2021年3月10日(水)、午後15時より、衆議院本館にて、第54回「森友問題再検証チーム」ヒアリングが開催され、森友学園文書改ざん問題で自殺された赤木敏夫さんの妻雅子さんと近畿財務局の元上司が面会した際の音声データについて、財務省から出席の担当官に対し、野党議員がヒアリングを行った。
冒頭、立憲民主党・川内博史 衆議院議員が「野党の森友問題再検証チームとして、久しぶりのヒアリングだが、重大な進展があり、財務省より、様々ご教示いただきたく開催の運びとなった」と述べた。
続いて、原口一博 衆議院議員(立憲民主党国会対策委員長代行)より、次のとおり挨拶があった。
「先程、川内先生からお話のあったとおり、重大な事実が出てきた。『文書があるのに非開示とする、あるいはその存否をごまかすというのは不適切である』と(3月2日の衆院予算委員会で麻生太郎)財務大臣も答えたようです。
- 麻生財務相「極めて不適切」 森友文書、財務省内に保存も「不存在」で不開示が46件(東京新聞、2021年3月2日)
『赤木ファイル』をしっかり出してください。赤木さんが、どこでどういう改ざんを指示されたのか、それが後からわかるようにと留め置かれたファイルです。
それがあるということは、一度ヒアリングの場で認めたはずだが、いつの間にか、『検察に持っていかれたから出せない』となり、『いや、その存否さえ言えない』となった。
(衆院財務金融委員会の)階猛(しなたけし)衆議院議員や末松義規(よしのり)衆議院議員ほか、皆さんの努力で、新しい事実が出てくると思う。
今日は、財務省の皆さんではなく、政務三役を呼んでおり、本来であれば、麻生財務大臣に出席いただき、説明をいただくべき場面であると思う。
国対では、麻生氏の発言を非常に問題視している。国民民主党の浜口誠 参議院議員が質問をしたところ、『それは聞いてなかった』、そして『通告もなかった』と、質問者をバカにするような、予算をお願いする財務大臣自身が、こういうことを言うというのは、驕るな、何様だと思ってんだと思う。
そういう態度だから、『頭が腐れば下まで腐る』と、こういう状況だと思う。
財務省の皆さん。今日は政務三役の代わりに出席いただき、ありがとうございます。是非、真実を解明するための時間にしたいので、よろしくお願いします」
続いて、末松議員(財務金融委員会筆頭理事)より以下のとおり発言があった。
「このたび、現在も近畿財務局に勤めている赤木さんの上司であった池田氏と、赤木雅子さんの会話が録音されたテープを起こした資料が出てきた。赤木さんと池田さんの会話の中で『赤木ファイル』の存在が明らかに確認できるにも関わらず、いまだに存否を明らからにしていないというのはおかしいと考える。徹底的に解明していきたい」
会場では実際に2人の会話の音声が流された。その中で、赤木雅子さんの「書いてるというのは、パソコンで書いてるという意味ですか? 手で書いてるということですか?」との問いかけに対し、池田氏は「…前の文書であるとか、修正後のやつであるとか、その、何回もやり取りしたようなやつが、もうファイリングされてて、それがキチッと、ぱっと見ただけで分かるように整理されている。
これを見たら、我々がどういう過程でこれをやったかということが全部わかるんで…(中略)要は、検察に対して出す資料が、もう改竄された文章になってる事自体、『本当にええんか?』という話をしとったんですよ」と答えている。
会場の全員が静まり返って、二人の会話に耳を傾けた。
その会話が文字起こしされた資料も事前に財務省の方へ提供されていたにもかかわらず、答弁をした財務省理財局国有財産企画課長・石田清氏は開口一番、次のように述べた。
「今流された音声データ、それからテープ起こしのメモについては、原告の側から裁判の証拠として提出されているものでして、訴訟に関わるものであるため、(中略)この場でのコメントは差し控える」
ヒアリングはこの後、約40分続いたが、石田氏を含む、財務省側の3名からの答弁は、「コメントは差し控える」という点から一歩も進まなかった。
財務省側のこの姿勢を受けて、原口議員は、ヒアリング最後に「国会と国民を愚弄し続けてくれた1時間でした」と述べた。
赤木雅子さんと近畿財務局の元上司・池田氏の音声データ、および、ヒアリングの一部始終は、全編動画にてご確認ください。
また、赤木雅子さんによる損害賠償裁判と近畿財務局に対する個人情報開示請求については、以下の記事を御覧ください。