名古屋大学・安川寿之輔名誉教授らが「福沢諭吉神話」を徹底検証! 福沢諭吉は「自由と平等を主張した天賦人権論に同意、同調していない」 2016.12.4

記事公開日:2016.12.8取材地: テキスト動画
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(取材:阿部洋地、須原拓磨、文:須原拓磨)

 「学者が作為をして神話を創作することは、明らかな学問的な逸脱であり、許されません」――。

 2016年12月4日(日)、「日本の『近代』と『戦後民主主義』を問い直す実行委員会」主催による「三者合同講演会『問い直そう!日本の「近代」と「戦後民主主義」』―戦後つくられた『福沢諭吉神話』を徹底検証―」で、名古屋大学名誉教授の安川寿之輔氏はこのように述べ、福沢諭吉を厳しく批判した。

 11月25日には、この講演会に先駆けて記者会見が行われ、IWJは記者会見も中継・取材している。

 なぜ、今、福沢諭吉を再検証する必要があるのか? 『さようなら! 福沢諭吉 日本の「近代」と「戦後民主主義」の問い直し』の共著者である雁屋哲氏と名古屋大学・安川寿之輔名誉教授、帯広畜産大学・杉田聡教授ら3名が講演し、福沢諭吉の正体を白日のもとにさらした。

■ハイライト

  • 講演 安川寿之輔氏(名古屋大学名誉教授)/雁屋哲氏(漫画『美味しんぼ』原作者)/杉田聡氏(帯広畜産大学教授)
  • タイトル 三者合同講演会「問い直そう!日本の『近代』と『戦後民主主義』」―戦後つくられた「福沢諭吉神話」を徹底検証―
  • 日時 2016年12月4日(日)13:30〜16:45
  • 場所 明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区
  • 主催 日本の「近代」と「戦後民主主義」を問い直す実行委員会

「(福沢諭吉は)最初から侵略主義だったんです」 大日本帝国への回帰を危惧する『美味しんぼ』原作者の雁屋哲氏が、「福沢諭吉神話」を暴く!

 今、福沢諭吉を考えなければいけない理由として、「現在の日本を戦前の大日本帝国に戻そうとしている動きが非常に強くなっている」と話すのは、漫画『美味しんぼ』の原作者である雁屋哲氏だ。

▲漫画『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲氏

▲漫画『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲氏

 雁屋氏は、福沢諭吉が自ら著した『福翁自伝』という著書で、「兵力の強い国にすること」、「商売繁盛の国にすること」を主張していたことを紹介。雁屋氏は、「(福沢諭吉が)常に主張していたことは、『国権皇張』という言葉です。皇張という言葉は、自分の国の権力をよそにのばそうということですよ。要するに、最初から侵略主義だったんです」と、福沢諭吉が侵略主義者だったことを暴いた。

名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏「福沢諭吉は、自由と平等を主張した天賦人権論に同意、同調していない」

 名古屋大学名誉教授の安川寿之輔氏は、福沢諭吉が、『学問のすゝめ』冒頭の有名な句「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」を、「と云へり」という伝聞体で結んでいることを指摘した。

 安川氏は、「この句が自分の言葉でないと断ると同時に、自分は自由と平等を主張した天賦人権論に同意、同調していないという二重の重要な意味を、厳密に表現していた」と述べ、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な句が、福沢諭吉の思想を表現したものではないことを解き明かした。

▲名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏

▲名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏

 『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男』『福沢諭吉の教育論と女性論』など、福沢諭吉に関する多くの書籍を著している安川氏に、IWJ代表・岩上安身がロングインタビューを敢行している。このロングインタビューのアーカイブは、以下のURLからぜひ御覧になっていただきたい。

 敗戦直後、『超国家主義の論理と心理』という論文で、一躍、時代の寵児となり、福沢諭吉に関する著作を数多く残してきた丸山眞男。この丸山眞男の「福沢論」について安川氏は、「丸山眞男は、伝聞体の問題について一切言及、検討しないまま、つまり、冒頭の句と肝心の『すすめ』の内容がつながっていないという重要な問題を一切無視して、冒頭の句が福沢自身の主張、宣言であると解釈、主張した」と丸山眞男の誤読を喝破した。

福沢諭吉は、反立憲主義者で、軍国主義者!? 現代にも引き継がれる福沢諭吉の思想を、帯広畜産大学教授の杉田聡氏が鋭く指摘!

 帯広畜産大学教授の杉田聡氏は、「たくさんの人たちが福沢諭吉の文言を使って、自分の思想の権威づけを図っている。福沢諭吉が日本においては非常に重要な明治期以降の有力者であるという理解が一般的なものですから、確かに福沢諭吉は、使い勝手がよろしいのです」と講演し、福沢諭吉の思想が現在の政治にどのように根付いているのかを説明した。

 杉田氏は、「特に右派の人にとっては、福沢諭吉が持っている語彙、イデオロギーをたぶんに吸収して自らの権威づけに福沢諭吉を利用しています」と述べた。

▲帯広畜産大学教授・杉田聡氏

▲帯広畜産大学教授・杉田聡氏

 IWJ代表・岩上安身は、『天は人の下に人を造る―「福沢諭吉神話」を超えて』を執筆した杉田聡氏へ、二度にわたって単独インタビューを行なっている。こちらも是非、御覧いただきたい。

 また、杉田氏は、自民党改憲草案に福沢諭吉の思想が如実に反映されていることを指摘。杉田氏は、「(福沢諭吉は)明治憲法を絶賛しており、反立憲主義も当然のように考えております」と説明し、「軍国化ということを非常に強く目指しました。軍事力行使の合理化論も、福沢は一人のイデオローグとして提示しております」と、現在の自民党と福沢諭吉の共通点を示した。

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