福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を強く求める市民106人は、2015年12月25日、国に設置取り消しなどを求める訴訟を東京地方裁判所に起こし、都内で記者会見を開いた。
もんじゅを巡っては、1985年に地元住民らが設置許可の無効確認を求めて福井地裁に提訴。2003年に名古屋高裁金沢支部で勝訴するも、2005年に最高裁で敗訴が確定した。それから10年、原子炉設置許可の取り消しが主位的請求の法廷闘争が始まる運びとなった。
この11月13日に、原子力規制委員会が馳浩文部科学相に対し、「運転主体の切り替え」を勧告したことがきっかけである。原告側の河合弘之弁護士は、運転主体である「日本原子力研究開発機構」の実力不足を強調しつつ、もんじゅには、そのものにも危険性がある以上、別の運転主体を見つける選択肢はあり得ないと力説。原告の女性は、核燃料サイクルからの撤退が「世界の潮流」であると訴えた。
- タイトル 「新・もんじゅ訴訟」提訴記者会見
- 日時 2015年12月25日(金)15:00〜
- 場所 東京地方裁判所前(集会・提訴行動)/司法記者クラブ(記者会見)(東京・霞が関)
- 告知 「新・もんじゅ訴訟」提訴記者会見(脱原発弁護団全国連絡会サイト)
機構が「実質的運転権」を握る恐れあり
河合弁護士は、原子力規制委の勧告について、「1995年のナトリウム漏れ事故が起こった後も、9000ヵ所以上の点検漏れといったミスがあったにもかかわらず、対応されてこなかった事実に基づいている。つまり、原子力規制委は機構(の実力)を見限ったのだ」と強調した。
「ただし、この勧告を受け、『これで、もんじゅは廃炉になる』と見るのは甘い」とも述べる河合氏は、「原子力ムラの、従来のしたたかな体質からすると、受け皿的組織をつくって表向きを変えながら、実質的な運転を機構が担う『ズル』をやることが予想できる。また、適当に対策を講じただけで『抜本的な見直しを行った』と強弁することも十分考えられる」と指摘した。
その上で、「放射能汚染の心配のない社会を実現するには、今きちんと、もんじゅに引導を渡さなければならない」と口調を強める河合氏は、もんじゅの問題を、裁判で白日の下にさらす必要があると訴えた。
「耐震性」にも見過ごせない問題が