が影響している。スクリーニング検査の中で、事故後の放射線による影響ではない甲状腺がんが、小さいうちに発見される可能性があるが、それは早期発見、早期治療に繋がる」と説明した。
質疑応答の中で、福島県保健福祉部健康管理調査室の室長、佐々恵一氏からは、被災者に対する心の健康と生活習慣に関する調査を実施し、甲状腺検査、外部被ばく線量、ホールボディカウンターによる検査、個人線量計の測定結果などと併せてデータベース化し、県側で永久に管理し、一人ひとりの調査を進めていく計画が説明された。それに対して、市民からは「放射線が原因でなくても、避難などで生活の変化を強いられ、心身ともに影響が出ている人がたくさんいる。避難区域以外の人々も、検査対象に加えてほしい」という要望が上がった。
内部被ばく線量の推計を求める市民の声に対して、佐々氏は「現在、行動記録を基に出そうとしているのは、外部被ばく線量である。内部被ばく線量を求める必要があるという認識はしているが、難しい問題である」と述べた。その上で、「外部被ばくも内部被ばくも、シーベルトという単位で表すものは、身体への影響の度合い、という点では同じである」と説明、外部被ばく線量の推計だけで問題ない、とする立場を示すと、回答に納得できない人々から「吸引した場合の影響は違うだろう」などと、疑問の声が上がった。
市民からの「本当に子どもを守ろうとしているのか」という憤りの声に対して、佐々氏は「ホールボディカウンターや、実測のモニタリング数値を活用しながら、初期被ばくの実態を示そうとしている状態である。避難を実施しろという指摘があるが、難しい。福島の現状を踏まえて、制定された復興再生特別措置法、超党派による、原発事故子ども・被災者支援法の中身を早急に詰めるよう、国に要請している」と説明した。鈴木氏は「私は、国や東電を代表しているわけではない。がんを発見したら治療するのは当然だが、甲状腺がんについては、自然由来なのか、被ばく由来であるのか、どのように区別するのかが今後の課題であり、検証していかなければいけない」と述べた。