2018年5月、第196回国会で「森林経営管理法」が成立、今年2019年4月1日に施行された。
同法は、「林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るためには、市町村を介して林業経営の意欲の低い小規模零細な森林所有者の経営を意欲と能力のある林業経営者につなぐことで林業経営の集積・集約化を図るとともに、経済的に成り立たない森林については、市町村が自ら経営管理を行なう仕組みを構築する必要がある」というものだ。
森林所有者自らが経営管理を実行できない場合には、市町村が経営管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託する。また、再委託できない森林および再委託に至るまでの間の森林においては、市町村が経営管理を行なう、ということが定められている。
現在、日本の林業は90%以上が10ha以下の零細企業だ。1964年に木材の関税を撤廃し、外国の木材の輸入を全面自由化して以降、木材自給率は落ち込み続け、2002年には18.8%まで下がった。相続などの理由から、放置されたり所有者が不明となっている山林もある。
林業では、山に杉を植えた後、10年から15年ほどで枝打ちを行い、20年から30年経つと、間伐と呼ばれる間引き作業を行う。そして50年前後で木材として使える太さに育ったところで伐採する。これを主伐といい、多くの場合、一定区間の木を全て伐採する。
- 林業という仕事(森林・林業学習館)
しかし小規模な林業経営者は50年で皆伐するのではなく、その後も間伐を繰り返しながら、70年、100年と木を育てていることも多いということだ。
「森林経営管理法」は、今後人工林の大半が植林後50年以上となりながら、「伐採されずに放置され、林業が回らなくなっていく」との理由から制定された。
同法では、森林所有者に、伐採とその後の造林の責任を定めている。所有者がそれをできない場合は、市町村に委託させる内容になっており、委託に同意しない所有者に対しては、市町村が勧告や意見書提出などのプロセスを経て同意したものとみなし、市町村が伐採することができる。
この法律は昨年の国会での審議中から、「バイオマス発電施設への原木の安価な大量安定供給が目的ではないか」との疑念や、その強権的な手法が憲法違反に当たるのではないか、との指摘も見られた。
- 森林経営管理法・森林環境税で日本の森林を破壊するな(農文協の主張、2018年7月)
「森林管理経営法」とは、一方的に「意欲がない」と決めつけた森林所有者から市町村が森林管理権を取り上げ、市町村が選んだ「意欲のある」民間業者に森林伐採をさせるための法律と言えるだろう。
日本の自然が一変する大問題。
国民の財産である国有林を丸裸にしてボロ儲け!? しかも植林の義務が事実上なし!? #安倍総理 が議長、#竹中平蔵 氏が議員の「 #未来投資会議 」の提言で #トンデモ改正法案 が今国会で審議中! 通れば日本中の山がハゲ山に!? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/448750 … @iwakamiyasumi
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