「後は民意がどう判断し、どうするかということにかかっている。国会の状況は段々成立に向って押し込まれている」―。
2015年9月15日(火)、参議院議員会館で「生活の党と山本太郎となかまたち定例記者会見」が行なわれた。集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案に反対する声が高まっているが、政府・与党は今日の中央公聴会、明日(16日)の地方公聴会を経て、18日には法案を成立させる構えだ。自身も8月30日に国会前に姿を見せた小沢一郎代表は、この間の「反安保」デモの広がりをどのように見ているのか?
- 収録日時 2015年9月15日(火) 16:00~
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
「反安保」デモは政権に影響を与えているか?
政府・与党による安全保障関連法案の強行採決を阻止しようと全国各地で抗議行動が展開されている。特に国会周辺では、大学生有志によるSEALDs(シールズ)をはじめ、様々な団体が連日反対デモを行い、参加する市民の数は日ごとに増えている。
だがその一方で、政府・与党は明日16日に地方公聴会を開き、18日までには法案を成立させる構えを崩していない。「反安保」デモの広がりは政権にどこまで影響を与えているのか?IWJ小野記者の質問に対し、小沢代表は次のように答えた。
「影響していると思います。だけどこれっぽっちと言っては失礼になるけれども、やはりもっともっと高まりがないと、彼らは本気に恐れることはない。
自分の主張はこうだと言うのならば、それに相応しい行動をもっともっと積極的に日本人は取るべきだと思います。じゃあどうするんだと。あとは選挙です。それしか変える方法はない」
小沢代表はこのように述べ、デモ以外に、次回選挙で法案反対の意思表示をするべきだと訴えた。
またこれに関して山本代表も、反対デモが国会内に「少々の影響は与えている」としながらも、「この法案を止めることが最大のピークになってしまえば、その後敗北感しか残らないかもしれない。政権交代をしていきながら内容を変えていきましょうというのが一番建設的だ」と述べ、安保法案の対応については政権交代後に照準を合わせるべきだとの認識を示した。
「安保法案が沖縄の要塞化につながることは確実だ」
昨日(14日)、翁長雄志沖縄県知事が会見を行い、名護市辺野古の埋立て承認の取り消しを発表した。今後政府側の対応が注目される中、安保法案の採決は沖縄の米軍基地問題にどのような影響を与えるのか。玉城デニー幹事長は次のような見解を示した。
「安保法案と沖縄との関係ですが、今日の中央公聴会の参考人の意見にもありましたが、中国の軍事的脅威、力による現状変更が起こっている以上、米軍と一体となって取り組まないと自衛隊では太刀打ちできないとのご意見もありました。そうなってくると、なおのこと沖縄が要塞化してくることが確実です。
海兵隊の半数を減らすことがアメリカの意向です。減らした海兵隊の代わりはどうするのか。当然、自衛隊の基地を米軍と共同使用する。つまり沖縄におけるグレーゾーンあるいは離党奪還を想定した訓練は、日米の共同訓練が増えていきます。この法案が成立するとなお確実になるだろうということがあり、これは沖縄県民も薄々感じていると思います」
岩手で実現した統一会派と国政への影響
昨日(14日)、岩手県議会では民主・生活両党が統一会派「改革岩手」を結成し、自民党を上回る最大会派を実現させた。2012年の民主党分裂により袂を分かった勢力が、再び結束することについては特に民主党内に異論も強く、賛否がある中での決着となった。
これに関して小沢代表は、「政治の問題に結論を出す時に個人感情を交えては絶対大事は成せない。そういうことが岩手県議会においては皆が理解して会派ができたのだろうと思います」と前向きに評価し、この動きが国政レベルの野党連携に与える影響については「これが中央にどうのこうのということは全くありません。中央でも理屈は同じこと。お互いに手をつないで力を合わせて国民の期待に応えるというごくごく常識的な判断を皆が共有できればいいのではないかと思います」として、野党各党が連携に向けて歩み寄るよう改めて促した。
「抗日勝利70周年記念式典」に参列した潘基文国連事務総長への安倍首相の批判
安倍首相が中国の「抗日勝利70周年記念式典」に参列した潘基文国連事務総長を批判したことについて見解を問われた小沢代表は、「賛否両論があるかもしれない。歴史的に戦争という事実はあったし、我が国の侵略行為もあったことなどを考えると、100%けしからんと言うこともできないと思う。やはり事務総長の判断でしょう」と、事務総長の式典への参加に一定の理解を示した。
また「抗日勝利」という名称については「特定の国を指していることだから、僕自身はあまりよろしくないと思っている」としつつも、「ただそれも日本政府がきちんとした歴史認識と過去の事実について謝罪すべきは謝罪し、その上での将来へのお互いのための連携ということをはっきりすれば、相手方の考え方も違うのだろう」と述べ、中国政府との交渉にはその前提として日本側の歴史認識がネックになるとの見方を示した。
最後に日本の常任理事国入りについては、「今の日本ではちょっと無理です。だから安倍さんは軍事大国になりたいのかもしれないが、軍事力だけの問題ではない。世界の人々が日本という国をきちんと信頼できるようにならないと」と述べ、常任理事国入りは時期尚早との認識を示した。