(前号の続き)
2017年10月22日に投開票が行われた衆議院解散・総選挙は自公が改憲発議可能な3分の2を制することになり、安倍政権下での改憲がいよいよ現実のものとなりつつある。「長州レジーム」の継承者である安倍晋三総理に主導された改憲は、今後の日本にどのような影響をもたらすのか。
吉田松陰を思想的支柱とした「維新の志士」らは、赤松小三郎をはじめとする開明的な武士・政治家を暗殺・失脚させ、維新によって有司専制体制を築いた後は、明治維新を美化するために、赤松ら開明的な思想家の主張を闇に葬った。
明治維新の実態を知ることは、安倍総理が目指す国家像を知るための重要な手がかりになる。
安倍政権は、来年2018年を「明治150年」の節目として、しきりに「明治礼賛」のキャンペーンを展開しようとしている。内閣官房の「明治150年」関連施策推進室は、2016年11月4日付で、「『明治150年』に向けた関連施策の推進について」と題して、以下のように発表した。
「明治150年をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです」
しかし、「明治維新神話」の虚構を破り、初代総理大臣・伊藤博文や、内務大臣・品川弥二郎らがおこなった数々のテロ、人権を無視した非道なおこないを直視したとき、こうした政府の「明治礼賛」姿勢には疑問を抱かざるを得ない。
吉田松陰の排外主義、品川弥二郎の孝明天皇暗殺への関与、明治時代に誕生した新興宗教・国家神道の異質さ――
語られることのない明治維新の闇に迫り、近代から現代へと続く「長州レジーム」・有司専制体制の実態を俯瞰したとき、現行の日本国憲法をも超える先進性を有した赤松小三郎の政権構想の真価が明らかになる。同時に、立憲主義が危機的状況にある現代において、日本国憲法の価値と重要性、安倍政権が狙う改憲の危険性が明らかになるだろう。
明治維新の「志士」たちの非道と「長州レジーム」の闇を暴く、拓殖大学准教授・関良基氏へのインタビュー!