うがい薬の買い占め騒動に続いて、株価をめぐるインサイダー取引の疑いが取りざたされた、大阪府の吉村洋文知事の会見。
疑惑浮上のきっかけとなった情報番組でのコメントについて、テリー伊藤氏は発言を撤回したが、IWJは郷原信郎弁護士とエコノミストの田代秀敏氏に取材し、この問題を独自に検証した。
また、「コロナにうがい薬が効く」の根拠となる「研究」を行った大阪府立病院機構はびきの医療センター次世代創薬創生センターが、研究成果の発表会見の直前に創設されていたことについても、取材でその関係性を確かめた。
▲吉村洋文・大阪府知事(2020年7月29日IWJ撮影)
吉村知事の会見前にインサイダー取引につながりかねない情報漏洩があった!?
大阪府の吉村洋文知事が8月4日、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、ポビドンヨードを含むうがい薬の使用を呼びかけた騒動で、重大な疑惑が生じた。なんと、吉村知事の会見前にインサイダー取引につながりかねない情報漏洩があったとの疑念がメディアで大きく取り沙汰されたのだ。
なお、吉村知事の「うがい薬」会見に対する大阪府医協会の抗議声明は8月9日の日刊ガイドで取り上げている。こちらもぜひ、あわせてご覧いただきたい!
会見当日に『ミヤネ屋』に出演していたテリー伊藤氏が「1時間くらい前に知った」と、インサイダー取り引きが可能な状況にあったと、気になる発言!!
今回の疑惑は、9日放送のTBS系『サンデー・ジャポン』にコメンテーターとして出演していたタレントのテリー伊藤氏の発言がきっかけとなっている。
テリー伊藤氏は同番組内で、自身が吉村知事の記者会見の際、日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』に出演しており、「実はこの話を1時間くらい前に知った」と告白。その上で、「場合によっては、薬メーカーの株価も変えるなって、一瞬頭に入った」と。「でもね、やめたんです。インサイダー取引みたいな感じで、僕の立場でそれをやるのは申し訳ないなと思って、やらなかった」と語った。
▲テリー伊藤氏(Wikipediaより)
吉村知事は、会見の際には以下のように発言していた。
「情報が漏れたらいけませんから、非常に少ない範囲、ここにいる松井市長と僕と、藤井(睦子・大阪府健康医療部)部長と松山(晃文・大阪はびきの医療センター次世代創薬創生センター長)先生と、はびきの(医療センター)のみなさんくらいしか、この情報は共有はしていません」。
しかし、会見の1時間前には情報が伝わっていたというテリー伊藤氏本人の発言が真実であるなら、吉村知事の認識とは異なり、部外者に会見前に情報が漏れていた可能性も疑われる。
実際に関連株の値動きを見てみると、会見の行われた8月4日の午後2時よりも前に、急上昇した銘柄があることが確認できる。日刊ゲンダイによると、「塩野義製薬」は4日午前9時、6006円で寄り付き、約50分後に6216円にまで高騰し、「明治HD」は取引開始直後からじわじわと値を上げ、会見直後には年初来高値の8990円を付けたという。
こうした経緯から、事前に情報を入手した人物らがインサイダー取引に着手した可能性があるのではないか、との声がネット上で続出した。