事の発端は、2016年に国が出した都道府県への通知が、朝鮮学校への補助金減額を招いたとして、全国の弁護士会が批判声明を出したことだった。この批判声明に対して、「余命三年時事日記」というブログが「犯罪だ」と非難を浴びせ、弁護士会への「懲戒請求」を呼びかけた。
- なぜ法律デマは出回るのか 約13万件、弁護士への組織的な「懲戒請求」を考える(弁護士ドットコム、2018年5月10日)
この「呼びかけ」がきっかけとなったのだろう。不正な「懲戒請求」が2017年6月ごろから届き始め、日弁連によると、2017年だけで全国の21弁護士会に、約1000人から約13万件の請求があったという。
嶋﨑量(ちから)弁護士のところに「懲戒請求」が届くようになったのは2017年9月ごろ。懲戒理由は、すでに「懲戒請求」されていた佐々木亮弁護士のツイートへの返信で、「なんで懲戒請求されてるのか、ほんと謎です。酷い話だ」とツイートしたことが「共謀による脅迫罪」に当たるのだということ。まったく意味不明だ。
嶋﨑弁護士はブラック企業被害対策や反貧困など、働く人の権利を守るために活動している労働弁護士で、2018年5月11日に開かれた「働き方改革法案」に関する「比較データ」捏造問題で、法政大学の上西充子教授が会見した場にも、日本労働弁護団有志として同席していた。
だが、当初の懲戒理由だった朝鮮学校とは関わりがない。
「懲戒請求」を送りつけられた弁護士たちも、黙ってはいない。5月16日には司法記者クラブで、佐々木亮・北周士両弁護士が全請求者に損害賠償請求訴訟を起こすなど提訴の内容を公表するとともに、まずは事前の和解を推進する方針を示した。
佐々木亮・北周士両弁護士の記者会見の模様は、以下のアドレスでご覧いただける。
また遡る5月15日、IWJは嶋崎弁護士に緊急取材も行っている。組織的「懲戒請求」問題についてお話をうかがった。
「懲戒請求」の請求者の住所や氏名は、被請求者の弁護士のところに届いている。嶋崎弁護士をはじめ、「懲戒請求」を送りつけられた弁護士は、請求者に対して、真摯な謝罪さえあれば、少額の慰謝料ですむ「和解」を勧めている。
ただし、嶋崎弁護士は、発信源である「余命三年時事日記」のブログ主だけは、虚偽告訴罪や業務妨害罪での刑事告訴も辞さない構えだ。騒ぎのもととなったブログ主は何者で、なぜこのような煽動を行ったのか、自身の正体を早急に明らかにするとともに、事態の収束のために、声明を出すか、会見を開くべきではないだろうか。
弁護士への組織的「懲戒請求」、その数、約13万件! 当事者の一人嶋﨑量(ちから)弁護士に取材! 真摯な謝罪がなければ、賠償請求へ!! 煽動の発信源であるブログ主に対してだけは刑事告訴も! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/421238 … @iwakamiyasumi
差別を娯楽にしてきたツケを払うときがきた。同情はできない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/997616050756698112