2018年8月19日(日)に国立市公民館にて緊急学習会「在日コリアン弁護士への不当な大量懲戒請求~それはヘイトスピーチと同根~」が主催・上村和子国立市議会議員、スピーカーに損害賠償訴訟原告・金竜介弁護士と、ジャーナリスト安田浩一氏を迎えて行われた。
大量懲戒請求訴訟の経過は2017年11月から12月にかけて東京弁護士会の18名の弁護士に対して約960名の者(北海道から九州まで全国に分布)が懲戒請求を申し立てた。懲戒請求の対象とされた弁護士18名は、多くが2016年度の東京弁護士会の会長、副会長などであった。その他8名(本件原告2名を含む)は、在日コリアンの弁護士であるが、8名全員に共通する業務内容はない。
本件は「余命三年時事日記」という、在日コリアンに関するデマ・偏見を意図的に流しているブログが発端となる。弁護士会の2016年4月22日「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」に反対するとの意思表示を「余命三年」が行い、賛同してもらえる人は登録してもらいたいと呼び掛けた。この呼び掛けに応じて登録した人の自宅に懲戒請求書の用紙が送付された。そして、懲戒請求者は、懲戒請求書に住所・氏名を記載して印鑑を押し、「余命三年」が指定した住所に送り返した。「余命三年」がとりまとめた懲戒請求書を各弁護士会に提出した。
ジャーナリストの安田浩一氏は「弁護士会への懲戒請求というシステムそのものは、弁護士自治を考えれば当然であって、国家権力の介入を防ぐために必要なシステム。今回はこれが悪用された」と述べた。
金竜介氏は「今までこういったケースは予想していなかった。まったく横のつながりがない人間が一斉に懲戒請求をしてくること自体を、弁護士法では予測していない」と述べ、悪質な懲戒請求の呼びかけに煽られる人々が出てくるネット時代の現象に、制度の整備が追いついていない現状を指摘した。
他方、「しかし裁判においては勝ちます」と金弁護士は力強く続けた。
「裁判の目的としては勝ち負けよりも、本人が裁判所という公の場に出てきて、話したいことがあったなら話してください。私は聞きますから」と語った。
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