原発いらない市民によるチェルノブイリ報告会 2012.11.9

記事公開日:2012.11.9取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ 貫名/奥松)

 2012年11月9日(金)12時から、福島県郡山市の郡山市男女共同参画センターで、「原発いらない市民によるチェルノブイリ報告会」が行われた。

 報告者は、原発いらない福島の女たちの黒田節子氏と、たんぽぽ舎ボランティアの青山晴江氏。ウクライナの病院や学校の子供たちの様子、元チェルノブイリ原発の運転員の体験談や、集団移住した村落の方々の問題などが報告された。

■全編動画

 2012年9月24日(月)~2012年10月4日(木)の旅程で、NPO法人食品と暮らしの安全基金による第3回ウクライナ調査が行われた。この映像は、その調査に同行した黒田氏と青山氏による報告の様子で、同日に同内容で2回行われたうちの1回目である。

 黒田氏は「ウクライナの3つの学校の子供たちに、足、のど、頭が、毎日のように痛くなるかを質問した。その結果、7割の子供が、痛いと答えた。  これは、ウクライナの政府が『健康な子は6%』という報告書を出していることからも、多すぎる数字ではないことがわかる」と話した。しかし、「現地の放射能の専門家に話を聞くと、心配ない、というような慎重な返答しかしない。それらの研究所は、日本の援助を受けている。山下俊一氏(福島県立医科大学特命教授・副学長)の息がかかっていることが、影響しているのではないか」と、黒田氏は指摘した。

 調査団は、病院で入院中の子供とふれ合ったり、地方から通院してくる子供とその家族のための宿泊施設を訪問した。黒田氏は「そこには、2週間前に腎臓がんを手術した1歳9ヶ月の女児や、左足に悪性腫瘍があり手術を待っている6歳男児など、5家族が滞在していた。心から笑える遊びが、ガンを快復させるために役立つ、ということで、リハビリのためのイベントが開かれていた。参加者も子供たちの輪の中に入って一緒に遊んだ」と語った。

 チェルノブイリの事故では、爆発したのは4号炉だが、隣接する2号炉も全電源を喪失し、爆発寸前に陥っていた。 調査団は、この2号炉の爆発を食い止めた運転員のアンドレーエフ氏と面会した。「原発の運転マニュアルを守ると爆発、破ると規則違反で刑務所行き。しかし、マニュアルを無視して家族を守るという決断をして、無事に原子炉を止めることができた」という彼の体験談を紹介した黒田氏は、「アンドレーエフ氏は、原発の安全のために設置されたはずのIAEA(国際原子力機関)がまったく機能していない、IAEAを解体しなさい、と話した。その言葉に自分も共感した」と述べた。

 青山氏は「原発で働いていた人が住んでいた町、プリピャチや、居住禁止区域で最大の村、コロゴートの見学もした。プリピャチ市の遊園地では、毎時68.71マイクロシーベルトという、高い線量のホットスポットがあった」と述べた。また、「別の日には、線量の高い地区から約1000人が集団移住をしたコヴァリン村を訪問した。 移住者は、心臓や骨、血管などに、それぞれ問題を抱えていた。彼らは、元々の住人から『チェルノブイリ人』と言われ、心ない差別を受けることもあるそうだ」と語った。

 前回の訪問で、健康被害を訴える住人が多いことを知った調査団は、非汚染地域で療養した場合の効果を知りたいと考え、26歳の女性に協力してもらったという。「この女性は心臓が悪く、甲状腺炎も持っていた。セシウムの半減期である70日を目安に転地療養した結果、手足の痛みがなくなり、心臓の状態も良くなった。療養前はいつも所持していたニトログリセリンも必要なくなった」と報告された。

 黒田氏は最後に、この調査に参加した理由を「健康のことについて知りたかったが、26年後の福島を見るのかと思うと怖かった」と話した。「現地の人に聞いてみると、あきらかに子供たちに健康上の問題が起こった、と言う。これらは、食べ物からの内部被曝によって引き起こされている」と指摘し、「福島の子供たちの未来を守るために、改めて考えていく必要を感じた」と報告を終えた。

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