米グーグル社が日本時間11月17日に、日本での今後26日間(11月15日~12月12日)の感染予測の公表を開始した。
11月15日~12月12日の間の一日当たりの死亡者予測数は18.28人で、厚生労働省などの発表による、10月20日から11月16日の間の、一日当たりの実際の死亡者8.17人の2倍以上となる。
- COVID-19 感染予測(日本版)(グーグル、2020年11月17日閲覧)
また11月15日~12月12日の間の、一日当たりの感染者数は1904人と予測されている。これも厚生省による、10月20日から11月16日の一日あたり陽性者数の拡大ペース932人の2倍を超える。
IWJは、グーグルのシミュレーションについて、厚労省に直撃取材した。厚労省からの回答は、計算の前提がわからないため、「コメントというのは正直難しい」というものだった。
また厚労省は、PCR検査や隔離に必要な費用は公費で賄っていることや、PCR検査のキャパシティが一日8万数千件にまで拡充されていると主張した。
しかし、実際の実施検査数は2万人前後を推移している。無症状者であっても、PCR検査を受けられる体制が必要なのではないかと聞くと、厚生省は、「予防のため無症状者に行う社会的検査は、偽陰性のリスクや、コストがかかるため難しい」との認識を示した。
これまでどおり、三密の回避や咳エチケットなどといった、個人的な努力のみに依存した対策は、時間の経過とともに国民が経済的に疲弊したり、慣れが生じてしまうなど、限界があるのではないか。
11月に岩上安身は、中国通のエコノミストの田代秀敏氏と東アジア共同体研究所・須川清司氏にインタビューを行った。そこで、欧米日の7月~9月のGDPは軒並み前年同期比割れする中、唯一中国はGDPが前年同期比4.9%増となる見通しであることが示された。
これは何よりも、主要国で唯一、中国が徹底的なPCR検査と隔離によって新型コロナを封じ込めた結果である。「コロナ対策よりも経済活動再開優先」は明らかに間違っている。「コロナの完全な封じ込めなくして経済活動の活性化も経済成長もなし」はすでに実証された事実なのだ。
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繰り返すが、中国がいち早くコロナ禍を脱することができたのは、国家をあげて、社会的検査を大規模に行ったこと、そして今も小さなクラスター(10人規模)が見つかれば1000万人規模の大都市全員にPCR検査を行っていることが大きい。中国は徹底した検査・隔離の努力を続けている。そうした中国の実情を、日本のマスコミはほとんど伝えない。日本政府は直視しようともしない。
これでは春の第1波を上回ることは確実の秋冬の第3波をしのげるかどうか、非常に不安が残る。
大規模な社会的検査体制を、国費を投入して実現しない限り、感染予防と経済活動の両立には限界があるだろう。政府は経済活動を安心して行いたいという国民の「不安」に応えるべきではないか。