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超党派の野党議員と市民によって昨年４月に設立された「自由民権会議＠神奈川」が、8月31日に「ハマのドン」の異名を取る藤木幸夫 横浜港運協会会長を招き、横浜情報文化センターにて講演会を行った。
講演会で藤木氏は「横浜港の未来にむけて」というテーマで、横浜港の歴史や今後の展望を語った。講演の終盤で、藤木氏はカジノを含む統合型リゾート施設（IR）について「私は命がけで反対します」、「山下埠頭をバクチ場にしない」と語り、8月22日にこれまで「白紙」としていたIR誘致に対する姿勢を突如「推進」とし発表した横浜市の林文子市長に反対の立場を取る構えを見せた。
藤木氏がもともと横浜港へのカジノ誘致を推進していたということは、過去の報道で明らかになっている。2018年（2016年11月18日号）の「FRIDAY」は、当時、藤木氏が以下のような発言をしていたことを報じている。
「（カジノ法案は）通りますよ。間違いないです」、「菅（義偉官房長官）にはもう言ってある。（山下埠頭の再開発は）『俺がやるよ』とね。（中略）そこにカジノだとか、何を呼ぶかは、林が、林（文子横浜）市長が決めること」。
- 正念場のカジノ法案、成立か廃案か 「ハマのドン」も都知事もやる気（現代ビジネス、2016年11月17日）
もともとはカジノ誘致に賛成し「俺がやる」とまで発言していた藤木氏が、なぜ「命がけで反対」することを決めたのか。講演会では、その理由が明らかにされた。
藤木氏は、菅官房長官に対し、カジノを含めた山下埠頭の再開発を「俺がやるよ」と発言したことを講演の中で率直に認めた。にもかかわらず、カジノ反対へと転じたのは、依存症の深刻さを専門家から学んだからだと、その理由を述べた。自らも社会福祉法人を営む藤木氏は、ギャンブル依存で苦しむ親を持つ子供を現場で見たという。専門家や当事者を含めた勉強会の中でも実際に起きた生々しい話を聞くうちに、「これはえらいものが横浜にきた」と感じるようになったと述べた。そして、「二度とやるなんて言わない」、「今度はかけらも嫌だ」として、はっきりと「カジノ反対」の立場を表明した。その上で、カジノなしで国際展示場や高級ホテルを設ける独自の開発計画を推進するための「横浜港ハーバーリゾート協会」を今年7月1日に設立したと述べた。
IWJは、藤木氏の8月23日横浜市中区の横浜港運会館での会見も取材している。同会見で藤木氏は、IR誘致方針を表明した林文子市長について、「泥をぬらした人がいる。それははっきりしている。戦争が始まった昭和16年前後と同じハードパワーを感じるね」とし、その背後にある大きな力について述べた。
藤木氏は、同記者会見で「林市長が舵を切った背景にハードパワーがあるというのは、地元選出で陰の横浜市長といわれている菅官房長官がからんでいるとしか考えられないと聞こえたんですが」という記者の質問に対し、以下のように答えた。
「それはあんたの自由。菅さんとはとっても親しいですよ。彼も俺を大事にしてくれるし。ただ、今は立場がね、安倍さんの腰ぎんちゃくでしょ。安倍さんはトランプさんの腰ぎんちゃくでしょ…安倍も菅もトランプさんの鼻息を窺ったりね。さびしいけど現実はそうでしょ」
藤木氏は、IR誘致方針を表明した林文子市長の背後にはトランプ大統領の存在があるとの考えをほのめかした。確かに、2017年2月に、ワシントンにおける日米首脳会談で、トランプ大統領から安倍首相にカジノを日本につくるよう、直接、要請があったと明らかにされている。
- カジノ参入、直接要求？ トランプ氏、安倍首相に 米で報道（朝日新聞、2018年10月12日）
同報道によれば、トランプ氏は安倍総理に対し、彼の大口献金者であるシェルドン・アデルソン氏が務めるカジノ運営大手「ラスベガス・サンズ」の日本参入を強く検討すべきだと求めたとのこと。まさに安倍総理はトランプ大統領の「腰ぎんちゃく」と言わざるを得ないが、さらに、アデルソン氏はイスラエルのネタニヤフ政権と非常に近く、イスラエルでフリーペーパーを発行してネタニヤフ政権を支え、自らの基金を通じてシオニストに資金を提供している。仮に横浜でサンズが進出すれば、その利益がパレスチナ人の殺害に直接使用される可能性があるかもしれない。こうした、カジノ資金の非人道的な性格について今後も注視する必要があるだろう。
IWJはIR実施法の危険性について、その背景にあるアメリカのキリスト教シオニストやイスラエルとの関係を含め報じている。こちらのアーカイブもぜひご覧いただきたい。
