2021年9月17日、自民党総裁選挙の候補者4名による「所見発表演説会-日本を守る責任-」が、自民党党本部で開催された。逢沢一郎氏は司会を務めた。
冒頭、野田毅総裁選挙管理委員長が、「所見発表演説会」に先立つ午前10時に総裁選挙候補者の届出の受付を行ったと述べ、届出順に4名の候補者を発表した。河野太郎候補、岸田文雄候補、高市早苗氏、野田聖子氏である。
9月29日には党所属の国会議員による投開票が並びに当院投票の開票が行われ、新総裁が選出される。
所見発表演説は届出順に行われ、それぞれ20分が与えられた。
河野太郎候補は、「我が党の立党宣言にあるように、政治は国民のもの。国民と共に笑い、国民とともに泣き、国民の思いや不安を受け止め、国民に共感していただける、そういう政治を通して人と人が寄り添う、温もりのある社会をつくりたい」と切り出した。本来の保守とは温かいものだと主張した。
河野氏はまず、コロナ禍で日本が分断されている、この分断を補修し、温もりのある社会を作っていかなければならないと訴えた。河野氏はワクチン供給での実績を示し、今後は早く結果のでる検査キットを安価で大量に供給すれば、いろんな可能性が広がっていくと訴えた。
そのほか、未来につながる投資として、子育て支援、テレワークによる一極集中構造の反転として「デジタル遷都」、再生可能エネルギー、付加価値の高い農林水産業、アベノミクスがもたらした利益を個人・賃金への還元、社会保障、「年金生活を守る」年金制度の改革、外交・安全保障では価値観を共有する国との連携、非キリスト教的なアジアとの連携などを訴えた。
動画24分30秒ごろから、岸田文雄候補の所見発表演説が始まる。
岸田氏は、「全身全霊を傾けてがんばります。どうぞよろしくお願いします」と話し始め、「1年間コロナ禍と戦ってきた菅総理に敬意を表します」と、菅総理の功績を称えた。
岸田氏は昨年度の総裁選の敗北について語り、その後、多くの人との議論や多くの国民の声、政治に対する厳しい指摘を通して、「今こそ、国民政党として国民の声を聞き」、多様な意見に耳を傾ける「丁寧で寛容な政治」を「全員野球」で進めようと訴えた。
岸田氏はまず、自民党改革を進める4つの視点を掲げた。
第1は、党役員に中堅若手を登用することなどによる「新陳代謝」、第2は党役員の任期の明確化などによる「権力の集中と惰性の防止」、第3はオンライン会議などを活用した「地方との連携強化」、第4は中長期的な政策を立案する仕組み構築などによる「政策力の強化」である。
次に、岸田氏は「国民の声を丁寧に伺う」、「個性と多様性を尊重する社会」、「みんなで助け合う社会」という「3つの約束」を挙げた。
国民が納得する「コロナ対策(ウィズコロナ)」、新自由主義を転換する「新しい資本主義による経済政策」、自由や人権などの基本的な価値などを守って「国民を守り抜く外交・安全保障」という「3つの政策」を示した。
動画44分ごろから、高市早苗候補の所見発表演説が始まる。
高市氏は「日本を守る責任と未来を開く覚悟を胸にこの自民党総裁選への立候補を決意した」と述べ、「国の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと、領土、領海、領空を守り抜くこと、国家の主権と名誉を守り抜くことだ」と主張しました。
高市氏は、新型コロナウイルス対策には特に治療薬の早期投与、自宅療養者数の減少、国産ワクチン・国産治療薬の開発、サプライチェーン全体の経営基盤の維持などに大胆な財政出動をすると述べた。
高市氏は、経済安全保障と国防にも力を入れるとし、ゲームチェンジャーは「衛星、サイバー、電磁波、無人機、極超音速兵器」だとし、「敵基地無力化、なかなか困難ではございますが、これを可能とするための法制度整備、訓練と装備の充実、防衛関連予算の増大を行ってまいります」と述べた。
広範な分野への大胆な財政出動を提示した後、最後に高市氏は憲法改正への強い意欲を表明した。
動画1時間5分ごろから、野田聖子候補の主権発表演説が始まる。
野田氏は、冒頭、どうしても立候補しなければならないと思った理由として「自民党の多様性を示さなければならない」と述べ、「これまでの政策には人口減少、社会的弱者、格差拡大などへの視点が欠けていた。小さき者や弱き者、人の暮らしが見えない」と批判した。
野田氏は、自民党が支持される理由は多様性だと主張した。まずは「我が身を振り返る。反省と検証が必要だ」と述べ、「党改革を叫ぶ前に、もっと世の中を良くしてほしい」という国民感情とズレていると指摘した。
野田氏は「誰にも分かる政治」を掲げ、達成されていない公約である議員定数の大幅削減を進めるべき、社会的弱者への視点、国民の命や暮らしを守る政治への視点をもっと取り入れるべきだと述べた。
野田氏は最優先はコロナ対策とし、1つ目はスピード重視で「早期発見早期治療の徹底」、2つ目は働く人への一律給付による「現実的でフェアな経済支援」、3つ目は不安を国民から取り除く「見える化」を掲げた。
野田氏は、国家の3要素は領土、国民、主権だと述べ、長期的に見て最も重要な課題は、国家危機である人口減少を止めることだと主張した。子供の幸福度が高く貧困度が低い国は出生率が改善しているというデータがあるとし、「子供を真ん中」においた成長戦略を進めたいと表明した。
各候補の主張の詳細はぜひ、全編動画を見ていただきたい。