「行政法研究者が集団としてこのようなアピールを行うことはこれまでなかったことではないでしょうか。それほどに、今回の政府のやり方は反法治国家的なものです」
辺野古埋め立て承認を取り消した沖縄県に対し、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき国土交通大臣に審査請求と執行停止措置の申し立てをした問題で、10月23日、国内の行政法研究者が連名で抗議声明を発表した。声明に賛同する研究者の数は現在94人にのぼるという(2015年10月23日現在)。行政法研究者の一人、龍谷大学の本多滝夫教授がIWJの電話インタビューに応じ、声明の発表に至った思いを話した。
13日、翁長雄志沖縄県知事は、仲井眞弘多前知事による辺野古沿岸部の公有水面埋立承認は「法的瑕疵」があったとして取り消しを発表。防衛施設局に承認取り消しの通知書を提出した。
しかし翌日14日、沖縄防衛局はこれを不服とし、国土交通大臣に取り消しの執行停止と不服審査を請求。審査の結果次第では、翁長知事による取り消し処分の執行停止が下されることになるが、その可能性は極めて高い。国の行政機関である沖縄防衛局の請求を、同じく国の行政機関である身内の国土交通省が審査するから当然である。
本多教授はインタビューの中で2点、重要な指摘をしている。来年4月に施行予定の新「行政不服審査法」では、今回のような沖縄防衛局の請求は認められない規定が加えられていることと、政府がなぜ「国地方係争処理委員会」という第三者機関を今回、沖縄県に利用させなかったかという点だ。
▲今年4月、菅義偉官房長官と初会談した日の翁長知事
新「行政不服審査法」が施行されたら許されない荒技
「安保関連法案に対する現政権の態度を見てきて、憲法9条の解釈を、こともなげに変更し、最高裁の判決を捻じ曲げて解釈するなど、法に対する態度があまりにもひどい。不誠実で悪質だ。今度は行政法という自分の専門分野でやられてしまうのは許し難かった」
日本公法学会に属する行政法研究者の会員7人(岡田正則早稲田大学教授、紙野健二名古屋大学教授、木佐茂男九州大学教授ら)が呼びかけ人となって発表した声明は、沖縄防衛局による審査請求と執行停止の申し立ては「不適法」だと指摘。これに応じないよう国土交通大臣に「却下」を求めている。
そもそも行政不服審査法とは、国民の権利を救済するために制定されたものであり、今回のように、国の行政機関が行政処分の審査を請求することなど、想定されていない、というのがその理由だ。本多教授は政府のこうした手法を「不誠実で悪質」だと批判した。
審査請求と取り消しの執行停止という措置の根拠となっている「行政不服審査法」とは53年前に施行されたもの。昭和37年以来、改正されてこなかったことから、昨年2014年6月に全面改正され、来年4月1日に新「行政不服審査法」が施行される。
実は、新法の下では「公正性」の観点から、国の機関が処分の相手となるケースについては法が適用できないことになっているという。つまり、沖縄防衛局が大臣に審査請求したような今回のやり方は認められないのだ。
声明の中で研究者らは、「私人」になりすました沖縄防衛局の請求を国交省が審査するのは「国の一人芝居」にほかならず、国民の権利救済を目的とした制度の濫用は、「法治国家に悖(もと)るもの」だと厳しく批判している。
「国地方係争処理委員会」という第三者機関の存在
▲サンゴ礁の上に設置された15トンのコンクリートブロック
今年3月にも政府は、翁長知事の作業停止指示の効力を同じ手法で執行停止した経緯がある。
当たり前のことです、こんな出鱈目が通るなら、ワタクシが警察にでも成りすまして、安部晋三を逮捕してやる。
大体、、沖縄防衛局と国土交通省は、同じ政府のお仲間で「グル」、どんな判断が出ようと「八百長」です。
まったく、この政権は、やることが「ヤクザ」顔負け・・・恥知らずにも、程がある。