100年以上の歴史を持つ名門・東北大学が、3200人もの非正規職員に対し、就業規則を変更してまで「雇い止め」を通告しようと画策している。
10月11日、参議院議員会館で、「改正労働契約法の趣旨に反した国立大学での『5年雇い止め』を許さない~ストップ! 東北大学3200名と全国の有期雇用職員雇い止め」と題した緊急集会が開催された。
主催したのは、東北非正規教職員組合、首都圏大学非常勤講師組合、全国大学高専教職員組合。国会議員をはじめ、大学労組関係者など60人が参加し、東北大学をはじめとする国立大学における「5年雇い止め」の現状について、意見を交換した。
- 日時 2016年10月11日(火) 15:30~
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
- 主催 東北非正規教職員組合、首都圏大学非常勤講師組合
国立大学に広がる「5年で雇い止め」の動き――共産党・吉良よし子議員「東北大学の対応は法の趣旨とかけ離れている」
2013年4月、労働契約法が改正され、契約社員やパート、アルバイト、派遣、嘱託などの非正規労働者が、通算5年を越えて契約更新をする場合、労働者が申し込めば、期間の定めのない無期雇用契約に転換できるという新たなルールが設けられた。正規職員として働きたくても働けなかった非正規労働者にとって、この法改正はまさに「画期的」なものだったと言える。
ところが現在、この改正労働契約法の趣旨に逆行して、無期雇用への転換の権利が発生しないよう、非正規労働者を「5年までで雇い止め」にする動きが、各地の国立大学で進みつつある。
なかでも東北大学は、就業規則を変更し、雇用契約の更新上限を原則5年とした上で、大学が独自に設けた厳格な制度によって無期転換できなければ、2018年4月から非正規職員3200人(対象は事務職、技術職で、非常勤講師は含まれない)を順次雇い止めする意向を示している。
集会では、この問題について日本共産党・吉良よし子参議院議員が、東北大学の対応を次のように批判した。
「改正労働契約法は、5年を超えて継続更新されるすべての有期労働者を本人の申し込みだけで、無期雇用に転換する、そういうルールを作ったのであり、それを理由にして5年で雇い止めにするというのは、まったくもって問題だ。法の趣旨とかけ離れていることは間違いない」
▲集会に駆けつけた日本共産党の吉良よし子参議院議員
非正規労働者の権利を奪うこのような不当な動きは、決して看過されるべきではない。主催団体らは、「東北大学での大量雇止めが実行されれば、この動きが全国へ波及する可能性がある」として、今後大学当局へ雇止め方針の見直しと、希望者には無期雇用への転換を認めるよう求めていくとしている。