地下ピットのたまり水は、足の甲をスッポリと覆い隠し、スネの下まであった。ここ数日の雨で水位が上昇したとのことだ。地下空間は、セメントを水で溶かした匂いに加えて、消毒液のような鼻を突く異臭を訴える記者もいた。
豊洲新市場の建物の地下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題で、都が再招集した「豊洲市場における土壌汚染等に関する専門家会議」の座長である平田健正氏らが、2016年9月24日、豊洲の水産卸売場棟の地下空間などを視察し、その様子が報道陣に公開された。
視察の後に開かれた記者会見で平田氏は、15日に採取して実施した水質調査により、地下ピット部の水と付近の井戸の地下水の成分がほぼ一致したことから、「地下ピットの水は地下水である」と判断したことを発表した。
その上で、公明党が9月14日に採取し実施した水質調査において、シアン化合物が0.1mg/L検出されたことについて触れ、「0.1mg/Lは定量下限値であり、この水を飲むわけではないので、直ちに人体に影響を与えるものではない」と解説した。
また、9月15日から16日において空気測定を行なった結果、ベンゼンが測定されたが、地下ピット内、施設1階とも環境基準値以下だったと説明した。
地下水については、「4.5mの盛り土も、地下水の管理を行うことが前提。地下水の管理がきちっとできれば、地下ピット内の水は減っていくだろう」との見方を示しながらも、「地震が起こると液状化して、地下水が吹き出してくることが考えられるので、そこを塞ぐ必要がある」と解説し、地下水管理の難しさを指摘した。