統一地方選前半戦で唯一、与野党が正面から激突の一騎打ちとなった北海道知事選は、自民・公明・新党大地が推薦した鈴木直道・前夕張市長が約162万票を集め、約96万票にとどまった元衆院議員の石川知裕候補(立民・国民・社民・共産・自由推薦)に大差をつけて当選を果たした。
▲当選した鈴木直道・北海道新知事(横田一氏提供)
しかし鈴木氏が市長であった2017年の夕張市の観光施設売却をめぐり、新たな疑惑が急浮上した。
夕張市は2017年4月、所有するホテルやスキー場など4施設を、営業継続を前提として中国系企業「元大(げんだい)グループ」に約2億4000万円で売却した。ところが今年2月20日、香港系ファンドに約15億円で4施設を売却する方針だと日本経済新聞が報じた。
しかし、翌21日の北海道新聞に「夕張観光4施設売却へ 17年取得の元大 香港系投資ファンドに」と銘打った同じ内容の記事が出た以外は、この日経のスクープの後追い報道はほとんど見当たらない。本来なら、今回の北海道知事選にからめて各社深堀報道をしていくべきなのだが、地元で圧倒的影響力を持つ北海道新聞がほとんど報じていないので、道民の有権者の多くにこの“北海道版モリカケ事件”のような「利益供与疑惑事件」自体が伝わっていないのが現状である。
さらにこの2017年の売却当時、新千歳空港に乗り入れている中国系航空会社が10億円を用意して施設の購入を検討していたにもかかわらず、「別の企業と交渉中」を理由に鈴木市長(当時)との面談を断られたというのである。
フリージャーナリストの横田一氏は選挙戦最終日の4月6日、個人演説会参加後の鈴木直道候補に元大グループとの関係について直撃取材を試みたが、鈴木氏は質問に一切答えず、逃げるように会場を後にした。
さらに開票日の7日、横田氏は当選確実の報道で喜びに沸く選挙事務所で、再び鈴木氏に直撃取材を試みたが1度目は取材を打ち切られ、2度目は強制的に退出させられた。
転売により10億円以上の儲けになる元大グループ! 資本金100万円で本社は暴力団事務所も入るマンションの一室!?
鈴木直道氏が2期8年間市長を務めた夕張市は、鈴木氏が2期目の2017年4月、市所有のホテルマウントレースイ、ホテルシューパロ、合宿の宿ひまわり、マウントレースイスキー場の4施設を中国系企業の元大グループに約2億4000万円で売却した。
▲ホテルマウントレースイ(横田一氏提供)
▲マウントレースイスキー場(横田一氏提供)
ある議会関係者からは「営業継続を前提に売却したのに、香港系投資ファンドに15億円で転売方針という記事(2月20日の日経新聞)が出た。営業継続という議会答弁と食い違う転売で、中国系企業は10億円以上の儲けになるのに、鈴木市長(当時)は『(日経の)飛ばし記事で事実無根』とか『(元大グループに)騙されたのか確認中』といった会見もしないまま、2月末で(知事選出馬のため市長を)辞めてしまった」と、鈴木氏に対して、行政トップとしての資質を疑う声も出ている。
2017年2月8日の市議会で、契約に転売禁止を盛り込まなかった理由について、鈴木市長は「(元大グループから)地域に根ざして長年にわたり営業を継続していきたいという話」を受けたからだと答弁していた。
しかも夕張市は、元大グループに対して「固定資産税免除」の優遇措置もしていた。
東京都墨田区に本拠を置く元大グループは、中国人で帰化申請中と言われる呉之平氏が2010年に(資本金)100万円で設立した会社。マンションの一室が本社で、同じビルには暴力団事務所が入っている。
夕張市役所の「闇」〜なぜ鈴木直道市長は10億円で購入する可能性のあった中国系航空会社と面談しなかったのか!?
夕張市の元大グループへの「優遇」はそれだけではなかった。新千歳空港に乗り入れている某中国系航空会社が当時、夕張市が売却を検討していた4施設の購入を検討し、10億円を準備していたというのである。
実際に元大グループに売却された価格との差額は7億円以上。もし鈴木市長がその中国系航空会社に10億円で売却を決断していたら、夕張市は元代グループに売却するより7億円以上上回る売却益を得ていたことになる。別の言い方をすれば、7億円以上の利益供与を元大グループに対して行ったともいえるのではないか。鈴木氏と元大グループとの関係はいったいどのような間柄なのか。
現地視察をしてホテルに泊まり、物件を確認した後に夕張市役所を訪ねたという、その中国系航空会社の関係者から直接話を聞くことができた。
是非真実を追求してほしい。