知らず知らずに進行する主権侵害を止めろ!インド最高裁がモンサントの遺伝子組み換え綿の種子の特許を認めない判決!! ひるがえって日本では主権を売り渡す通商政策が止まらない!? 2018.6.15

記事公開日:2018.6.15 テキスト
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(文:小野坂元)

特集 TPP問題

 5月7日、インドの最高裁は、モンサントの遺伝子組み換え綿の種子(商品名はボルガ―ドII:Bollgard II)の特許を認めないという判断を下した。このことは、すでに高裁で決定していたが、施行は猶予されていた。それゆえ、種子の多様性を保持し、農家の権利を守る決定的な判決として、注目されている。

▲インド最高裁(ウィキペディアより)

 モンサントの遺伝子組み換え綿の種子がインドに導入されたのは、1995年のことである。「ボルガ―ドはあなたを守ります! 農薬は少なく、利益は多く! ボルガ―ド綿花は虫を倒します!」と宣伝されたこの遺伝子組み換え綿の種子は、在来綿花の4倍もの価格にもかかわらず、急速にインド市場を席捲し、90パーセントを占めるにいたった。

 今回の判決は、そうした「企業による種子の独占」状態に異を唱えるものとして、いかに画期的であるか推察されよう。

グローバル「ダブル」スタンダード:モンサントの遺伝子組み換え作物事業が勝つようにあらかじめ仕組まれた「知的財産保護」のルール

▲ロバート・フレイリー氏(ReseachGateより)

 遺伝子組換え種子の特許を認めない、というインド最高裁判決を受け、モンサントの最高技術責任者(CTO)であるロバート・フレイリーは、「どれだけ遺伝子組み換え綿が、インド農家に利益をもたらしてきたことか」と述べ、「インドが反科学、反イノベーションの道に向かっていくことは残念だ」と新自由主義的な本音丸出しで嘆いてみせた。

 まるで被害者であるかのような口ぶりだが、こうしたモンサントのような巨大な多国籍企業の経済活動とその認識は、激しいダブルスタンダードに満ちている。多国籍企業の特許が保護されないことをアンフェアであり、非科学的であるかのように考えるフレイリー氏のような人々は、農家の経済生活を混乱させ、現地の環境破壊をもたらしかねない種子の独占について、別段アンフェアでも非科学的とはみなしていない。

 また、遺伝子組み換え作物が儲かるのは、通常の作物の栽培では使用できない強力な肥料、殺虫剤、除草剤とセットで販売する点にもある。つまり、そうした強烈な薬品に適合するように、作物の方が改変されているのである。それは、本来あった土壌と作物の関連性を破壊し、クスリ漬けを前提とした関係に置き換えられることを意味する。

 種子、肥料、除草剤をセットで買わされ、過剰な支出を余儀なくされた農家は苦しい経営を強いられるが、一度改変された環境は元に戻せない。モンサント製の種子でなければもはや栽培することができない状況に追い込まれてしまったあげく、種子の価格だけは釣り上げられていく。出口をふさいでから、有り金を巻き上げていく強引なやり方である。

 実は、モンサント製の遺伝子組み換え綿の種子「ボルガード」はあらゆる害虫に強いわけではなく、特定の芋虫を撃退するけれども、他の害虫を防ぐわけではないので、殺虫剤の支出を減らせるわけではない。肩透かしもいいところである。

 こうした調子でモンサントによってパッケージ化された「遺伝子組み換え・クスリ漬け」農業で増産に成功しなければ、荒れ地と負債が残されるのみである、と言ってよい。そのため、モンサント製の遺伝子組み換え種子を用いた農法は、ハイリスク・ローリターンであると言わざるを得ないのに、いったん手を出すとやめられなくなる。農家はモンサントに依存せざるをえなくなるのである。

 こうして、モンサントは利益を出してきた。

 モンサントの認識の歪みは甚だしい。彼らは農家の利益や科学を騙りながら、暴利を貪りつつ、経済的自由の土台と自然環境の根本もろとも破壊しているのである。知的財産を盾に取る巨大企業にとって都合の良い、「あらかじめ勝者が決まった市場」でただ一種の遺伝子組み換え作物が氾濫し、在来種を駆逐していくことは、公正な取引を不可能にするだけではすまない。

 さらに問題なのは、作物の多様性を奪ってしまうと、凶作に対し極めて脆弱になってしまうことである。その時にあわてて在来種を栽培しようとしても、時すでに遅し、である。種子も手に入らないし、土壌も変質してしまっている。

ヴァンダナ・シヴァ氏「私たちの主権は守られた」

▲ヴァンダナ・シヴァ氏(ウィキペディアより)

 一方、哲学者、そして環境活動家として、開発経済の弊害を厳しく追及してきたヴァンダナ・シヴァ氏は、今回の判決は、農家がモンサントに対し不当に払ってきた特許料を取り返すきっかけになると論評している。

(…会員ページにつづく)

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「知らず知らずに進行する主権侵害を止めろ!インド最高裁がモンサントの遺伝子組み換え綿の種子の特許を認めない判決!! ひるがえって日本では主権を売り渡す通商政策が止まらない!?」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    知らず知らずに進行する主権侵害を止めろ!インド最高裁がモンサントの遺伝子組み換え綿の種子の特許を認めない判決!! ひるがえって日本では主権を売り渡す通商政策が止まらない!? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/424706 … @iwakamiyasumi
    日本の現状を正しく認識できる良記事。ぜひ、全文お読みください。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1007389289292820480

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