廃炉の選択肢は「まったくゼロではないが、小さな可能性」と座長私見~「もんじゅ」の在り方に関する検討会第1回 2015.12.28

記事公開日:2015.12.28取材地: テキスト動画
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 原子力規制委員会から勧告を受け、文部科学省は「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設けた。検討会の有馬座長はもんじゅを廃止する選択肢は「まったくゼロではないが、小さな可能性」だと言い、多くの資本を投資したから活用できるものは活用したい、それを最初に考えたいという考えを示した。

記事目次

  • 「現在のもんじゅを活用できるがどうかを最初に考えたい」

■ぶらさがり取材―馳浩文部科学大臣

■ぶらさがり取材―有馬朗人座長

「現在のもんじゅを活用できるがどうかを最初に考えたい」

 もんじゅの安全管理上の定期点検が定められた規定通りに行われておらず、規制委員会から改善命令を受けても改善の兆しが見られないという問題について、原子力規制委員会から文書勧告を受けた文部科学省は、もんじゅの在り方について根本的に見直すための検討会を立ち上げた。

 第1回目の本日の会合では、もんじゅの現在の運営主体である日本原子力研究開発機構(以降JAEA)の児玉敏雄理事長から、問題の経緯、JAEAとしての改善のとりくみ等を説明。

 検討会の委員からは、もんじゅを研究開発炉として考えるのか、核燃料サイクルの中での発電炉として考えるのかはっきりさせたい、勧告という厳しいものに対して直球で答えるような議論が必要だ、といった意見が出された。

 今後の研究を進めるにあたって必要な人材について、JAEAからは、もんじゅ部門には毎年6名程度の新人が入所していると回答。若い人がいなくなっていることは無いとう安堵感が流れた。しかし、単に保守管理だけを行うのか、それとも研究開発を行えるように育てるのか、将来の人材確保の点で大きく違うと論点が指摘された。

 また、各電力会社からの資金面での支援が得られるのか、これも議論に加えたいとの意見が出た。運用はJAEAで約150名体制で行っている。しかし、メーカーからの出向者や派遣者が多く、JAEAプロパーが少ないため蓄積された技術力が薄いという問題意識をJAEAはもっている。

 馳文部科学大臣は、この検討会が有効で意義のあるものにするため、公開の場で、丁寧にやっていくことが大事だという考えを示した。もんじゅについては「安全を最優先に、原則は国民が何を期待、何を求めているかにひとえにかかわってくる」と述べたが、この検討会では、JAEAに代わる新たな運営主体を指定するところまではいかないだろうという私見を述べた。

 座長の有馬朗人・学校法人根津育英会武蔵学園学園長は、もんじゅは将来のために役立てたいが、既にずいぶん時間がたっている懸念。廃炉の選択肢については、全くゼロではないが、小さな可能性だと述べた。「現在のもんじゅを活用できるがどうかを最初に考えたい。これだけの資本を投資しているのだし、研究者もいるのだから、活用できるものは活用したい」と述べた。

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