「徹底抗戦もあるが、時間があっという間に終わってしまうことも想定できた」――「カジノ法案」に徹底抗戦を貫けなかった民進党・蓮舫代表をIWJが直撃! 2016.12.15

記事公開日:2017.1.11取材地: テキスト動画
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(取材・文:安道幹)

特集 統合型リゾート(IR)実施法案
※1月13日テキストを追加しました。

 2016年12月15日、民進党・蓮舫代表による定例記者会見が行われた。会見では、前日14日に参議院、衆議院の両本会議で可決された「カジノ法案」こと「統合型リゾート施設(IR)整備推進法」について質問が集中した。

 蓮舫代表は、13日午後の常任幹事会では、この法案について「廃案に追い込んでいきたい」と徹底抗戦の構えを見せていた。だが、その号令からわずか3時間後。民進党は内閣委員会で、ギャンブル依存症対策の拡充などを盛り込んだ自民党の修正案を、衆議院に差し戻すことを条件に、受け入れてしまった。

 その後、14日に行われた参議院、衆議院の両本会議で、民進党は伊達忠一参院議長の不信任決議案や安倍晋三内閣への不信任決議案を提出することで、一応は「徹底抗戦」の構えを見せたものの、先の委員会においてすでに自民党の修正案に合意している以上、そのちぐはぐな対応だけが浮き立った。法案に反対する野党各党や市民からは批判の声があがっている。

 会見では、カジノ法案をめぐる、この民進党の矛盾した対応について、IWJ記者が質問している。以下、記者会見でのやりとりの一部を掲載する。

■ハイライト

  • 日時 2016年12月15日(木)15:00~
  • 場所 民進党本部(東京都千代田区)

「徹底抗戦もあるが、時間があっという間に終わってしまうことも想定できた」

――今回の臨時国会は、TPP、年金制度改革法案、IR(カジノ)法案、3つが提出され、政府・与党の態度は非常に強硬なものだったと思います。ですが、特にIR法案に限っては、蓮舫代表も「廃案に押し込む」と意気込んでおられましたし、参議院の内閣委員会の委員長も民進党議員でしたので、徹底抗戦の構えだったのではないかなと思います。しかし結果は、すんなりと採決に移行したように見えました。

 これについては民進党に期待していた有権者からも非常に戸惑いの声が上がっています。代表として決定していたことと、榛葉賀津也(しんばかづや)国対委員長の決定に、なぜ齟齬(そご)が生じたのか? なるべく具体的に説明をしていただけないでしょうか。

蓮舫代表「有権者、国民の皆さま方に不信感を持たれてはいけないというのは、当然、私たちの立場でございます。ただ、やはり衆議院でも参議院でも3分の2以上の議席を保有しているのが政府を支えている与党です。私たち野党は、このカジノ解禁法案は拙速すぎると思っています。審議時間も短い、特にギャンブル依存症に対しての疑念に、なんら答えてない議員立法の答弁でした。あるいは、違法性阻却もまったく説明されていないという部分で、刑法で禁止されているのを解禁する、その必要性も、なかなか理解できませんでした。

 私たち、やっぱり廃案に持ち込みたい、その道筋をつくりたいという思いは誰よりも強く持っていましたし、国民の不安の声に寄り添いたいという思いも、今、なお持っています。

 ただ、そうした数の力の中で、われわれの持ち得る選択肢は実に限られています。今、お話しになられたように、徹底抗戦をするということもあるでしょう。あるいは一方で、その私たちの取る数少ない選択の結果によって、時間があっという間に終わってしまうということも想定できるものがありました」

▲民進党・蓮舫代表

▲民進党・蓮舫代表

 蓮舫代表の説明では、民進党が内閣委員会で自民党の修正案に合意してから、その後に、参院・衆院本会議で「徹底抗戦」に出た、そのちぐはぐさが説明されていない。

 おそらく蓮舫代表は、委員会が行われた13日の段階では、政府・与党が臨時国会の会期延長を決定するか否かが不透明だったため、民進党は限られた時間内で「依存症対策の拡充」という「実」を取りに行ったのだ、と言いたいのだろう。

 だが、我々には民進党のこうした姿勢が「腰砕け」のように映り、野党の足並みを乱してしまった原因のように思われる。我々がカジノ法案に反対するのは、決して「カジノによってギャンブル依存症が増加するため」だけではない。より根本的な反対理由は、人の不幸を前提にした「カジノ」というギャンブルによって、国の成長戦略を描こうとする、その貧しいビジョンについてである。

 博打によって、誰かが確実に敗者となり、貧しくなる。その一方で、博打にたまたま勝った者が富む。その「ゼロサムゲーム」のどこが、国全体としての経済の「成長」と言えるのだろうか。

この先、政府は1年をめどにカジノ解禁に伴う法規制などを定めた実施法案を出すとしている。IWJとしても、引き続きこのテーマを追っていきたい。なお、カジノ法案については、会員の方は以下の記事を全編ご覧いただくことができる。ぜひ、会員登録をお願いしたい。

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