2021年12月24日、東京・千代田区の司法記者クラブで、今年の衆議院議員選挙で「1票の格差」が最大2.08倍であったことは憲法違反だとして、先に提訴していた裁判の口頭弁論が行われ、原告訴訟代理人の弁護士らが会見を開いた。
2021年11月1日、「1票の格差」が最大2.08倍になった今回の衆院選は憲法違反で無効だとして、升永英俊弁護士のグループが289選挙区全ての選挙のやり直しを求めて、全国14の高等裁判所、高等裁判所支部に一斉提訴した。
4年前の前回選挙から区割りに変更はなく、格差は1・98倍から拡大したことになる。従来、2倍が違憲判断の目安となってきた。格差が2倍を超えたのは、全国289の小選挙区のうち31選挙区にのぼる。
原告訴訟代理人の升永英俊・弁護士は、憲法は人口比例選挙を求めているが「国民の少数が国会議員の過半数を得られる」「日本は非人口比例選挙だ」と述べた。
升永弁護士は、少数が国会の過半数を得られれば、残りの過半数の国民は半数以下の議員しか選出することができないとして、「国会の過半数の意見と国民の過半数の意見が矛盾した場合、国民が勝つことが全く保証されない」、「これは国民主権ではなく国会議員主権だ、とんでもない」と憤った。
原告らは準備書面の中で米国の選挙を例示して、フロリダ州やペンシルベニア州では、選出議員一人当たりの人口格差は最大で1人で、ニューメキシコ州では0人。今年の衆議院選挙(小選挙区)では議員一人当たりの有権者数でみると最大選挙区(東京10区)では48万1534人で、最小選挙区(鳥取1区)では23万3060人。その有権者数の差は24万8474人になっている、として、彼我の差を指摘した。
参考
- 1票の格差、最大2.086倍 2倍超は31選挙区【21衆院選】(時事通信、2021年10月19日)