TPP反対を掲げた自民党が、選挙後に簡単にひっくり返したことを、今も十勝の人は忘れていない。
2017年10月20日、北海道十勝地方にある河西郡芽室町(北海道11区)のスーパーダイイチ前で、立憲民主党公認候補・石川香織候補が街宣を行った。
石川候補の夫で元衆議院議員の石川知裕氏は、陸山会事件で有罪が確定し、今月24日まで公民権が停止されている。公民権の復活が選挙に間に合えば出馬する予定だったが、突然の解散を受け、妻である香織氏に白羽の矢が立った。
石川候補は街宣前にIWJのインタビューに応え、「夫の十勝に対する思いや政策を引き継ぐ人間が必要だった。支援者みんなと相談し、政治活動に同行してきた私が出馬しようと決めた」と、立候補に至った経緯を説明しました。
中には、夫の代わりの「ワンポイントリリーフ」で出馬しているだけで、すぐに政治から身を引くんだろう――石川候補を、そんな冷めた目でみる有権者もいるが、石川候補は「もし当選した場合、次の選挙も目指すのが当たり前だと思っている」と胸中を語った。
自民党が掲げる憲法改正について、石川候補は、「私は憲法9条を守ると訴えている。そもそも国民が改憲を求めているとは思えない。憲法改正よりもまず、皆さんの生活に密着した優先課題に取り組まなければいけない」と指摘する。
「自民党はTPP反対を掲げていたのに、選挙後に簡単にひっくり返した。北海道の人間は忘れていない。今、(日本とEUの)EPA(経済連携協定)で農業・産業にどういう影響があるのか、十勝の人は心配している。政府・自民党これを説明せず、国民に向き合わなかった」
石川候補は地元の問題に目を向け、「農業を発展させていくための政策を実施し、生活インフラ整備、子育て支援もし、人口減少にも切り込みたい」と話した。
石川候補は街宣で、「今の自民党安倍政権にはっきり『No』をつきつける大切な選挙だ」として、「この選挙期間中、十勝中走ってきたが、まだ相手候補の背中がようやく見えたところだ。皆さんの熱い支援で国会に押し上げてほしい」と訴えた。街宣には、100人近い地元の有権者が集まり、夫・石川知裕氏とともに夫婦で築き上げてきた人望の厚さをうかがわせた。
同区は、石川香織候補と自民党前職・中川郁子候補との一騎討ちとなっている。中川候補の夫は故・中川昭一元財務相で、「妻」対「妻」の異例の対決としても注目を集めている。現在は自民党が「重点区」に置くほどの激戦で、勝敗は最後までわからない。