2019年5月14日(火)に、経済産業省で、世耕弘成 経済産業大臣の定例記者会見が行われた。世耕大臣からはとくに報告はなく、冒頭から記者との質疑応答になった。
経産省のキャリア官僚が、覚醒剤の入った郵便物を受け取ったことで4月27日に逮捕された事件で、警視庁が5月5日、経産省内を家宅捜索した際に、容疑者の机の引き出しから複数の注射器が見つかった。
逮捕された自動車課課長補佐の西田哲也容疑者は、海外のインターネットサイトを通じて覚醒剤を個人で密輸し、代金をビットコインで支払っていた。
また、米国から国際スピード郵便で雑誌に隠されて輸入された覚醒剤は、22グラムで、末端価格にするとおよそ132万円に相当することが報じられている。
西田容疑者が覚醒剤に手を出した動機は、「仕事によるストレス」だと報じられている。
世耕弘成経産大臣は、5月10日の閣議後記者会見で、「誠に遺憾。引き続き捜査に最大限協力し、全容が解明されたら厳正に対処したい」と述べ、捜査内容に関わる質問については、コメントは控えている。
芸能人の事件では、すぐに「芸能界覚醒剤ルート」などと騒がれるのだから、本来なら、これは「経産省覚醒剤ルート」として騒がれてもいいだろう。
しかしこの日、会見場にいる記者から、世耕大臣へ「経産省覚醒剤事件」関連の質問は、IWJ以外はゼロだった。
事件発覚後に、職員たちの間で動揺が広がっているが、ストレスチェックなどの、職員たちへのメンタルケアを行っているかというIWJの質問に対し、世耕大臣は以下のように回答した。
「全容が分かり、必要があれば、再発防止策に講じていきたい。職場環境については、これまで私自身が先頭に立って、働き方改革を進めると共に、メンタルヘルス対策など、健康の保持、増進の為の体制を整備している。
ストレスチェックについては、年1回『簡単なチェック』を行った上で、ストレスがあると判断された場合は、産業医による対応等もしっかり行っている」。
しかし、会見後に経産省・大臣官房広報室に確認すると、事件発覚後から現時点まで、職員たちの間で動揺が広がっていると認め、それに対して、警備強化や職員へのストレスチェックなどはもちろん、何の対策も行われていないことを明らかにした。
「やっている」感を強調した世耕大臣の回答とは、明らかに食い違う。同様の職場環境下にいる経産省の全職員は、いつドラッグに手を出してもおかしくない状況にある、ということになる。大問題である。
岩上安身は、省内に覚醒剤汚染が広がっている可能性について、こうツイートしている
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1122794399383949312(岩上安身ツイート 2019年4月29日)
西田容疑者の供述通り、覚醒剤に手を出した動機が「仕事によるストレス」であるなら、省内で動揺が広がっている時点で、再発防止策を講じる必要があるのではないだろうか。
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