保守管理の不備に伴い保安措置命令違反が続いている「もんじゅ」について、事業者JAEAの監督省庁である文科省から意見を聴取した委員長は、具体的な対応は今後議論するが設置変更許可の取り消しという選択肢もありうる考えを示した。
保守管理の不備に伴い保安措置命令違反が続いている「もんじゅ」について、事業者JAEAの監督省庁である文科省から意見を聴取した委員長は、具体的な対応は今後議論するが設置変更許可の取り消しという選択肢もありうる考えを示した。
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原子力規制庁は、JAEA(国立研究開発法人 原子力研究開発機構)に対して、同機構が研究開発を進めている高速増殖原型炉「もんじゅ」に対して、平成24年11月に計測機器の点検が適切でないという、保安規定違反があることから、適切に対応するように”保安措置命令”を出している。
それから改善の兆しが見えないことから、本日の午前中に行われた委員会にて、同機構の監督省庁である文科省から意見聴取した。田中俊一委員長は「今日の文科省の説明は(我々が)納得したという段階ではない」と不快感を示している。
今後、事態の改善のために「何らかの措置は必要」と言うが、設置変更許可の取り消しという選択肢も排除していない考えを示した。この許可が取り消されると運転は法律上できなくなる。再度運転を行うためには、規制基準への適合性審査や高経年化技術評価など多くのハードルを越えなくてはならなくなる。
9月30日の委員長会見では、「(設置変更許取り消しは)そこまでは考えていない」と答えている。だがこれは、「どうするかは、今の段階では、まだ何も決めていないということだ」と答えた。
真意はわからないが、今日の文科省の説明がふがいないことから、こういう考えに至ったのかもしれない。
もんじゅの設置変更許可も法律上は可能。委員長はその法律上の建付け排除しないという。しかし、増殖炉は核燃料サイクルという国のエネルギー政策に大きく関与するもの。規制委はこの政策を考慮した決定を行うのだろうか。田中委員長は、大切なことは安全上の確保であり、国の政策のために「安全をないがしろにして良いという判断は我々はとれないそ、とるつもりもない」と断言している。
保安措置命令違反の解消という視点だけでなく、ナトリウムを冷却に使用する増殖炉の安全とは何か、それ以上に国民の安全とは何か、その視点で審査が続くことを期待したい。