2025年3月19日(水)午前11時30分より大阪市北区の大阪弁護士会館にて、夢洲・IR・差し止め訴訟報告集会が開かれた。
夢洲IR関連訴訟の現状と問題点
現在、夢洲IR事業をめぐり、以下の4つの訴訟が併合審理されている。
夢洲IR差し止め訴訟(第13回)(第1・6事件)
夢洲カジノ用地賃貸契約差止訴訟(第10回)(第2事件)
大阪IR・カジノ土地改良事業差止訴訟(第3回)(第3・4事件)
格安賃料による損害賠償(約1,045億円)請求訴訟(第2回)(第5事件)
訴訟の争点
原告団は、6つの事件を提起し、主に以下の点を争っている。
1. 土地の引渡し・登記差止め(第1・2事件)
2. 土地改良費用負担の差止め(第3・4事件)
3. 使用貸借に伴う損害賠償請求(第6事件)
4. 約1,000億円の損害賠償請求(第5事件)
焦点は不当な賃料評価
特に注目されるのは、第5事件だ。IR事業用地の不動産鑑定が不適切であり、適正賃料との差額(約1,000億円)について、元大阪市長松井一郎氏や現横山英幸市長らが損害賠償請求を受けている。
問題の核心
IR事業用地の賃料は、1平方メートルあたり428円(基礎価格12万円/平方メートルに基づく)と算定されている。
一方、隣接する夢洲変電所用地(2023年売却)は、1平方メートルあたり約33万円と評価された。
両土地は地理的・環境的条件がほぼ同一であり、この価格差は不合理だ。
不動産鑑定の不透明性
IR用地の鑑定(2019年・2021年)では、複数社が12万円/平方メートルと評価した。
変電所用地では当初15万円/平方メートルとされたものの、審議会が過小評価と指摘。最終的に33万円/平方メートルで売却が承認された。
同じ夢洲内の土地でありながら、IR用地のみ極端に低く評価されていることは、鑑定プロセスに問題がある可能性を示唆している。
大阪市の矛盾した対応
市は、変電所用地では適正価格を追及した一方、IR用地では不当に安い賃料を容認している。このような二重基準は、行政の公正さを疑わせるものだ。
社会的影響と今後の展開
公有地の不適正な評価は、市民の財産権を侵害し、行政・司法への信頼を損なう。次回の裁判は以下の通りだ。
・2025年6月17日(火)11時00分~(大阪地裁202号法廷)
・2025年10月9日(木)11時00分~(大阪地裁202号法廷)
IR事業の適正な実施と市民の利益保護に向け、今後の裁判の行方に注目が集まっている。