【IWJ検証レポート】多国籍企業が世界中で免れた課税額は1年で最大25兆円!? ~課税逃れを取り締まる新たな条約の発効見通しも、国内の実態は一向に明らかにならない安倍政権下の日本の惨状 2018.4.2

記事公開日:2018.4.2 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文:栗原廉)

 度重なる消費税増税にも関わらず、一向に財政難が解消しないのはなぜだろうか?

 忘れてはならないポイントであるにもかかわらず、なぜか論じられることが少ない問題点である。

 大きな要因の一つとして、多国籍企業による課税逃れがあげられる。国境を越えて事業展開する多国籍企業は、本来なら各国ごとに収益に見合った税を納めるべきであるが、現実には、タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる、税額を最低限に抑えた地域にペーパーカンパニーや銀行口座を持つことで、税負担をまぬがれるやり方が横行している。

 2016年に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によって公表されたパナマ文書で、世界中の有名企業や政府要人がタックスヘイブンを利用していたことが明らかになった。パナマ文書の公表後は、他の国々ではこれに関係があるとされた政治家や官僚の辞任にまで展開することも少なくなかった。

 この動きと前後して、各国政府は協力体制を整え、新しい条約(BEPS防止措置実施条約)を締結し、2018年7月1日に発効することとなった。3月23日現在、78カ国・地域が署名し、6カ国が署名の意向で、日本も2017年6月に署名している。この条約に加えて、今後は莫大な収益を上げるIT企業への課税見直しを各国の協力のもとに実施する予定だ。

* BEPS(Base Erosion and Profit Shifting: 税源浸食と利益移転)

▲パナマ文書を報じた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のホームページ

 一方、日本国内では多国籍企業や政界関係者とタックスヘイブンとのつながりは全く明らかになっていない。パナマ文書公表直後から、政府は調査を行わない方針で一貫しているためだ。

 果たして、多国籍企業の課税逃れとはどのような問題なのか? 新条約ができた背景やこれによって変わることは何だろうか? そして、安倍政権や政府との関係は? パナマ文書公表当時に独自取材を展開してきたIWJでは、今回こうした疑問に答えるべく、本レポートにまとめあげた。

記事目次

多国籍企業の課税逃れで年間最大25兆円分の税金がタックスヘイブンに!

 日本国内の関心が森友問題に引き付けられている最中に、いくつかの報道機関で小さい見出しではあるが、とある条約についてのニュースが報じられた。

 条約の名は「税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」、2017年6月7日に日本政府も署名を済ませたこの条約は、多国籍企業による課税逃れを封じる目的で結ばれた。

 国境を越えて世界規模で事業を展開する多国籍企業は規模の大きさゆえに莫大な収益を上げている。

 「自分たちの収益にかかる課税額をなんとか少額に抑え込みたい」という理由で、多くの多国籍企業がタックスヘイブンに本籍を移すなどといった方法によって、課税逃れを行っていることが近年明らかになってきた。

 多国籍企業による課税逃れの規模は最大で見積もると年間25兆円、日本の国家予算の4分の1に匹敵する莫大な金額だ。

各国の財政難の裏で、明らかになり始める課税逃れの実態

 多国籍企業の課税逃れを取り締まる背景には、不公平な税制の犠牲となってきた一般市民の間で不満が高まってきたことがある。多国籍企業の課税逃れは、規模が大きいゆえに各国財政への影響も甚大だ。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページよりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録

関連記事

「【IWJ検証レポート】多国籍企業が世界中で免れた課税額は1年で最大25兆円!? ~課税逃れを取り締まる新たな条約の発効見通しも、国内の実態は一向に明らかにならない安倍政権下の日本の惨状」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【IWJ検証レポート】多国籍企業が世界中で免れた課税額は1年で最大25兆円!? ~課税逃れを取り締まる新たな条約の発効見通しも、国内の実態は一向に明らかにならない安倍政権下の日本の惨状 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/416733 … @iwakamiyasumi
    平たくいえば「やる気がない」のだ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/981107624534990848

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です