日米両政府は、9月26日におこなわれた首脳会談で、農業品や工業品の関税を引き下げるための新たな2国間貿易協定交渉の開始に合意した。日本政府はこの協定を「TAG(日米物品貿易協定)」と呼んでいるが、正文である英文の共同声明には、「物品(goods)」だけでなく、「サービスを含むその他の重要分野」も「貿易協定(Trade Agreement)」の対象となっている。対象を「物品」のみに限定した「TAG」という言葉は造語に過ぎない。日本政府がこの2国間交渉を「FTA」ではなく「TAG」であると称するのは、国民の反発をかわすための、小手先のごまかしである。
- 「TAG」は捏造の疑い 日本政府訳にのみ記載(しんぶん赤旗、2018年10月6日)
- Joint Statement of the United States and Japan(ホワイトハウスホームページ、2018年9月26日)
安倍晋三総理は、「TAG」は「包括的なFTAとはまったく異なる」と第73回国連総会出席等についての内外記者会見において、メディアとの質疑応答の場面で強弁している。しかし、ペンス米副大統領は10月4日、交渉開始を合意した貿易協定を「FTA」と明言し、「TAG」などという呼び方はしていない。「物品」以外の「重要分野」も協定の対象となっているのだから、「FTA」と呼ぶのは当然である。
さらに、ロス商務長官は驚くべきことに10月5日、ロイターのインタビューで、米国が対日貿易赤字を是正するための最善の方法は、日本の自動車生産の拠点を米国に移転することだという驚愕の考えを示した。何という身勝手な話であろうか、トランプ大統領が主張していた「レシプロカル=収支ゼロ」の貿易の実現のために、外貨を稼ぐ日本の主要産業を、米国によこせ、というのである。貿易協定の交渉中は、米国が日本から輸入する自動車に追加関税は課さないという留保がついているが、自動車生産拠点を米国に持っていかれたら、こうした留保にも意味はないだろう。
- 日本の自動車生産拠点「米移転が最善」米商務長官(NHK NEWS WEB、2018年10月6日)
以下、岩上安身の10月6日付のツイートの連投を掲載する。
資本も、技術も、工場も(つまり雇用も)、税金も、全部よこせ。日本メーカーは、米メーカーになれ。うーむ、そこまで言うか。グローバル時代の植民地主義は、魚だけでなく、魚の釣り方と釣竿と漁師と船まで全部、持っていくのか。物凄い収奪。で、これを当たり前のようにのっぺり伝えるのか、NHK。
TPPも何もかも、食糧安保も食糧自給率も、全部、放り出して、ただひたすら米国の要求に従ってきたのは、トヨタ(以下略)を守るためだったはずだ。それが永田町と霞ヶ関と大手町の暗黙のコンセンサスだったはずだ。トヨタ(以下略)を守りさえすれば、食っていける、そう考えていたはずだ。
それがどうだ。最後の最後には、虎の子のトヨタ(以下略)を、米本土に持ち去る、という。これが商務長官のロスの発言。これから日本はどうやって外貨を稼ぐ?家電はとうにダメで、経産省は「(自動車産業のみの)一本足打法」と言っていたのに。安倍政権とともに国内のあちこちを経産官僚が牛耳って、あげくこれ。
この日本最終収奪発言とともに、ほぼ同時にCSISはナイとアーミテージとで、「More Important than Ever」と日米の軍旗はためく第4次レポートを発表。「これまでで一番重要だぜ」とは日米合同軍を築くこと。これ、併合だろ。
日本は韓国軍を解散させてから、併合した。米国は占領後、日本軍を解散させて自衛隊を米国の庇護と指導のもとに生み育て、防衛省トップから末端自衛官まで、米軍こそ親であり安保こそ忠義を尽くす対象と勘違いさせるまでにインプリンティングし、極右に見せかけた奴隷根性の傀儡安倍政権を押し立てた。
第4次安倍改造内閣を見よ。誰の目にもわかる通り、まるまる日本会議内閣である。見かけは極右。改憲して、明治時代に戻すんだそうだ。人権も主権も国民から取り上げるのだろう。取り上げるつもりでいる、その国家とは、何か?そこに崇高な主体性があるか? 何もない。安倍の頭の中と同じがらんどうだ。
がらんどうの国家は、国家のフリをしているだけで、亜国家に過ぎず、戦後70年間のような米国の間接統治から、ほぼ直接統治へとリフォームされる。ストローのように我々が三代かけて汗水流して蓄えた富はちゅうちゅうと吸われ、日本は米国にとって単なる利益線、地理的存在、主たる敵と決戦する戦場になる。
それでいいのか、とすべての人に問いたい。何が日米安保基軸だ。そんな呪文にいつまで呪縛されている気だ。自衛隊は日本を守れ。米軍は親でも主人でもない。トヨタ(以下略)を勝手に米国へ手渡すな。FTAなど、中止しろ。日本の米と畜産と魚を守れ。必要なのは独立だ。そう言って、何がおかしい。
司法は、統治行為論を直ちに廃棄して、憲法が条約よりも上位にあることを明確に確認せよ!安保よりも、地位協定よりも、憲法が上位にあり、日本が独立主権国家であって、米国の属国ではないこと、我々日本国民こそがこの国の主権者であることを明示せよ!
※2018年10月6日付けのツイートを並べ、加筆して掲載しています。
岩上さんの「激おこ」は、米国の支離滅裂な身勝手さはもちろんのこと、この現状を招いてなお対米従属以外の道を見出そうとしない安倍政権と、こうした重大な危機的状況に直面しても、ヴィヴィットに反応せず、危機感をもって伝えようとしない大手メディアの薄ぼんやりとした姿勢に向けられています。
そこで急遽、この通商関連と安全保障関連に関して、元外務省国際情報局長の孫崎享氏とエコノミストの田代秀敏氏にそれぞれお願いし、岩上さんとによる緊急インタビューを企画しました。
10月18日(木)午後から孫崎氏、また10月22日には田代氏の予定で中継・配信いたします。
また、IWJでは第3次「アーミテージ・ナイレポート」に続き、第4次提言「これまでになく重要 21世紀における日米同盟の刷新」も、全訳をおこなう予定です。ご期待下さい!
これは「売国行為」そのものだ。
【岩上安身のツイ録】激おこ!事実上の日米FTAを「TAG」という造語で国民を欺こうとする日本政府!トヨタ(以下略)ら、外貨を稼ぐ輸出産業を守るために米国の要求に従い犠牲を払ってきた日本は米国に全てを収奪される!? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433399 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1049433306486337536