【第333-340号】岩上安身のIWJ特報!「長州レジーム」から日本を取り戻せ!歴史の闇に葬られた幕末の思想家・赤松小三郎の夢と明治維新の闇 岩上安身による関良基氏インタビュー(その2) 2017.10.2

記事公開日:2017.10.2 テキスト独自
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前号の続き)

 今、明治維新を問い直さなければならない理由は何か? 目まぐるしく動く政治状況を前に、直接的に私たちに関係してくる話ではないように思われるかもしれないが、決してそうではない。

 来年2018年を「明治150年」の節目として、安倍政権はしきりに「明治礼賛」を展開している。内閣官房の「明治150年」関連施策推進室は、2016年11月4日付で、「『明治150年』に向けた関連施策の推進について」と題して、以下のように発表した。

 「明治150年をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです」

 「維新三傑」(木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通)や坂本龍馬に代表される「ヒーロー物語」としての明治維新を伝える日本の教育やマスコミ報道だけを信じてきた人は、政府のこの発表に違和感を持つことさえないかもしれない。

 しかし、幕末~明治初期の実態をきちんと見つめれば、これまでに信じられてきた「明治維新」がほとんどフィクションに近いものであるとわかってくる。それどころか、「明治の精神に学び、日本の強みを再認識する」という政府の発表が、どれほど恐ろしいことを意味するのか、わかった瞬間にぞっとするだろう。

 その「明治維新」の最大の闇の一つが、忘れられた幕末の思想家・赤松小三郎の存在である。現代の日本国憲法をもしのぐと言われる近代的で民主的な憲法思想を展開した赤松は、明治維新を主導した「ヒーローたち」によって、歴史から消され、忘れ去られた。

▲関良基教授(2017年7月11日IWJ撮影)(画像URL:http://bit.ly/2fuOLhk

 赤松が消された後の明治維新以降の歴史とは、言うまでもなく、対外侵略戦争とその帰結としての第二次世界大戦における無惨きわまりない壊滅的な敗戦である。拓殖大学准教授の関良基氏は、この歴史を導いた体制を「長州レジーム」と呼ぶ。

  史実を直視せず、明治礼賛を展開する安倍政権は、まさにこの「長州レジーム」を取り戻そうとしているのである。

 赤松小三郎の生涯と思想を追うことによって、明治維新を問い直し、現代日本の危機に迫る関良基氏のインタビュー、いよいよ後編!

記事目次

  • 歴史は必然ではない――1本の雑誌記事、1人の告発により、加計学園問題の形成が変わったように、1人の勇気ある行動が、歴史のその後の動きを変えるということは、十分ある
  • 今の動きは、治安維持法に匹敵する――萎縮ムードの中で戦争に向かっていってしまった!今は、その繰り返しが起こるか起こらないかの分岐点
  • 明治維新のクレイジーさが復活!? 江戸時代には、王権神授だとか、日本は天皇を中心とする神の国だとか、そんな観念はなかった!
  • 憲法というのは、欽定されるものではない!大日本帝国憲法のような王権神授の憲法は、近代立憲主義ではなく、国家神道と立憲主義を接合しようとした、ゲテモノ憲法
  • 赤松が提出した建白書は、最初の憲法構想にして、現行の日本国憲法に最も近い、人類普遍の価値を記した近代的な憲法!その構想は薩土盟約にも反映されていたが、薩摩の裏切りにより破棄されてしまう
  • 『日本人はあまねく臣民である』という考えは日本の伝統ではなく、明治維新によって捏造されたフィクション!近代的な人権思想は江戸時代に十分芽生えていた!
  • 実は幕末のほうが開明的で、明治時代のほうが専制的で反動的だった!
  • 「個人として尊重」から「人として尊重」へ!自民党改憲草案では、個性に合わせた多様な生き方は尊重されない!?
  • 赤松を殺したのは、赤松が兵学を指導していた薩摩藩!西郷隆盛は人の道を踏み外し、テロを指揮する修羅の道へ
  • 赤松の弟子は西南戦争である種の仇討ちを果たした!
  • 講座派マルクス主義史観から皇国史観まで、左右に共通する明治維新の「美化」
  • 長州出身の共産党議員も「尊敬する人物は吉田松陰」! 「内ゲバ」するところまで継承!?
  • 英雄・龍馬と忘却された赤松小三郎の違い〜国民国家の維持のために「記憶すべき物語」と「都合の悪い物語」があり、「都合が悪い物語」は忘却される
  • アカデミズムにおいても、赤松の議会政治論を歴史から削除!明治維新を文明開化、歴史の進歩と位置付けるため!?

歴史は必然ではない――1本の雑誌記事、1人の告発により、加計学園問題の形成が変わったように、1人の勇気ある行動が、歴史のその後の動きを変えるということは、十分ある

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