TPP法案、参院本会議で可決成立「日本政府は死んでしまった婚約者を揺り起こして結婚しようとしている!」――TPPを批准させない!全国共同行動 議員会館前 座り込み行動 2016.12.9

記事公開日:2016.12.10取材地: テキスト動画
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(取材・文:青木浩文)

特集 TPP問題

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)承認案は2016年12月9日、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、日本のこころを大切にする党などの賛成多数で可決、承認された。合わせて関連法も可決、成立した。

 参議院会館前では、「TPP批准阻止アクション実行委員会」の呼び掛けによって、午前中から抗議行動が行なわれ、参加者らがTPPに反対の声を上げた。

 アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏は、「皆さんご存知の通り、基本的に今のTPPは死んでいる」と述べ、参加者に次のように訴えかけた。

 「あるイギリスのジャーナリストはこう言っていた。『日本政府は死んでしまった婚約者を揺り起こして結婚しようとしている』と。今日本政府がやっていること、また、これまでTPPを前提といってやってきた、予算の執行、様々な緩和、二国間の並行協議等々、どれをとっても本当に異常なことだ」

▲元外務省国際情報局長の孫崎享氏

▲元外務省国際情報局長の孫崎享氏

 また、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、「アメリカがもうTPPの批准はやめると言っている。そうであれば、このTPPはもう終わっている。終わっているものを日本だけが批准しようとしている。こんなバカな国会運営はない。逆に、このおかしさを国民に訴えられる大きなチャンスだと思う」と語った。

 シュプレヒコールの途中で、関連法が参議院本会議で可決、成立したことが伝えられると、涙ぐむ市民もいた。

■ハイライト

「無力感に陥る必要はない。私たち市民は、やっと気づいたことを、どう守り発展させるかという力がつけられた」――アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏

 法案成立後、内田氏はIWJのインタビューに応え、「今日の採決は本当に悔しく残念、そして恥ずかしいこと」と語った。

 その上で内田氏は、「TPP反対運動の6年間で、貿易が私たちの暮らしにどのような影響をあたえるのか、どこが問題なのか、市民の皆さんはある程度わかったと思う」と振り返った。

 「例えば、皆保険も貿易によっていろいろと影響があるのだということ。また、食料自給率、農業の状況などもTPPの議論を通じて、国民の皆が、それまで以上に知ることになった。同時に、皆保険など、日本の制度の素晴らしさにも気づいた。法案は採決されたが、無力感に陥る必要はない」

 そのうえで、「やっと気づいたことを、今後どう守り発展させるかという力がつけられたと思う」と強調した。

▲アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏

▲アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏

 内田氏には、同氏がマレーシアのコタキナバルで2013年12月に開催された第18回TPP交渉会合に参加した帰国直後、岩上安身が単独インタビューを行い、TPP交渉会合での最新報告を中心にお話をうかがっている。ぜひ、併せてお読みいただきたい。

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